2023年 - TASHINAMI MUSIC https://tashinami-musiclog.com HR/HMとプログレとアイマスに揺さぶられたZ世代の記録 Tue, 11 Nov 2025 23:49:31 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9 https://tashinami-musiclog.com/wp-content/uploads/2023/07/cropped-icon-32x32.jpg 2023年 - TASHINAMI MUSIC https://tashinami-musiclog.com 32 32 【レビュー】 The Dio Album / Paul Gilbert (2023) https://tashinami-musiclog.com/2025/11/12/the-dio-album-paul-gilbert-2023/ https://tashinami-musiclog.com/2025/11/12/the-dio-album-paul-gilbert-2023/#respond Tue, 11 Nov 2025 18:15:17 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=3586 目次 ロニーの遺した名曲がズラリ。ポールの愛が伝わる新解釈収録曲 ロニーの遺した名曲がズラリ。ポールの愛が伝わる新解釈 金欠から目を逸らしつつAmazonを見ていると気になっていたアルバムが安くなっていたので即購入。後悔 […]

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金欠から目を逸らしつつAmazonを見ていると気になっていたアルバムが安くなっていたので即購入。後悔などあろうはずがありません。

The Dio Album / Paul Gilbert (2023)

The Dio Album / Paul Gilbert (2023)

Racer XMR. BIGのギタリストとして広く知られるポール・ギルバート。
彼が2023年にリリースしたのが、
故ロニー・ジェームス・ディオへのトリビュートアルバム、
その名も“The Dio Album”

ロニーのボーカルラインを全てギターでカバーするという野心的なインスト作で、
ドラム以外は全てポールが担当するDIYぶり!
本当はドラムも達者なポールですが、
今回は本職のBill Ray(勿論ロニーの大ファン!)に譲っています。

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1.Neon Knights 4:45
2.Kill The King 4:52
3.Stand Up And Shout 3:19
4.Country Girl 3:59
5.Man On The Silver Mountain 4:20
6.Holy Diver 5:18
7.Heaven And Hell 6:27
8.Long Live Rock And Roll 4:27
9.Lady Evil 4:28
10.Don’t Talk To Strangers 5:07
11.Starstruck 4:11
12.The Last In Line 5:57

日本盤ボーナストラック
13.Love Is All 3:37

今作はなんと言ってもロニーの所属した時期の
RainbowBlack Sabbath、そしてDIOから満遍なく選ばれた名曲揃いなので、
否応なしにテンションも上がろうというもの。
と言いつつサバスの“Mob Rules”からは“Country Girl”をセレクトしているあたり、
並々ならぬこだわりを感じさせます。
ちなみに内訳は以下の通り。几帳面にまんべんなく4曲ずつ選曲しているんですね。
Rainbow:#2, #5, #8, #11
Black Sabbath:#1, #4, #7, #9
DIO:#3, #6, #10, #12

日本盤ボーナスにはロニーが歌ったロジャー・グローヴァーの曲
“Love Is All”のカバーを収録。マニアだ……

ポール自身によるライナーノーツも読み応え抜群、
「たまたまDIOのキャップを被った人を見かけたことがアルバム制作のきっかけ」
というのも面白いですし、裏ジャケのロニーにメロイックサインを捧げるポールの写真は、
まさにハードロック少年そのものでどこか微笑ましい!

The Dio Album / Paul Gilbert (2023)裏ジャケ

ロニーのボーカルをギターで再現するにあたって、時には原曲をスロー再生しながら、
細かな歌い回しを丁寧に分析して自身のプレイに落とし込んだというので頭が下がります。

ギタリストとしてリッチー・ブラックモア、トニー・アイオミ、ヴィヴィアン・キャンベルといった
それぞれの名手たちのニュアンスを体得すべく研究したのも見事ですし、
おまけにギターのみならずベースも担当しているのは流石。
(要するに“Lady Evil”のイントロもポール)

