TASHINAMI MUSIC https://tashinami-musiclog.com HR/HMとプログレとアイマスに揺さぶられたZ世代の記録 Wed, 14 May 2025 09:06:34 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.1 https://tashinami-musiclog.com/wp-content/uploads/2023/07/cropped-icon-32x32.jpg TASHINAMI MUSIC https://tashinami-musiclog.com 32 32 【ライブレポート】 Guns N’ Roses 来日公演@Kアリーナ (2025/05/05) https://tashinami-musiclog.com/2025/05/14/live-guns-n-roses-yokohama-k-arena-2025-05-05/ Tue, 13 May 2025 19:15:21 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3434 一夜限りのガンズ来日@横浜、大盛況で終了! 5/5(月)、Kアリーナ横浜にてGuns N’ Rosesの3年ぶりとなる来日公演が無事終了!各種SNSでも大満足の声があがっているのは、いちファンとしても嬉しい限 […]

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一夜限りのガンズ来日@横浜、大盛況で終了!

5/5(月)、Kアリーナ横浜にて
Guns N’ Rosesの3年ぶりとなる来日公演が無事終了!
各種SNSでも大満足の声があがっているのは、いちファンとしても嬉しい限り。
前回の2022年はさいたまスーパーアリーナ2Daysだったのに対して、
今回は横浜で一夜限りということで、全国から猛者が一堂に会した印象。
自分はスラッシュ(Gt.)とダフ・マッケイガン(Ba.)が復帰した
2017年の“Not In This Lifetime… Tour”からなので3回目の参戦。

Guns N' Roses 来日公演@Kアリーナ (2025/05/05)会場前広場

新しくできた会場と言うこともあり、自分としては初のKアリーナ。
会場前には老若男女問わずファンの方々がズラリ。
キッチンカーも出ていてさながら祭りの雰囲気でした。
また、会場内にはライブ前後も営業しているバーがあるのも面白いところ。
ちなみにキャパは2万人ちょっと。

Guns N' Roses 来日公演@Kアリーナ (2025/05/05)会場前バナー

始まったばかりの今回のツアーですが、正式には
“Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things Tour”
なる長いタイトルがつけられています。
5/1の韓国・仁川公演を皮切りに、日本での公演が2公演目!
初日は開演の大幅な遅れ等もあり20曲で終了ということで、
日本での公演がどのようなセトリになるのかは未知数……という状況でした。

今回の来日メンバーは以下の通り。
Axl Rose(Vo.)
Duff McKagan(Ba.)
Slash(Gt.)
Richard Fortus(Gt.)
Dizzy Reed(Key.)
Melissa Reese(Key.)
Isaac Carpenter(Dr.)

2006年から長きにわたり、安定感のあるドラムでガンズを支えてきた
Frank Ferrer氏が先日脱退を発表。
今回のツアーからは、ダフのバンドLoadedのドラマーでもある
Isaac Carpenterがガンズに加入となりました。
フランクは59歳、アイザックは45歳ということで一回り以上若返った計算。

Guns N' Roses 開演前映像

今回も例によって定刻には始まらず、20分遅れでのスタート。
(韓国では40分遅れだったと聞いていたのでこちらも身構えてはいましたが)
今回は最安のA席(LEVEL 7)からの鑑賞。
最上階とはいえメンバーは十分肉眼で見えて快適でした。
(ただ真下を見ると結構怖い)

定刻を少し過ぎたあたりで、ステージ下手にツインテールの女性がノリノリで登場。
上の方からはよく見えなかったので一瞬「メリッサだけ出てきたんか?」となりましたが、
実はこの日がお誕生日のダフの奥様!
最初から最後までノリノリで盛り上がっていてほっこりしましたね。
ライブ後にはバースデーパーティーも催されたのだそうで、
そのときのアクセルの写真が「昔と変わらぬかっこよさ!」と話題になったりも。

1曲目は韓国公演と同じく“Welcome To The Jungle”
このツアーでは恐らく1曲目は固定と思われます。
リユニオン後はいつも“It’s So Easy”からだったので新鮮な気持ちで楽しめました。
アクセルはこの時点からハイトーンもバッチリで、
前回と変わらないかそれ以上の好調ぶり!
最初は「トーキョー!」と煽っていたアクセルですが、
その次からは全て「ヨコハマー!」に修正していたのは流石でした。
(2022年のSSAは全部「トーキョー!」だったのに……)

そして2曲目は“Mr. Brownstone”のドラムパターンが入ったかと思いきや、
なんとぬるっと軌道修正して“Bad Obsession”へ!生で聴くのは初めて!
印象的なハーモニカの音がなかったのでサビ前くらいでようやく気付いて驚きました。
SNSで写真が上がっていたセトリの紙には、
2曲目に”Mr. Brownstone”とあったのでその場でパッと変えたのではないかと。
アイザック君に早速の洗礼……

続いては“Chinese Democracy”“Slither”という前回同様の流れ!
自分も妻も“Chinese Democracy”(2008)は大好きなのでこれにはニンマリ。
しかし”Slither”はVelvet Revolverの曲ながらガンズのラインナップとして定着しましたね。
まさか再び聴けると思わなかったですし”Hey!”で拳を突き上げるのは楽しかったです。
サビのコーラスも前回のツアーより分厚くなっていてより完成度が上がっていました。
(そのうち”Sucker Train Blues”とか”She Builds Quick Machines”とかやったり……しません?)

そして“Live And Let Die”は思っていたより早めの位置!
ライブではアクセルがロングトーンで”Ha—-!”のシャウトを入れてくれるので、さらに血湧き肉躍る仕上がりに。

そして満を持しての“Mr. Brownstone”でアクセルの腰つきと
“more & more”の振り付けを堪能しつつ、
自分がトップクラスで大好きな“Estranged”へ!
聴くたびにその美しいメロディと展開の妙に心惹かれますし、
すっかり古参のディジー・リードのピアノソロ、
そしてスラッシュによるレスポールの旨味を引き出したソロの数々!
中盤でのボリューム奏法が特に綺麗で引き込まれました。
90年代のライブ音源ではもっと勢い任せなプレイだったので、
今のスラッシュは確実に進化しているな……というのを目の当たりにした思いです。

そして韓国では披露されなかった“You Could Be Mine”がここで登場!
“Use Your Illusion II”(1991)と同じ流れだったのでブチ上がりましたね。
アイザックのドラムの勢いと溌剌としたパワーにも感心。
ただこの辺りからLEVEL 7で鑑賞していると、
ドラムの音が段々ばらばらに聞こえてくるように……
音が回るような感覚はあまりなかっただけに余計そこのPAだけが惜しかったなと。

ライブではダフとアクセルがボーカルを分け合う“Double Talkin’ Jive”
ここでもスラッシュのスパニッシュな高速フレーズが!
観るのは3回目ですが体感では過去一番ハッとする瞬間が多かった印象。圧巻でした。

“Knockin’ On Heaven’s Door”では観客がスマホの明かりを一斉に照らし、
あたかも輝く星々の中で演奏しているかのような光景に。
サビのコーレスもバッチリ決まっていました。

そして聴きたかった新曲“Perhaps”もここで披露。
上の方の席だったので周囲には曲を知らないファンも多いように見えましたが、
ピアノを前面に押し出した魅力的な一曲、しっかり聴けて満足でした。

ライブ中盤はヘヴィで複雑な長尺曲“Coma”から、
“Chinese Democracy”収録の“Sorry”に静かに移っていく流れも圧巻。
リユニオン後はすっかり定番になったのが嬉しい“Coma”
アクセルがラストの長いボーカルパートを絞り出すように歌うところはゾクゾクします。

曲の合間には“Guns N’ Roses Yokohama”という文字がスクリーンに躍る今回の公演、
アクセルがたまにお客さんに「次は何が聴きたい?」と問いかけていたのも面白かったです。
その中でも声が大きかったのはやはり“It’s So Easy”
セトリのド真ん中に来るのも不思議な感覚でしたが、やはりこれも名曲!
2番の”F**K OFF!!”も勿論みんなで一緒にやらせていただきました。

“Rocket Queen”
はなんといっても、
中盤のリチャード・フォータスとスラッシュによるギターソロの掛け合いが特に秀逸。
スラッシュの原曲の嬌声にも勝るとも劣らぬ淫靡なトーンも魅力的ですし、
ここでのリチャードのソロは毎回本当に良いんですよね……