1曲目の“Neon Knights”の歌メロの一音目が、
不思議としっかり”Oh〜!”に聴こえてきて驚くなど。
個人的には隙間を活かして風格をしっかり感じさせてくれる“Holy Diver”
跳ねるリズムがインストでも楽しい“Long Live Rock And Roll”も気に入っています。
そしてヴィヴィアン・キャンベルに負けじと全編にわたり弾きまくる
“Don’t Talk To Strangers”は圧巻の一言。

The Dio Album / Paul Gilbert (2023)盤面

やっぱり声が無いと物足りない……という意見もありそうですが、
それもそれでロニーの存在感の大きさを感じさせられて、
実に良いトリビュートになっているのではないかと感じます。
せっかくなら“Rainbow In The Dark”も聴いてみたかったなという贅沢な悩みもありますし、
“We Rock”なんかはやっぱりザクザクしたギターの中でのロニーの叫び一発のサビがキモだからこそカバーされないのかな……という邪推までしたくなります。

「豚骨ラーメンを頼んだら豚骨ラーメンが出てくる」ような一枚なので、
大きなサプライズこそないかもしれませんが、
研究熱心なポールの永遠のロック少年ぶりを味わえる好盤。

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ポールが近年熱心に探求を続けているのが
「歌メロをギターにどのように落とし込んでいくか」というテーマ。
オリジナル3曲、往年の名曲のインストカバー8曲からなるアルバム
“Stone Pushing Uphill Man”(2014)で本格化したこの試みですが、
本作“The Dio Album”(2023)もこの系譜にあるものだと解釈しています。
(こちらも良いアルバムだったので是非)

MR. BIGのラストツアーで2度来日した際は、自身のギターソロタイムに
“Nothing But Love”“Stay Together”を披露し、
「ギターを歌わせる」真髄を披露してくれました。
実際に生で聴いてみて、なるほど今のポールがやりたいことはこれなのか……!と、いたく感動した次第です。

ラストツアー(2023)大阪公演

ラストツアー(2025)大阪公演

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【レビュー】Phantomime / Ghost (2023) https://tashinami-musiclog.com/2025/03/17/phantomime-ghost-2023/ https://tashinami-musiclog.com/2025/03/17/phantomime-ghost-2023/#respond Sun, 16 Mar 2025 17:04:06 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=1703 遂に今年4月に最新作となる6th“Skeletá”をリリースする、スウェーデン発、トビアス・フォージ率いるGhost。新曲“Satanized”も早速公開されています。 さ […]

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遂に今年4月に最新作となる6th“Skeletá”をリリースする、
スウェーデン発、トビアス・フォージ率いるGhost
新曲“Satanized”も早速公開されています。

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Phantomime / Ghost (2023)

さて、ここで紹介する今作“Phantomime”は、
“If You Have Ghost”(2013)
“Popestar”(2016)に続く、
お馴染みの?カバーEP第三弾。
5曲入りなのもこれまでと変わらず。

キャリア史上最もポップで流麗なメロディを主軸に置いた
5thアルバム“IMPERA”(2022)の翌年に発売された本作。
いつものことながらTelevisionGenesisなど、
幅広いジャンルから節操なくピックアップして自分のものにする手腕は見事。
逆にIRON MAIDENの名曲をストレートにカバーした
“Phantom Of The Opera”が珍しく見えるほど。

HR/HMリスナーからの支持にとどまらず、
元はと言えばB面曲だった
“Mary On A Cross”が(何故か)TikTokから火がつく形で流行するなど、
気づけば「みんなのGhost」として大衆からの人気も獲得していった彼ら。
そのサタニックな見た目の裏にあるポップセンスの源を垣間見られる一枚です。

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Phantomime / Ghost (2023)裏ジャケ

収録曲は以下の通り。
ちなみに自分の所有しているのはチェコ盤。

1.See No Evil 4:04
2.Jesus He Knows Me 4:05
3.Hanging Around 4:10
4.Phantom Of The Opera 7:23
5.We Don’t Need Another Hero 4:10