続いてはお待たせ、ダフ・マッケイガンによるカバー曲タイム!
この日はラモーンズの”Rock ‘n’ Roll High School”Tのダフ、
精悍なビジュアルにも磨きがかかっていました。
いつもの“Attitude”“New Rose”か……と構えていると、
奥様への「ハッピーバースデー!」とともに、
Thin Lizzy“Thunder And Lightning”へ!
なんとこれが世界初披露!
最初は何が起こったのか正直分かりませんでしたが、
サビの”God damn!”で気づいてうわっ!となりました。
ガンズから亡きジョン・サイクスへの熱いトリビュートと受け止めました。

ここからヘヴィなジャムがしばらく続き(これもまた秀逸!)
“Chinese Democracy”を代表する曲のひとつ“Better”へ。
中盤でのアクセルの鬼気迫るハイトーン連発にはしびれました。

“Don’t Cry”はもちろん名曲でしたが、
ここではドラムの音ズレが最も顕著でリズムがバラバラに聞こえたのが勿体なかったです……
前回のSSAで聴けたのでその記憶で補完。

気を取り直して、各メンバー紹介からスラッシュのギターソロへ。
今回はいつものゴッドファーザーのテーマではなく、軽やかなロックンロール路線。
後で調べるとスティーヴィー・レイ・ヴォーン中心のメドレーだったとのこと。
重くグルーヴィーな曲の多いセトリの中では味変としてもバッチリ機能していました。
ソロのあとはもちろん大名曲“Sweet Child O’ Mine”

盛り上がりも最高潮に達したところでステージ中央にグランドピアノが持ち込まれ、
アクセルがピアノを弾き語る“November Rain”へ。
時々ファルセットも交えつつも情感のこもった歌唱、
そしてラストに聴けるスラッシュのソロは本当に素晴らしかったです!

……と言いつつ、
アクセルの着ていたギラギラのチェックシャツ(と背中の文字)が気になった方も多いはず。
ライブ後に調べてみたところ、ビットコインの開発者
サトシ・ナカモト(SATOSHI NAKAMOTO)の文字をあしらったブランド物で、
ガラスを散りばめてギラギラにしたネルシャツでした。お値段約29万円也。

続いてはメンバーが中央にギュッと寄り集まってのアコースティックコーナー。
披露されたのは前回と同じくJimmy Webbのカバー“Wichita Lineman”でした。
ギターの弦から遥か遠くまで続く電線のイメージに移り変わる映像、個人的には好きです。

続いて名曲“Patience”がアナウンスされると大喝采!
イントロのアクセルの口笛があまりに原曲そのままで驚きました。

そしてここでいきなりぶちかまされたのが“Hard Skool”
現編成の新曲シリーズの中でも一番初期に近いヴァイブのあるこの曲、
もう本編ラストか……と思った矢先にまた聴けて嬉しかったです!
2番サビあたりではアクセルが曲を若干見失うハプニングもありましたが、
ラスサビでは入魂の鋭いハイトーンで締めてくれたので大満足。

セトリがいよいよ読めなくなってきた辺りで、
本編は“Nightrain”で無事終了。

そしてここからのアンコールがさらに予測不能の展開に!
“Hard Skool”からの”Nightrain”でもう望み薄かと思っていた
“ABSUЯD”で始まったのには震えました!
“Ah———————!”のシャウトがライブではSEになっているのがちょっと面白いですが、
キレのあるリフはやはりクールで魅力的!
インダストリアル路線もどストライクな妻は5割増しで大歓喜。

そこから”Chinese Democracy”収録のバラード“Madagascar”に移ったのはこの日最大の驚き!
ラストには”Civil War”の冒頭にも引用された”Cool Hand Luke”の台詞や、
キング牧師の”I Have A Dream”演説等が、文字として演奏にかぶせて映し出される演出も。
言葉の力を感じさせてくれる、激しくもどこか厳かな瞬間でした。

(序盤の大人しめなパートでアクセルがスラッシュに寄っていったところ変に驚かせてしまい、スラッシュの「うわー!」という声がマイクに思い切り乗ったのはさらに貴重な瞬間)

ラストはもちろん“Paradise City”でフィニッシュ!
大量の紙吹雪が前回同様お預けだったのは寂しいですが、
終わってみれば(いい意味で)予測不能なセトリで駆け抜けた3時間!
一夜限りなのがあまりにもったいないと思えるような素晴らしい時間でした。

SNS上ではアクセルは高音域はほぼファルセットだった……という意見があったのも事実ですが、
そもそもの裏声のパワーは一級品ですし、途中では多少温存しつつも要所要所では気合いの入ったミックスボイスを聴かせてくれていたので満足度は高かったです。
終盤でも”Hard Skool”のラスサビは圧倒的パワーでねじ伏せた感もありましたし。

1.Welcome To The Jungle
2.Bad Obsession
3.Chinese Democracy
4.Slither
(Velvet Revolver)
5.Live And Let Die
(Wings)
6.Mr. Brownstone
7.Estranged
8.You Could Be Mine
9.Double Talkin’ Jive
10.Knockin’ On Heaven’s Door
(Bob Dylan)
11.Perhaps
12.Coma
13.Sorry
14.It’s So Easy
15.Rocket Queen
16.Thunder And Lightning
(Thin Lizzy)
17.Better
18.Don’t Cry
19.Slash Guitar Solo
20.Sweet Child O’ Mine
21.November Rain
22.Wichita Lineman
(Jimmy Webb)
23.Patience
24.Hard Skool
25.Nightrain


~アンコール~
26.ABSUЯD
27.Madagascar
28.Paradise City

18時20分(20分遅れ)開始でしたが21時20分まで3時間たっぷりやり切った本公演。
本当に凄いものを見たな……という気持ちです。
予測不能な順番で新鮮味を感じさせるセトリ、
そして”Chinese Democracy”多めの選曲というのにもガンズの奥深さを感じました。
近年では“Anything Goes”“Pretty Tied Up”
さらに“Street Of Dreams”などのレア曲も披露した公演があることですし、
今回の大盛況をうけてまた近いうちに色々やりに来てほしい!
というのが今の率直な感想。

惜しくも披露されなかった“The General”
そしてそれに続くさらなる新曲にも期待!

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【レビュー】 Chasing Euphoria / Harem Scarem (2025) https://tashinami-musiclog.com/2025/05/04/chasing-euphoria-harem-scarem-2025/ https://tashinami-musiclog.com/2025/05/04/chasing-euphoria-harem-scarem-2025/#respond Sun, 04 May 2025 11:37:40 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3415 活動再開!2020年以来の新譜が登場 心を打つ美メロとそれを支えるテクニックを両立したカナダのメロハーバンド、Harem Scaremの16thアルバム“Chasing Euphoria”が4/2 […]

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活動再開!2020年以来の新譜が登場
【レビュー】 Chasing Euphoria / Harem Scarem (2025)

心を打つ美メロとそれを支えるテクニックを両立したカナダのメロハーバンド、
Harem Scaremの16thアルバム
“Chasing Euphoria”が4/25にめでたく発売となりました。

こうしてアルバムが出るのは“Change The World”(2020)以来。
アートワークにある「何かを探して独りで歩いていく後ろ姿」のモチーフは、
前作にも通ずるものがありますね。

コロナ禍もあり、しばらくバンドとしてのとしての活動は無かったHarem Scaremですが、
今年2月に活動再開のアナウンスと共に突如新曲“Reliving History”を発表!
その後も順調に“Chasing Euphoria”,
“Better The Devil You Know”を先行シングルとして切ってきました。
いずれもミッドテンポで良質なメロディとコーラス、
そしてピート・レスペランスの歌心あるギターソロをフィーチャーした「らしい」仕上がり。
ちなみに今作の日本盤の発売元はキングレコードからワードレコーズに代わっています。

¥3,850 (2025/05/04 20:32時点 | Amazon調べ)
Chasing Euphoria / Harem Scarem (2025) 盤面

1.Chasing Euphoria 3:33
2.Better The Devil You Know 3:55
3.Slow Burn 3:45
4.Gotta Keep Your Head Up 3:24
5.World On Fire 3:49
6.In A Bad Way 3:36
7.Reliving History 3:23
8.A Falling Knife 3:52
9.Understand It All 4:09
10.Wasted Years 3:44

Chasing Euphoria / Harem Scarem (2025)裏ジャケ

参加メンバーは以下の通り。
ハリー・ヘス (Vo.)
ピート・レスぺランス (Gt, Ba.)
クレイトン・ドーン (Dr.)
ダレン・スミス (Backing Vocals, “Gotta Keep Your Head Up” Vo.)

ツアーではサポートベーシストを入れて、
かつ初期からのドラマーであるダレンがドラムを担当するというのが近年ではお馴染みの流れ。
スタジオ向きのクレイトン、ツアー向きのダレンというドラマー2人が適材適所でやっている形です。

そして今作では久々にダレン・スミスのリードボーカルが聴けるというのもハイライトのひとつ。
これは2nd“Mood Swings”(1993)収録の
“Sentimental Blvd.”
そして4th“Believe”(1997)収録の
“Staying Away”以来となります。
(ちなみに海外盤4th
“Karma Cleansing”(1997)に”Staying Away”は未収録)

全曲紹介

1.Chasing Euphoria 3:33

1曲目から気合十分のタイトルトラック。
ワウの効いた少しダークなリフからハリーの力強いボーカルに流れていく展開には、
未知の冒険に足を踏み入れる高揚感を感じます。
前作ともアートワークのモチーフとも共鳴するような一曲。

2.Better The Devil You Know 3:55

先行公開第3弾。
本作屈指の”Harem Scaremらしい”メロハーが味わえる一曲!
この曲の公開で「今作は相当良いアルバムになりそう!」と確信しました。

3.Slow Burn 3:45

安定感あるミッドテンポの先行公開2曲を経て、
飛び込んでくるのがこの明るいファストナンバー!
本作の新曲の中で自分の一押しは迷わずこの曲。
サビの爆発力と覚えやすさはメロディアスな今作の中でも抜きんでています。

4.Gotta Keep Your Head Up 3:24

ここでダレン・スミスがリードボーカルをとる曲が登場!
“Mood Swings”時代を思わせるリフに乗って、
「顔を上げて立ち上がれ!」というメッセージを聴かせてくれるという、
ファンにはたまらない一曲に仕上がっています。

自身のバンドやジェイク・E・リーの
Red Dragon Cartelでも、
KISSのポール・スタンレーを彷彿とさせる声質で
豪快な性格をそのまま映したかのような力強いボーカルを披露してきた彼ですが、
年月を経て多少ソフトになった声は不思議とハリーに似てきたような気も。
(もともと似ていなかったわけではないですが)

5.World On Fire 3:49

このバンドの武器の一つである美しいバラードは、中盤の要となるこの位置に収録。
ハリーの哀愁と伸びやかさを併せ持つボーカルワークを堪能できます。
意外と今作においては「バラード然としたバラード」はこの曲のみ。
その分練り上げられた勝負の一曲といえますね。

6.In A Bad Way 3:36
4曲目を裏返したかのようなリフからなるミッドテンポの一曲。
音の隙間を意識したピート・レスペランスのリフワークや、
ギターソロ前半の下降していくフレーズなど聴きどころ満載。
「辛くなるくらいにお前の愛が欲しいんだ」という歌詞も良いですね。

7.Reliving History 3:23

Harem Scarem再始動を高らかに宣言した、本作からの1stシングル。
「過去の歴史をなぞって生きることから解放されるときは来るのか」
という重いテーマですが、曲調からはそれを跳ね返そうとする強靭さを感じます。

8.A Falling Knife 3:52

既存のシングル曲で一息ついたところに再び飛び込んでくるファストナンバー。
シングル曲とアルバム曲でもって「緊張と緩和」を作りだす熟練の技。
この曲をよくぞ隠し球としてとっておいてくれていたなと感心しきりですし、
本作におけるラスト3曲の出来のよさは、
アルバムの全体的な好印象に大きく貢献してくれています。

9.Understand It All 4:09

タイトルとは裏腹に、「人生のうちに全てを理解することはできない」と歌う曲。
“Mood Swings”収録の”Jealousy”を彷彿とさせるような、
ピートのリフワークはここでも冴えわたっています。

10.Wasted Years 3:44

「自分が最後のフロンティアになる、失った時間を取り戻そう!」
というメッセージを込めた強力なスピードナンバー。
レーベル名の”Frontiers”を思わせるワードチョイスも冴えています。

ラストにこの曲が据えられているところが本作の秀逸なところで、
紆余曲折を経て自分たちの持ち味を取り戻した傑作
“Weight Of The World”(2002)のラストナンバー
“Voice Inside”を聴いたときの高揚感を追体験した思いです。

昔のような「売れたい!」というガツガツしたところと折り合いがついたのか、
再結成後は自分たちのできること、求められているものをうまく織り交ぜて出力している彼ら。
ポジティブな内容の歌詞が増えてきたことからもその好調ぶりがうかがえます。

“Frontiers”レーベルの継続的な後押しがあることですし、
これからものびのびと続けてもらえれば……というのがいちファンとしての思いです。
(あとはこの強力な新譜を携えての来日に期待!)

Chasing Euphoria / Harem Scarem (2025) Disc 2

1.Better The Devil You Know (Acoustic) 3:55
2.Slow Burn (Acoustic) 3:46
3.In A Bad Way (Acoustic) 3:23
4.Reliving History (Acoustic) 3:21

日本盤限定のDisc 2は、新曲のアコースティックアレンジ4曲入り。
アコースティック巧者でもあるHarem Scarem、
メロディの引き立つ良アレンジで聴かせてくれます。
特に劇的な変化があったのは元がファストナンバーの“Slow Burn”
バッキングのテンポが半分になったことでまた違った楽しみ方ができますし、
“In A Bad Way”や”Reliving History“は、
アコギが打ち込みのドラムと絡み合うグルーヴを味わう面白さがあります。
よりリラックスして聴くのにうってつけの一枚。

こちらは日本盤2CD仕様。

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こちらは日本盤2CD+DVDの3枚組。

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【ライブレポート】 ROYAL HUNT JAPAN TOUR 2025 “Reviving The Chapter”大阪公演@梅田BANGBOO(2025/04/09) https://tashinami-musiclog.com/2025/04/22/live-royal-hunt-japan-tour-2025-reviving-the-chapter-osaka-2025-04-09/ https://tashinami-musiclog.com/2025/04/22/live-royal-hunt-japan-tour-2025-reviving-the-chapter-osaka-2025-04-09/#respond Mon, 21 Apr 2025 18:23:02 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3353 マーク・ボールズをボーカルに迎えたスペシャルな来日公演 いつの間にやら2週間近く経ってしまいましたが、ROYAL HUNTの来日公演、大盛況で幕を閉じましたね!今回自分は初めてのROYAL HUNT、前日の東京公演に続く […]

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マーク・ボールズをボーカルに迎えたスペシャルな来日公演

いつの間にやら2週間近く経ってしまいましたが、
ROYAL HUNTの来日公演、大盛況で幕を閉じましたね!
今回自分は初めてのROYAL HUNT、
前日の東京公演に続くツアー2日目の大阪公演に参戦。

今回のツアータイトル
“Reviving The Chapter”からは、
信仰とそこにつき纏うジレンマを描いた傑作
“Paradox”(1997)と、
その完全再現ライブを収めたライブ盤
“Paradox: Closing The Chapter”(1999)
を想起せずにはいられませんでした。

来日メンバーは以下の通り。
アンドレ・アンダーセン(Key.)
ヨナス・ラーセン(Gt.)
アンドレアス・パスマーク(Ba.)

彼ら正規メンバーに、今回はゲスト枠で
マーク・ボールズ(Vo.)
アラン・ソーレンセン(Dr.)

の2人が参加。

アラン・ソーレンセンは“Paradox”でも叩いていたメンバーなので、
今回のライブにはうってつけと言えます。
ボーカルがいつものD.C.クーパーでないことには戸惑いもありましたが、
マーク・ボールズもROYAL HUNTと共に2枚のアルバムを残していますし、
彼のパフォーマンスを観るのも今回が初めて。
スペシャルな公演を見せてくれるだろうという期待感のもと、
ちょこちょこ予習しつつ来日公演に備えていきました。

会場の梅田BANGBOOは昨年8月にオープンしたライブハウス。
梅田エリア屈指の飲み屋街、東通りに位置しているのでライブ後の打ち上げもしやすそう。

梅田BANGBOO(2025/04/09)
入口 ROYAL HUNT告知

仕事終わりでの参戦でしたが、駅近だったので余裕で並べたのも好印象。
荷物は駅のロッカーに預けましたが、
ロッカー自体は会場の階段を下りたところにもしっかり確保されていました。安心設計。
キャパは公式によると350名。
公演が発表されたときにすぐさまチケットを確保したこともあり、
前から4, 5列目に陣取れました。

開演前BGMはちょっと捻ったHR/HM見本市で楽しかったですね。
イングヴェイの“Déjà Vu”が流れたときは
マーク・ボールズはどんな気分で聴いてるのか……と思いもしましたが。
(なおこの曲はジョー・リン・ターナー期)
そしてまさかのHarem Scarem“Empty Promises”
若干捻った選曲ですが、ここで音がじわじわ大きくなっていき、遂に開演!