See No Evil

ニューヨーク・パンクのレジェンド、
Television“Marquee Moon”の1曲目をGhost流に料理。
元々のメロディも活かしつつ適度な装飾を随所に加えています。
(曲名だけ見るとGhostの曲っぽさもありますし)

Jesus He Knows Me

今作のリードトラックとしていち早く配信された一曲。
こちら何とGenesisのカバー。MVも制作されました。

ポップなメロディを活かしつつ、
ストレートな疾走曲としてGhostの持ち曲のように換骨奪胎。
トビアスのポップセンスが光る良アレンジです。

Hanging Around

こちらは英国パンクのThe Stranglersのカバ―。
いつもながら影響元の幅広さを物語るカバーEPシリーズですが、
パンクバンドからの選曲が目立つのは本作の特徴。

Phantom Of The Opera

こちらは先行公開2曲目。
IRON MAIDENの1stから、
スティーヴ・ハリスの手によるドラマチックな長尺曲を手堅くカバー。
と言いつつ、オルガンの音でGhostらしさもしっかり出した秀逸な出来。

ブルース・ディッキンソン期ではなく1stから選んでくるというのも、
トビアス自身の声の特性を最大限に活かせる選曲になっていて流石。
序盤の冷んやりとした歌い方から徐々にヒートアップしていくのが良いですね。
怪しげなギターリフとボーカルがユニゾンする不思議な感覚もハマっています。
2024年のグラミー賞のBest Metal Performanceにもノミネートされました。

We Don’t Need Another Hero

ラストに据えられたこのカバーは、
“マッドマックス3″のサントラに収録されたティナ・ターナーの曲。
これも中々面白い選曲ですし、歌いまわしにはどこか温かみも感じます。
シンセっぽいベースの音色や分厚くも分離感のあるギター、
サビを仰々しく盛り上げるエコーを効かせまくったドラムもそれぞれ秀逸。

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目下の最新作“Skeletá”はこちら。

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【年間ベスト】 年間ベスト2023を振り返る①(ベストアルバム部門TOP3、ベストライブ編) https://tashinami-musiclog.com/2025/01/14/annual-best-2023-best-album-top3-best-live/ https://tashinami-musiclog.com/2025/01/14/annual-best-2023-best-album-top3-best-live/#respond Mon, 13 Jan 2025 15:57:02 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=2725 年始めということで過去の年間ベストとして挙げていたアルバムを振り返る企画。遅くはなりましたが今回は2023年編。 個人的には弊サイトを開設した年でもあるわけですが、忙しさにかまけてかこの年の年間ベストの資料が一番少ない& […]

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年始めということで過去の年間ベストとして挙げていたアルバムを振り返る企画。
遅くはなりましたが今回は2023年編。

個人的には弊サイトを開設した年でもあるわけですが、
忙しさにかまけてかこの年の年間ベストの資料が一番少ない……
と言うより結局9枚に集約できなかったので放り投げていたような気も。
振り返ってみると自分でもいい加減だなと思いますが、
せっかくいいアルバムが多かった年でもあるので、
ひとまず第1弾として、この年のFM802″ROCK ON AWARD 2023″の
ベストアルバム部門TOP3・ベストライブ部門への投票内容を、
一部加筆したうえでランキング形式で残しておきます。

他のアルバムに関しては順不同で選出自体はしているのでそちらは第2弾に。
(第2弾はこちら)

ベストアルバム部門3位
初期から連綿と続いていた「色」シリーズから脱却した
スラッジ、ストーナーメタルの雄BARONESSの新作。
まさに第2章の幕開けとも言うべき素晴らしいアルバムでした!