 ROYAL HUNT 開演前ステージ

幕が開くと、ステージ上の背景スクリーンには
“ROYAL HUNT”のロゴ、
そして青く、暗い輝きを放つ照明の中で流れ出したのが、
エンニオ・モリコーネ作曲の
“Ave Maria Guarani”
これはまさに
“Paradox: Closing The Chapter”(1999)と同じ展開!
今回のライブが「Paradox完全再現」であることを悟った瞬間でした。

The Awakening~River Of Pain
アルバムの導入となるインスト
“The Awakening”から、
満を持して“River Of Pain”へ!
アルバムが進むごとに背景の絵がパッと切り替わるので、
そこもドラマ性を高めてくれていました。
争いによって人々が死にゆくさまを歌う、
重厚なミッドテンポのこの曲では闘う先住民族の絵が大写しに。

そしてサングラスをかけた厳つい見た目のマーク・ボールズが歌い出した瞬間、
その声量とハイトーンに圧倒されました!
勿論サビの“River Of Pain~!”は早速の大合唱。
原曲を凌駕するレベルの強烈なハイトーンでの締めくくりも見事でしたし、
間奏のクラシカルなパートを過ぎたところでは、
各パートが入り乱れてリズムが取りにくい箇所があるのですが、
そこでファンの皆さんが平然とノっていて歴戦の猛者感がありました。

Tearing Down The World

ここで”Paradox”でも屈指の人気を誇る疾走曲へ。
ヨナス・ラーセンのギターソロに続けて披露された
アンドレ・アンダーセンの高速キーボードソロは圧巻。
表情豊かに観客を煽りつつ、硬軟織り交ぜたプレイで魅せるヨナスと、
キーボードの配置が壁沿いになっていることもあり、
観客に背中を向けながらになりつつも圧巻のソロを弾くアンドレが対照的でそこも面白かったです。
てっきり気難しいのかと思っていましたがそんなこともなく、
要所要所で煽りも加えたり観客を見つめてサングラス越しにニッコリ笑ってみせたりと、
この時間をたっぷり楽しんでいるように見えました。

Message To God
個人的に一番聴きたかった一曲!アルバム内でも大好きな曲です。
イントロではアンドレアス・パスマーク(Ba.)が中央のお立ち台でしっかりアピール。
メンバーひとりひとりの人柄の良さが感じられたのが好印象。
ブリッジの”Over and over again~”やコーラスの掛け合いなど、
煽らずとも自然と合唱になっていたのがまた良かったですね。
マーク・ボールズの声も、
パワフルではありながら繊細さや哀愁も感じさせる素晴らしいものでした。
感動してノリまくっていたらアンドレ・アンダーセンがニヤッとしながらこっちを見ていた気がするのですが、あくまで気がするというだけ。

Long Way Home
“Paradox”の中核をなす哀しくも美しい一曲。
その続編となる
“Collision Course: Paradox II”(2007)にもモチーフは引き継がれています。
前半の切々としたバラード部分、そして中盤の間奏でのクラシカルな高揚、
マークが大サビで魅せる強靭なハイトーン、そしてラストの雨音……と、
映画のような展開がこの一曲の中にも詰め込まれているのだと実感。

Time Will Tell
この辺りでマーク・ボールズはサングラスを取って素顔に。
最初は強面な感じかと思っていましたが、キラキラした目をした優しそうな方でした。
メタリックなネオクラ疾走曲はまさにマークの得意分野!
先ほどのバラードでの伸びやかな歌唱で喉も温まってきたのか、
River Of Painの時点で圧倒的だった声量がここからさらにパワーアップ。
アルバム後半以降は怒涛のハイトーン祭りになってとにかく無敵でした。
讃美歌のSEを挟んだ終盤では、
ヨナス・ラーセンによる泣きのギターソロタイム!これがまた絶品!

Silent Scream
そしてこちらも人気の一曲。
身体の自由が利かない主人公の魂の叫びを、圧倒的なパワーと、
そこに繊細さを同居させるテクニックでもって歌い上げるマークには圧倒されるばかり。
改めて目の前で味わって聴いてみると、Aメロのリズムなどは
2nd“Clown In The Mirror”後半の曲に近いものがあるのだなという気付きも。
今まで実験してきた要素がうまく融合して昇華された一曲だったのか!と、この曲の魅力を再発見。

It’s Over
前曲からすかさず“It’s Over”にバーン!と背景ごと切り替わる瞬間の素晴らしさ!
鬱々とした館の絵から一気に玉座の間のような荘厳な絵が浮かんでくるのは見事でしたし、
黄色い照明で会場全体がパッと照らされた演出も含めて、
アルバム“Paradox”の壮大な大団円を彩ってくれました。
改めて凄く綺麗なラストだなと惚れ直すとともに、
この「綺麗さ」の背後にある哀しみにも目を向けさせるような時間でした。
最後の歌い終わりでの大歓声が、この完全再現の素晴らしさを物語っていましたね。

ここでメンバーは一旦ステージを下り、何が出るかわからない第2部へ!

Martial Arts
日本では「蝶野正洋のテーマ」としてもお馴染みのインスト!
出だしのオルガンの音でウオーー!と快哉を上げる方も。

Half Past Loneliness
DC復帰後を象徴するようなこの曲がマーク・ボールズ版で聴けるとは!
実はSpotify上では人気No.1という実績のあるこの曲、
ヨナスのサビメロをなぞったギターリフの時点でもうグッときました。

The Art Of Dying
One Minute Left To Live

「もっとロックしたいか!?」という煽りから飛び出したのは
“Dystopia Pt. I”(2020)からの一曲“The Art Of Dying”
今回のセットの中でもひときわ「重さ」を前面に押し出した一曲でしたが、
その中にもアンドレの持っている「品」が息づいていたのを感じられたのが収穫。
続く“One Minute Left To Live”もキャッチ―なハードロックで、
「人生を後悔なく生きていこう」という強いメッセージが窺えました。

Flight
そして第2部ラストは1stからの名曲“Flight”
ネオクラシカルド真ん中の煽情的なクサさと高揚感、そして疾走……
日本のファンに愛される要素は初期から全て備わっていたのだなと再認識。
アンドレ・アンダーセンの楽しそうなプレイも光る本編ラストでした。

A Life To Die For
アンコールの一曲は2013年作のアルバムの表題曲。
同作収録の“One Minute Left To Live”にも通ずる、
「今、自分の人生を精一杯生きる」という直球のメッセージソング。

第2部以降は1stの“Martial Arts”“Flight”以外をDC復帰後の曲で固めていて、
率直に言えばなかなか攻めたセトリだなと思いましたが、
それもまた「過去の完全再現だけじゃ終わらせないぞ!」という現役感の表れかなと。
実際“A Life To Die For”(2013)は未聴のアルバムでしたが生で聴いてすぐに惚れこみましたし。
そしてマーク・ボールズは前方のファンにグータッチしていたのですが、これもライブハウスならでは!

ファン心理としては「マーク・ボールズ最高や!」という気持ちと「それはそれとしてDCも観たい!」という気持ちは両立してしまうのが難儀なところではありますが、
そういった今後のことは脇においても、
今日のライブは本当に行けてよかった……と素直に感じましたし、
すっかりマーク・ボールズの大ファンになってしまいました。

~第1部(“Paradox”完全再現)~
SE: Ave Maria Guarani
1.The Awakening
2.River Of Pain
3.Tearing Down The World
4.Message To God
5.Long Way Home
6.Time Will Tell
7.Silent Scream
8.It’s Over


~第2部~
9.Martial Arts
10.Half Past Loneliness
11.The Art Of Dying
12.One Minute Left To Live
13.Flight


~アンコール~
14.A Life To Die For

マーク・ボールズ在籍時のアルバムからも演るのでは?
という当初の予想こそ大外ししたものの、
“Reviving The Chapter”というツアータイトルの通り、
“Paradox”(1997)の完全再現をド頭から持ってきたのには大満足!
第2部からは打って変わって1stの2曲以外はDC復帰以降の曲という攻めた構成でした。
(日本ともゆかりの深い“Martial Arts”、そして“Flight”を入れてくれたのは流石)
結果的に現役感を感じさせるセトリになっていましたし、
マーク・ボールズの超人的なパフォーマンスに感動しつつ、
あくまで正規ボーカルはDCということなのだろうなとも感じましたが、
そのあたりは果たして……

(マーク・ボールズ在籍時に発表された“Paradox”の続編はこちら。)

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と思っていた矢先、
何と新EP“Behind The Curtain”のリリースと、
それに伴う予約キャンペーンが4/15(火)に発表されました!
公式サイトでは各種バンドル、クラウドファンディングについても発表。
肝心のボーカルがまだ載っていないので謎は尽きませんが、
これからも彼らの音楽を味わえることは間違いない!今はそれが素直に嬉しい!

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ROYAL HUNTの来日公演、間近に迫る!

ネオクラシカルな格調高いハードロックを武器に日本でも人気を博す、
デンマークが誇るROYAL HUNTの来日公演がいよいよ間近に!!
4/8(火)に東京、翌日4/9(水)に大阪公演というスケジュール。
折しも自分のTwitterの(胡乱な)TLで
局所的ブームが起こっていたところに発表されたので狂喜乱舞したものです。

来日する正規メンバーは以下の通り。
アンドレ・アンダーセン(Key.)
ヨナス・ラーセン(Gt.)
アンドレアス・パスマーク(Ba.)


今回はゲスト枠で以下の2人が参加。
マーク・ボールズ(Vo.)
アラン・ソーレンセン(Dr.)


残念ながら今回D.C.クーパー(Vo.)は帯同しないものの、
イングヴェイ・マルムスティーンのアルバム等でもお馴染みのシンガー、
マーク・ボールズも元メンバー。
・”Collision Course: Paradox II”(2008)
・”X”(2010)

Royal Huntでは上記の2作を残しており、
過去にはLOUD PARK 09でも出演歴あり。

ツアータイトルに“Reviving The Chapter”とあるように、
傑作“Paradox”(1997)の世界を、
続編となる“Collision Course”も含めた形で繰り広げてくれるのではないかと期待しています。

追記:ライブレポート(個人の感想)を上記にアップしました!

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20th Anniversary: Special Edition / Royal Hunt (2012)

さて、そんなタイミングで彼らのことをもっと知りたい……
というときに出会ったのがこの日本企画盤。
「ザ・ベスト・オブ・ロイヤル・ワークス 1992-2012
 ~20thアニバーサリー:スペシャル・エディション」
というイカしたタイトルがついているのですが、
この文言が登場するのは帯と日本盤ブックレットのみで、
海外ではもっぱらアートワークにある
“20th Anniversary: Special Edition”
という名前で通っているのが少し残念。

20th Anniversary: Special Edition / Royal Hunt (2012)帯

日本企画による「初のコンプリートベスト」を謳う本作。
CD全盛の90年代に特に人気だった彼らのベスト盤はいくつかありますが、
それらはどれもレーベルが組んだもの。
アンドレ・アンダーセン(Key.)のコメントにもあるように、
バンドが企画段階から立ち会えたベストは本作が初なのだそう。

時系列順に各アルバムの曲をピックアップしたDisc 1~2に加え、
新曲“Save Me”と3曲のアコースティックバージョン、
そして今までのボーナストラックやB面曲を収録したDisc 3に彼らの愛を感じます。

20th Anniversary: Special Edition / Royal Hunt (2012)裏ジャケ

Disc 1
1.Flight 4:00
2.Kingdom Dark 4:29
3.Stranded 4:41
4.Clown In The Mirror 4:36
5.Wasted Time 4:36
6.Epilogue 6:01
7.Time 4:56
8.Far Away 4:59
9.1348 4:33
10.River Of Pain 7:15
11.Tearing Down The World 5:32
12.Message To God 6:42

Disc 2
1.Cold City Lights 5:24
2.Follow Me 6:22
3.Surrender [Live] 5:15
4.The Mission [Live] 5:36
5.Can’t Let Go [Live] 4:41
6.Paper Blood 5:08
7.Season’s Change 4:55
8.The First Rock 4:47
9.Tears Of The Sun 6:00
10.The Well 4:52
11.Shadowman 5:36
12.Hard Rain’s Coming 5:15
13.Half Past Loneliness 5:39

Disc 3
1.Save Me 3:48
2.One By One [Acoustic Version] 4:42
3.Bodyguard [Acoustic Version] 4:06
4.Restless [Acoustic Version] 3:19
5.Bad Luck 3:17
6.Double Conversion 4:19
7.U-Turn 7:25
8.Sixth Sense 4:22
9.Day Is Dawning 3:46

Disc 1にはヘンリック・ブロックマンがボーカルをとった初期2枚と、
D.C.クーパー加入で人気をさらに高めた
3rd“Moving Target”(1995)
そして信仰とそこに内在する歪みを扱った
傑作“Paradox”(1997)からの楽曲を収録。
日本では「蝶野正洋のテーマ」としても親しまれる“Martial Arts”
“Last Goodbye”が無いのが少し勿体ない気もしますが手堅い選曲。
ミックスも向上しているので気持ちよく聴けます。

Disc 2はジョン・ウェスト~マーク・ボールズ~D.C.復帰までの
各キラーチューンを一気におさらいできる一枚。
個人的には5th“Fear”(1999)までしか持っていなかったので、
“Surrender”以降は特に楽しく聴けました。
いつになく歪んだギターとジョン・ウェストの激しい歌唱が味わえる
“Paper Blood”には特に衝撃を受けましたし、
マーク・ボールズ加入作“Collision Course: Paradox II”(2008)からの
激しさと哀感を両立させた“The First Rock”
要所に登場する女声コーラスとの対比が美しい“Tears Of The Sun”は絶品。
聴いた勢いでそのままアルバムを購入。
そしてD.C.復帰後の名曲“Half Past Loneliness”で締めるのも良采配。
(ちなみに2025/4/8現在、Spotifyでの再生数トップはこの曲)

そしてファン垂涎のDisc 3!
ここでしか聴けない当時の新曲“Save Me”は、
ネオクラ路線かと思いきやうねるスライドギターに意表を突かれる一曲。
Deep Purpleの”Perfect Strangers”を思わせるような
バックのストリングスと力強い曲調に風格を感じさせます。
“Save Me~!”のキャッチ―な反復で聴かせるコーラスも流石の出来。
アコースティック再録の3曲も、曲が良いのは勿論のこと、
ボトムを支えるドラムの録音が良いのでスタジオライブの中にいるよう。
特に2ndの“Bodyguard”はこのバージョンで映えていて驚きましたし、
ライブ盤“1996”のボートラだった
“Restless”の再録がここにあるのも良いですね。
5曲目以降には今までのB面曲等を収録しているのですが、
インスト“Sixth Sense”は日本盤初収録。
各パートに見せ場を設けた激しくもまとまりのある良曲でした。

Royal Huntの最新作は”Dystopia”をテーマにした2部作。
各所での評判も上々。こちらが「パートI」。

こちらが最新作「パートII」。

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【CD購入録】 March Of Time – The Best Of 40 Years / Helloween (2025) https://tashinami-musiclog.com/2025/04/03/cd-march-of-time-the-best-of-40-years-helloween-2025/ https://tashinami-musiclog.com/2025/04/03/cd-march-of-time-the-best-of-40-years-helloween-2025/#respond Wed, 02 Apr 2025 18:15:41 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3351 HELLOWEENの歴史の重みを物語る42曲 HELLOWEENの40周年を記念した最新ベスト盤、“March Of Time – The Best Of 40 Years”が4/2( […]

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HELLOWEENの歴史の重みを物語る42曲
March Of Time - The Best Of 40 Years / Helloween

HELLOWEENの40周年を記念した最新ベスト盤、
“March Of Time – The Best Of 40 Years”
4/2(水)に発売されました!

チャンピオンリングを模したジャケットには貫禄が感じられますし、
リング側面の「7」と鍵を組み合わせた意匠も、
“Keeper Of The Seven Keys”にかかっていてクールです。

ちなみに彼らのオールタイムベストが出るのは、
日本だと国内限定発売の”Sweet Seductions”(2017)以来。
こちらはPUMPKINS UNITED TOURを記念して、
日本のファンによる選曲で発売されたもの。
同じく時系列の3枚組なので選曲の違いを見比べるだけでも面白いはず。

ちなみに世界規模でいえば“Treasure Chest”(2002)や、
「武装解除」したアレンジを施した再録盤
“Unarmed – Best Of 25th Anniversary”(2009)
以来のことなのでかなり久々。

1stアルバムの“Walls Of Jericho”
そしてそれに先立つEP“HELLOWEEN”(1985)から、
カイ・ハンセンとマイケル・キスクが復帰した
いわゆるPUMPKINS UNITED体制となってからリリースした
16th“HELLOWEEN”(2021)の曲まで含んだ3CD・42曲の大ボリューム。
さらに“Better Than Raw”(1998)までの音源は最新リマスター!