先行シングルの“Last Word”から完全にKOされましたし、
気怠くも熱さのある“Beneath The Rose”“Shine”など、
芸術性と大衆性の塩梅が絶妙で引き込まれました。
「フィジカルで所有する」ことの良さを感じさせてくれる、
ジョン・ベイズリー(Gt, Vo.)本人による美麗なジャケットは、
今作においてもその世界観の構築に一役買ってくれています。

Stone(サイン付き)

実は今作、Twitter上のキャンペーンでメンバーのサイン入りLPが当選!宝物です。
クリアヴァイナルに絵の具を散らしたような意匠も秀逸。

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ベストアルバム部門2位
7thアルバム“The Stage”(2016)からの長いブランクを経て現れたのは、
衝撃の進化を遂げたアルバムでした。

彼らA7Xの、多種多様な音楽性をごった煮にして突き進むというスタンス。
これに関しては初期からずっと一貫しているのではないかと思っています。
ただ、ここまで柔軟に雑多なジャンルをまとめ上げ、
ハイクオリティなコンセプトアルバムを作り上げたのは驚きというほかありません。
アルバムトータルでの圧倒的な芸術性と、
シニスター・ゲイツ(Gt.)のマルチプレイヤーとしての素晴らしさも見事でした!

ベストアルバム部門1位
今年の音楽界を代表するアルバムとしても文句なしの一位!
このアルバムとそれに伴うツアーで、
完全に世界のトップアーティストの仲間入りを果たした感があります。

都会的な雰囲気も帯びた“OWN MY MIND”に始まる17曲の大作。
多くの曲を詰め込みつつも、全てにライブ映えするフックがあって、
全体を聴いても散漫になっていないのは驚異的!
“MAMMAMIA”以降のラスト3曲を既発のシングル曲で固めたことで、
アルバム本編の空気感を乱さないようにしているのも好感が持てます。
そして全てをまとめ上げるバラード“THE LONELIEST”の存在感も光る一枚。
ライブでもトーマスの長いギターソロも含めて、
アンコールに欠かせないピースになりました。

11月リリースの完全版“RUSH! (ARE YOU COMING?)”で追加された新曲5曲も高品質!
この年断トツで聴きまくったアルバムです。

ちなみにベストライブには、
ベストアルバムと同じくMåneskin神戸公演に投票。2年連続ですね。
以下に当時の詳しい感想も残しています。

ベストライブ部門
Måneskin(神戸ワールド記念ホール)
ダミアーノの声の調子は万全ではなかったとはいえ、
その分色気が増したところもありましたし、
アンコールの“The Loneliest”でのシンガロングは素晴らしい一体感がありました!

曲と曲の間に挟まるインストや、アウトロで長めにとられるギターソロなど、
強靭なバンドアンサンブルもたっぷり楽しめましたし、
見た目にも演奏にも華があるという無敵状態。
個人的にはイーサンのドラムの重みがBON JOVIのティコを彷彿とさせました。
彼らもBON JOVIのように、日本も世界も制覇するバンドとして愛され続けてほしいです!

(さらに追加で10枚を選出した第2弾はこちら)

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【年間ベスト】 年間ベスト2023を振り返る②(ベストアルバム編完全版) https://tashinami-musiclog.com/2025/01/03/annual-best-2023-part2-best-albums/ https://tashinami-musiclog.com/2025/01/03/annual-best-2023-part2-best-albums/#respond Fri, 03 Jan 2025 06:54:58 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=2672 過去の年間ベストとして挙げていたアルバムを振り返る企画。2023年編、前回の記事の続きです。 今回は2023年の個人的ベストアルバム部門TOP3とは別に、この年の秀逸だったアルバムを9枚選出しております。HR/HM界隈以 […]

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過去の年間ベストとして挙げていたアルバムを振り返る企画。
2023年編、前回の記事の続きです。

今回は2023年の個人的ベストアルバム部門TOP3とは別に、
この年の秀逸だったアルバムを9枚選出しております。
HR/HM界隈以外のところからも次々と高品質なアルバムが出た一年でしたね。