March Of Time - The Best Of 40 Years / Helloween(ブックレット)

ちなみに中身はこんな感じ。
ジャケットを開くとKEEPERとファングフェイスが出迎えてくれるのは良いですね。
メンバー写真の他にも、過去のアートワークへの敬意を表した意匠がズラリ。
日本盤の解説書にはライナーノーツや歌詞は無いものの、
バンドによるコメントの日本語訳と各アルバムの簡潔な紹介が添えられています。

March Of Time - The Best Of 40 Years / Helloween (2025)裏ジャケ

Disc 1
1.Walls Of Jericho / Ride The Sky 6:46
2.Metal Invaders 4:12
3.Victim Of Fate 6:38
4.How Many Tears 7:17
5.Eagle Fly Free 5:10
6.Halloween 13:18
7.A Tale That Wasn’t Right 4:45
8.Future World 4:04
9.March Of Time 5:15
10.Dr. Stein 5:05
11.Keeper Of The Seven Keys 13:38

Disc 2
1.I Want Out 4:41
2.Kids Of The Century 3:53
3.Number One 5:14
4.Windmill 5:15
5.Sole Survivor 4:31
6.Perfect Gentleman 3:52
7.In The Middle Of A Heartbeat 4:30
8.Why? 4:08
9.Forever And One (Neverland) 3:55
10.Power 3:30
11.Steel Tormentor 5:41
12.Hey Lord! 4:08
13.I Can 4:40
14.If I Could Fly 4:09
15.Mr. Torture 3:29
16.Hell Was Made In Heaven 5:34
17.Light The Universe [Feat. Candice Night] 5:00

Disc 3
1.The Invisible Man 7:18
2.As Long As I Fall 3:43
3.Kill It 4:15
4.Where The Sinners Go 3:37
5.Are You Metal? 3:38
6.Nabataea 7:04
7.Straight Out Of Hell 4:37
8.Waiting For The Thunder 3:56
9.Heroes 3:55
10.My God-Given Right 3:32
11.Pumpkins United 6:20
12.Best Time 3:37
13.Fear Of The Fallen 5:40
14.Skyfall 12:12

選曲はご覧の通り。
基本的には時系列ではありますが、Disc 1は少し特殊。
“Ride The Sky”“Eagle Fly Free”といった
カイ・ハンセン期、マイケル・キスク期をそれぞれ象徴する一曲が前にスライドした形。
“Walls Of Jericho”のイントロはやっぱり1曲目にある方が映えますしね。

“Halloween”“Keeper Of The Seven Keys”
そして最新作からの“Skyfall”といった大作がフル尺で入っているのも嬉しいですし、
“Number One”“Heroes”といった捻った選曲もまた新鮮。

アンディ・デリスとキャンディス・ナイトのデュエットが聴ける
“Light The Universe”や、
ヘヴィなベースも味わえる疾走曲
“The Invisible Man”
哀愁漂うピアノのリフが胸を焦がす
“Waiting For The Thunder”といった楽曲が
遂にベスト盤に入ったのも感無量。
その分「あれがない、これがない」となるのもお約束ではありますが。

ざっと一周通して聴いた感想としては、
やはり初期曲で占められたDisc 1はリマスターの恩恵を特に感じられて新鮮でした。
リマスター効果で全体的にドラムに重量感が出たのは素直に良いなと感じましたし、
Disc 2の“Number One”“Windmill”の音もブラッシュアップされた印象。
アンディ期でいえば
“Sole Survivor”“Steel Tormentor”あたりで変化を如実に実感。
リマスターの紙ジャケ再発シリーズは
“The Dark Ride”(2000)しか所持していなかったのですが、
本盤で俄然気になってきましたね。

カイ・ハンセンのリフワークと唯一無二の歌唱から、
パワーメタルという巨大なジャンルの開拓者となったHELLOWEEN。
その歩みを時系列で追ったオールタイムベストである今作を締めくくるのが、
同じくカイ・ハンセンによる大作“Skyfall”
この構造はまさに美しい円環(“Rings”)をなしていると言えるはず。
ここにアートワークとの共鳴を感じてしまうのは穿ちすぎでしょうか。

綺麗な形でアニバーサリーを迎えた彼らの物語は、
近々発表予定のニューアルバムと、
新曲を含む40周年ツアーでさらに花開いていきます。
本作からその40周年ツアーのセットリストを予想するのもまた一興。

ちなみに先日(3/23)、
サシャ・ゲルストナー(Gt.)がインスタのストーリーで
「僕が作った曲でライブで聴きたいのはある?」とアンケートを出しており、
そこで得票数1位になった“The Invisible Man”はセトリ入り濃厚とにらんでいます。

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【レビュー】 Stereo Crush / Gotthard (2025) https://tashinami-musiclog.com/2025/03/24/stereo-crush-gotthard-2025/ https://tashinami-musiclog.com/2025/03/24/stereo-crush-gotthard-2025/#respond Sun, 23 Mar 2025 16:06:56 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3254 5年ぶりとなる14thは、持ち味を突き詰めた充実作 スイスの産んだ国民的ハードロックバンドGOTTHARDが、前作“#13″(2020)から5年ぶりとなる14thアルバム“Stereo […]

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5年ぶりとなる14thは、持ち味を突き詰めた充実作
Stereo Crush / Gotthard (2025)

スイスの産んだ国民的ハードロックバンドGOTTHARDが、
前作“#13″(2020)から5年ぶりとなる14thアルバム
“Stereo Crush”を発表!
ドラマーがKrokusのフラヴィオ・メッツォディに交替してからは初のアルバムとなります。

というわけでメンバーは以下の通り。
ニック・メーダー(Vo.)
レオ・レオーニ(Gt.)
フレディ・シェラー(Gt.)
マーク・リン(Ba.)
フラヴィオ・メッツォディ(Dr.)

タイトルにもマッチしている気合の入ったジャケットは
Thomas Ewerhard氏によるもの。
Tobias Sammet’s Avantasia
“The Scarecrow”(2008)などを手掛けた方ですね。

Stereo Crush / Gotthard (2025)裏ジャケ

1.AI & I 2:53
2.Thunder & Lightning 3:38
3.Rusty Rose 4:14
4.Burning Bridges 3:37
5.Drive My Car 3:00
6.Boom Boom 3:58
7.Life 3:26
8.Liverpool 3:43
9.Shake Shake 3:49
10.Devil In The Moonlight 3:11
11.Dig A Little Deeper 3:53
12.These Are The Days 3:23

Stereo Crush / Gotthard (2025)

今回は日本盤ボーナストラックは無し。
と言いつつも、この12曲トータルでの完成度が高いので潔さも感じます。
トータルランニングタイムも43分と無駄がなく聴きやすい印象。
キャプテンこと和田誠氏の熱のこもったライナーは、
各曲のバックグラウンドの紹介も手厚いので必読。

本作からの先行公開は4曲。
最初に公開された”Boom Boom“から、
曲名通り強靭なビートで突き進む直球勝負の一曲で評判も上々!
トーキングモジュレーターの主張が強いのも嬉しい。

さらにそこからメロハード真ん中の“Thunder & Lightning”
トーキングモジュレーターがここでも炸裂する“Rusty Rose”と、
切られてくる曲が軒並み強力だったのも期待感を高めてくれました。
直前には“Drive My Car”(ビートルズのカバー)が公開。

1曲目の“AI & I”でヘヴィに突き進んでから、
メロハー路線のシングル2曲
“Thunder & Lightning”“Rusty Rose”
そしてテンポを落とした4曲目“Burning Bridges”で聴かせる流れ。
これがまず劇的で美しいですね。
ニック・メーダ―の多彩な歌唱が味わえるので序盤から満足感があります。

1曲目に敢えて“AI & I”を置いていることも示唆的で、
無機質なものとは違って血の通ったものを見せたい!という気概を感じます。
コロナ禍を反映した作品からさらに一歩進んで、
広くいきわたり始めたAIとどう対峙するかを扱った作品が近年の潮流となりそう。

ビートルズのカバー“Drive My Car”はまさしくGOTTHARDの真骨頂!
よりドライブ感を高めたリフワーク、
そして”She said baby~”のニックの歌いまわしのアレンジがクール。
単なる完コピではない魅力を放っています。

先行公開の“Boom Boom”は、
レオ・レオーニのもとに息子が生まれた喜びをストレートに表現したもの。
そこから“Life”と題したバラードにつなぐのは見事ですし、
曲の魅力が重層的に深まっていくようなアルバム構成。

ビートルズへの愛が曲名からも伝わるキーボード強めな“Liverpool”
妖しいベースから始まり徐々にヒートアップする“Shake Shake”
“Wow oh oh oh oh~”のコーラスが楽しい“Devil In The Moonlight”
ギターソロもたっぷりとられた“Dig A Little Deeper”など、
アルバム後半も直球のハードロックナンバーがズラリ。
コロナ禍を経てじっくり曲を練り上げたのが活きています。

そして今作、ラストの“These Are The Days”がまた素晴らしい!
ブルースハープのイントロから心を掴まれますが、
ここで聴けるニックの歌唱とそれを彩る分厚いコーラスは、
このアルバムの大団円として綺麗に機能しています。
どこか土の匂いを感じる雰囲気ですがそこに悲壮感はなく、
むしろキラキラした感触なのは、
この曲を含めたトータルでの本作の特徴かと思います。
よりストレートにメロハーの雄としての良さを表現した充実作でした。

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【レビュー】Phantomime / Ghost (2023) https://tashinami-musiclog.com/2025/03/17/phantomime-ghost-2023/ https://tashinami-musiclog.com/2025/03/17/phantomime-ghost-2023/#respond Sun, 16 Mar 2025 17:04:06 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=1703 遂に今年4月に最新作となる6th“Skeletá”をリリースする、スウェーデン発、トビアス・フォージ率いるGhost。新曲“Satanized”も早速公開されています。 さ […]

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遂に今年4月に最新作となる6th“Skeletá”をリリースする、
スウェーデン発、トビアス・フォージ率いるGhost
新曲“Satanized”も早速公開されています。

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Phantomime / Ghost (2023)

さて、ここで紹介する今作“Phantomime”は、
“If You Have Ghost”(2013)
“Popestar”(2016)に続く、
お馴染みの?カバーEP第三弾。
5曲入りなのもこれまでと変わらず。

キャリア史上最もポップで流麗なメロディを主軸に置いた
5thアルバム“IMPERA”(2022)の翌年に発売された本作。
いつものことながらTelevisionGenesisなど、
幅広いジャンルから節操なくピックアップして自分のものにする手腕は見事。
逆にIRON MAIDENの名曲をストレートにカバーした
“Phantom Of The Opera”が珍しく見えるほど。

HR/HMリスナーからの支持にとどまらず、
元はと言えばB面曲だった
“Mary On A Cross”が(何故か)TikTokから火がつく形で流行するなど、
気づけば「みんなのGhost」として大衆からの人気も獲得していった彼ら。
そのサタニックな見た目の裏にあるポップセンスの源を垣間見られる一枚です。

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Phantomime / Ghost (2023)裏ジャケ

収録曲は以下の通り。
ちなみに自分の所有しているのはチェコ盤。

1.See No Evil 4:04
2.Jesus He Knows Me 4:05
3.Hanging Around 4:10
4.Phantom Of The Opera 7:23
5.We Don’t Need Another Hero 4:10

See No Evil

ニューヨーク・パンクのレジェンド、
Television“Marquee Moon”の1曲目をGhost流に料理。
元々のメロディも活かしつつ適度な装飾を随所に加えています。
(曲名だけ見るとGhostの曲っぽさもありますし)

Jesus He Knows Me

今作のリードトラックとしていち早く配信された一曲。
こちら何とGenesisのカバー。MVも制作されました。

ポップなメロディを活かしつつ、
ストレートな疾走曲としてGhostの持ち曲のように換骨奪胎。
トビアスのポップセンスが光る良アレンジです。

Hanging Around

こちらは英国パンクのThe Stranglersのカバ―。
いつもながら影響元の幅広さを物語るカバーEPシリーズですが、
パンクバンドからの選曲が目立つのは本作の特徴。

Phantom Of The Opera

こちらは先行公開2曲目。
IRON MAIDENの1stから、
スティーヴ・ハリスの手によるドラマチックな長尺曲を手堅くカバー。
と言いつつ、オルガンの音でGhostらしさもしっかり出した秀逸な出来。

ブルース・ディッキンソン期ではなく1stから選んでくるというのも、
トビアス自身の声の特性を最大限に活かせる選曲になっていて流石。
序盤の冷んやりとした歌い方から徐々にヒートアップしていくのが良いですね。
怪しげなギターリフとボーカルがユニゾンする不思議な感覚もハマっています。
2024年のグラミー賞のBest Metal Performanceにもノミネートされました。

We Don’t Need Another Hero

ラストに据えられたこのカバーは、
“マッドマックス3″のサントラに収録されたティナ・ターナーの曲。
これも中々面白い選曲ですし、歌いまわしにはどこか温かみも感じます。
シンセっぽいベースの音色や分厚くも分離感のあるギター、
サビを仰々しく盛り上げるエコーを効かせまくったドラムもそれぞれ秀逸。

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目下の最新作“Skeletá”はこちら。

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【レビュー】METAL – EP / Newsted (2013) https://tashinami-musiclog.com/2025/03/17/metal-ep-newsted-2013/ https://tashinami-musiclog.com/2025/03/17/metal-ep-newsted-2013/#respond Sun, 16 Mar 2025 16:22:40 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=1642 ご存知METALLICAの2代目ベーシストを務めたことで広く知られるジェイソン・ニューステッドが、自身の名前を冠して結成したNEWSTEDのデビューEP。もとは2013年1月にDLのみでの発売だったものですが、好評を受け […]

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METAL - EP / Newsted (2013)

ご存知METALLICAの2代目ベーシストを務めたことで広く知られる
ジェイソン・ニューステッドが、
自身の名前を冠して結成したNEWSTEDのデビューEP。
もとは2013年1月にDLのみでの発売だったものですが、
好評を受けて3月に海外でCD化されたのがこちら。

METAL - EP / Newsted (2013)盤面、メンバー紹介

参加メンバーは以下の通り。
Jason Newsted(Ba, Vo.)
Jessie Farnsworth (Gt.)
Jesus Mendez Jr. (Dr.)

ちなみに彼らが発表した音源はこのEP“Metal”と、
ギタリストにStaindのMike Mushokを迎えた4人体制で
同年に発売されたフルアルバム“Heavy Metal Music”のみ。
どちらも直球勝負なネーミングが何ともジェイソンらしいです。

メタリカのライブでは“Creeping Death”での”Die! Die!”のコーラスや、
一曲丸々ボーカルを任された“Seek & Destroy”等にみられるように、
ジェイソンの歌唱力の高さはよく知られていましたし、
ここではそのドスの効いた声と硬質なサウンドを堪能できます。

METAL - EP / Newsted (2013)裏ジャケ

1.Soldierhead 4:16
2.Godsnake 5:17
3.King Of The Underdogs 6:00
4.Skyscraper 6:35

1.Soldierhead 4:16

MVも制作された記念すべき1曲目は、
ジェイソンの歪んだベースと吐き捨てるような歌唱でゴリゴリに突っ走る曲。
バンドのパブリックイメージに一番近い仕上がりといえるはず。

2.Godsnake 5:17

先ほどの疾走とは一転して、地を這うようなグルーヴが味わえる曲。
メタリカの“The God That Failed”“Devil’s Dance”に雰囲気は近いかも。
キーをDに落としていることもありヘヴィではありますが、
ジェイソンの荒々しい声にマッチしていて気持ちよく聴けます。

3.King Of The Underdogs 6:00

ゆったりとしたベースと抑えめな歌唱で始まるので、
始めはバラードか?と思わせておきつつも、
曲全体を通してどんどん熱量を上げていく構成が秀逸。
どん底から這い上がる情熱の迸りが表現されていて完成度も高い!
本作では一番気に入っています。

4.Skyscraper 6:35

最後は跳ねるリズムが特徴的な一曲。
序盤からジェイソンのアジテーション的な歌唱が映えていてこれも聴き応え充分。
曲中で繰り返される
「善い戦争など無い!」「聖なる戦争など無い!」
というメッセージが突き刺さります。
後半で絡んでくるワウの効いたギターも良いですね。

フルアルバム“Heavy Metal Music”には、
ここから“Soldierhead”“King Of The Underdogs”を収録。
パンチの強い曲が順当にアルバムに入った感もありますが、
本EPの4曲だけとってみてもしっかり練られていて、
疾走のみならずグルーヴィーな曲も備えているのは流石。
90年代メタリカが好きなら裏切られることはないはず。

当時は注目作として雑誌等でも話題になっていましたし、
このまま順調にパーマネントなバンドとして続いていくのと思われていましたが、
2014年には活動を終了させていたというのが何とも……

と思いきや、調べると2023年に突如復活ライブを行っていたとのこと!
(Mike Mushokは多忙のため不参加、後任はHumberto Perez)
音源化されていない新曲も披露しているので、
マイペースな活動ぶりではありますが、これからの展開にも期待したいところ。

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【レビュー】Ghost Of You / H.E.R.O. (2025) https://tashinami-musiclog.com/2025/03/11/ghost-of-you-h-e-r-o-2025/ Mon, 10 Mar 2025 16:27:23 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3246 デンマークのH.E.R.O.による待望の4作目! デンマークのロックバンドH.E.R.O.の4thアルバム“Ghost Of You”がこのたび発売に! 前作“Alternate Re […]

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デンマークのH.E.R.O.による待望の4作目!

デンマークのロックバンドH.E.R.O.の4thアルバム
“Ghost Of You”がこのたび発売に!

Ghost Of You / H.E.R.O. (2025)

前作“Alternate Realities”(2022)は、
2ndまでの親しみやすいロックサウンドに加えて、
過去の苦悩の激しさを表現するような、
現代的で電子的なヘヴィネスを新機軸として押し出した作品でした。
しかし、激しいようでも根底には質の高いメロディがあるのが魅力。

ソレン・イノテフ(Gt.)が2022年に脱退したことにより、
デビュー当初と同じく3ピースに戻った彼ら。
“Ghost Of You”という意味深長なタイトルとコンセプトからも、
曲に込められた並々ならぬ思いを感じます。

Ghost Of You / H.E.R.O. (2025)裏ジャケ

1.The Beginning 0:52
2.Razorsharp 3:55
3.Ghost Of You 3:53
4.Goddess 3:16
5.Halo 3:53
6.Chemicals 4:07
7.The Middle 0:52
8.Misalign 4:38
9.Euphoria 3:03
10.All Falls Down 3:18
11.End Of Us 3:53

日本盤ボーナストラック
12.Gravity [Live From Loud Park 2023] 4:02
13.Oxygen [Live From Loud Park 2023] 4:46

第1弾となる新曲“Misalign”が出たのは昨年4月ということで、
ほぼ1年近くに及ぶスパンでじっくり練り上げた楽曲が並ぶ今作。

先行シングルが計4曲と多めなのはマーケティングの趨勢ですが、
1曲目と7曲目にインストの小曲を挟むことで
レコードのA面・B面のようなまとまりを生んでいることも見逃せません。
1曲目が“The Beginning”
そしてラストが”End Of Us“という対比も美しい一枚。

特に満を持してリリースされたタイトルトラック
“Ghost Of You”の出来は流石の貫禄。
トラウマに苛まれ自問自答する歌詞と共鳴するヘヴィなサウンド、
切迫感がありつつもキャッチ―にまとめられたこの曲は
本作を象徴するに相応しい出来。

そして個人的なお気に入りは続く4曲目の“Goddess”
“Ghost Of You”の余韻を受けつつも、
目先を変えてさらに引き込んでくるイントロは秀逸。

日本盤にはLOUD PARK 2023から
“Gravity”“Oxygen”の2曲を収録。
ラウパ大阪への出演は無かったのでこうして聴けるのが嬉しい!

Slash Feat. Myles Kennedy & The Conspiratorsの前座としてのライブで、
その洗練された楽曲と佇まいですっかりファンになったのはいい思い出です。
かねてより日本での単独公演を計画していたという彼ら。
本作を引っ提げてのライブが観られる日も近いかもしれません。

LKINKIN PARKBring Me The Horizon
日本でいえばONE OK ROCK等のファンには
間違いなく刺さるであろうポテンシャルはずっとあるので、
日本との相思相愛を喜びながら、
さらなる人気爆発に向けて応援したいところ。

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【レビュー】 Blood Mountain / Mastodon (2006) https://tashinami-musiclog.com/2025/03/09/blood-mountain-mastodon-2006/ https://tashinami-musiclog.com/2025/03/09/blood-mountain-mastodon-2006/#respond Sat, 08 Mar 2025 18:48:52 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=2567 Brent Hinds(Gt/Vo.)の突然の脱退に寄せて…… 米国産プログレッシブメタル、スラッジメタルの巨人Mastodon。1stアルバムの頃から不動のメンバーで進んできた彼らですが、202 […]

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Blood Mountain / Mastodon (2006)

米国産プログレッシブメタル、スラッジメタルの巨人Mastodon
1stアルバムの頃から不動のメンバーで進んできた彼らですが、
2025年3月7日、突如として
Brent Hinds(Gt/Vo.)の脱退が発表…..
2022年のDOWNLOAD以来となる日本公演を心待ちにしていたのですが非常に悲しいです。
あの土臭さも幻想的な雰囲気も演出できるギターサウンドは
このバンドの核となるものだと思っていましたし、
今年はWACKEN OPEN AIRへの出演や
Black Sabbathの豪華なラストライブなど、
(いつものことながら)大きな案件も多いので……。

さて、自分がバンドの名前は知っていつつも
大学時代に初めて触れたのがこの“Blood Mountain”でした。

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Blood Mountain / Mastodon (2006)裏ジャケ

1.The Wolf Is Loose 3:34
2.Crystal Skull 3:27
3.Sleeping Giant 5:36
4.Capillarian Crest 4:25
5.Circle Of Cysquatch 3:19
6.Bladecatcher 3:21
7.Colony Of Birchmen 4:20
8.Hunters Of The Sky 3:52
9.Hand Of Stone 3:31
10.This Mortal Soil 5:00
11.Siberian Divide 5:32
12.Pendulous Skin 5:08

日本盤ボーナストラック
13.Crystal Skull [Live] 20:37

輸入盤・日本盤問わず最後の曲の後には15分程度の空白があり、
その後にはボイスメッセージのような声が。
声の主はなんとQueens Of The Stone AgeJosh Homme
7曲目の“Colony Of Birchmen”では彼のボーカルも聴けます。

トライバルなビートに導かれて三連主体で駆け抜ける2曲目
“Crystal Skull”はキャリア屈指の名演。

爆走する1曲目“The Wolf Is Loose”からの超攻撃的な流れはインパクト抜群!

しかし「巧いけどこの激しさで最後まで通されるとしんどいな……」
と、かつての自分は序盤のブルータルさに面食らい一度挫折。
そこから暫くアルバムごと寝かせてしまい、
ここでハマるのが遅れたのは自分の不明を恥じるしかないです。

Blood Mountain / Mastodon (2006)盤面

しかし後々プログレにもブルータルな音にも慣れた耳で今作を聴き直すと、
3曲目“Sleeping Giant”では幽玄の世界が広がっていて驚いた次第。
イントロで飛び込んでくるリバーブのかかったリフですっかりKOされました。

さらに後半になるにつれて、印象に残るメロディもプログレ度も増加していき、
蓋を開けてみると非常に質の高く、面白い一枚でした。
中でも10曲目“This Mortal Soil”は個人的に一押し。

かつての自分、せめて3曲目まで聴いてくれ……と後悔しつつ、
「機が熟す」とはこういうことなんだろうなと思ったりも。
Amazonで輸入盤(新品)が安く出ていたので買い直しのため即入手。

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腰を据えてMastodonを聴いていくと、
今作の立ち位置も見えてきました。
前作“Leviathan”のドライなようでいてまとわりつくような音像も、
モチーフとなった『白鯨』の雰囲気が出ていて勿論好きなのですが、
今作では音がよりクリアになったと共にドラムの超絶技巧が前面に出てきて、
さらなる迫力と聴き応えを生んでいるように感じます。

金字塔と名高い次作“Crack The Skye”(2008)以降は、
抑制のきいたプレイが増えてくるわけですが、
本作での叩きっぷりは圧倒的。
この時期にはこの時期にしかない個性と味があります。

ちなみに“Crack The Skye”の15周年記念盤は昨年発売。

さて、昨年は“Leviathan”(2004)の20周年を記念して、
同じく2004年に“Ashes Of The Wake”をリリースした
Lamb Of Godとのツアーが話題になったマストドン。

2024年はHR/HM界に限らず多種多様なバンド同士のコラボ曲が出ましたが、
ここでのコラボ曲“Floods Of Triton”は強烈でしたね。
アクの強さゆえ曲調がマストドン寄りだったのはご愛嬌、
その推進力の高さとブルータリティには圧倒されました。

果たして2025年の彼らは一体どうなっていくのか……。
バンドは生き物だというのは分かってはいますが辛いところ。
我々は見守るしかないわけですけどもね。

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