サマソニ2023のヘッドライナ―としても素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたBlur
コロナやロシアとウクライナの戦争などの世界情勢への懸念を織り込みつつも、
キャッチーかつ深みのある作品にまとめた素晴らしいアルバムでした。
リードトラックの“The Narcissict”を筆頭に、
グレアムの歪んだギターが強烈な“St. Charles Square”や、
温かくも切ないメロディが魅力的な“Goodbye Albert”など秀逸な曲が多数。
曲数が絞られていてダレずにスッと聴き通せるのも魅力。キャリア屈指の傑作。

米国産・ハードロックの救世主Buckcherryが発表した文字通りの10作目。
今作はジョシュ・トッド(Vo.)とスティーヴィー・T(Gt.)主体の体制に、
前作“Hellbound”(2021)で復活したマーティ・フレデリクセンのプロデュース、
といういわば盤石の体制で挑んだ本作。
リードトラック“Good Time”はいわゆる「いつものBuckcherry」という印象でしたが、
続く“Keep On Fighting”“Shine Your Light”“Let’s Get Wild”と、
気合いの入ったパワフルな楽曲が目白押しの一枚でした!
終盤には珍しくシリアスなバラード“Pain”
Bryan Adams“Summer Of ’69”のカバーがあったりと、
トータルでの満足度の高いアルバムに仕上がっています。
あとは久々の来日さえ叶えば……という思いは募るばかりです。

余談ですが、この年は今作のほかにもThe Winery Dogs“III”にはじまり、
Extreme“SIX”Winger“Seven”と、
数字がタイトルのアルバムがそろい踏みした一年でもありました。(しかも全て良作)

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いわゆるメロハー(メロディアスハードロック)好きなら足を向けて寝られない、
この手のサウンドを大の得意とするイタリアのレーベルFrontiers
このFirst Signalというバンドは、
そんなFrontiersでお馴染みのソングライターの高品質な楽曲が、
あのHarem Scaremのハリー・ヘス(Vo.)の声で味わえるというもの。
早くも今作が5thアルバムだそうですが、自分は今作で入門。

1曲目の“Unbreakable”から「待ってました!」と快哉を叫びたくなるような、
ストレートで美しいメロハー一直線。
ひときわ力強いタイトルトラック“Face Your Fears”や、
ヤニ・リマタイネンも作曲に携わったバラード“Rain For Your Roses”など聴きどころ多数。

「柔」と「剛」を自在に使い分けつつ、そこに哀愁も加わったハリーの声を活かすべく、
集められた精鋭たちが全身全霊を傾けるプロジェクト。
当然ながら悪くなりようがない、というのが正直なところです。
Harem Scaremの最新作“Change The World”(2020)が好みなら必聴の一枚。

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ミシガン出身・若きGreta Van Fleetの3rdアルバム。
「ロード・オブ・ザ・リング」的な骨太の世界観を持ちつつも、
前作のような重厚長大さは多少抑えて、より大衆性を持たせた感のある一枚です。
もちろん70年代好きにはたまらないエッセンスも健在なので、
1stと2ndの美味しいとこ取りのような一枚ですね。
個人的には中盤の“The Indigo Streak”にKOされました。
2024年のサマソニの長いギターソロを含む圧巻のパフォーマンスは忘れられません。

この年のメタル界最大のニュースはやはりこの1枚でしょうか。
メタリカがスラッシュメタルの原点に立ち返りつつ、
「怪物」としての底知れなさも見せてくれた12th。
タイトルにある「72の季節」とは、人生最初の18年間のこと。
その多感な時期をいかにして生きていくか、
という普遍的で根源的なテーマはどの世代にも共鳴するところがあるはず。

ストレートで普遍的な魅力を持つリードトラック
“Lux Æterna”のインパクトは強烈でしたし、
ラストに置かれたキャリア最長となる11分超の大作“Inamorata”は、
彼らのひとつの到達点として愛されていくであろう圧巻の一曲。

発売前日には全世界の映画館でリスニングパーティーを行ったり、
(自分もしっかり観に行きました)
セットリストの被り無し2公演ずつで回ることを基本とする、
空前の規模感での“M72 World Tour”を敢行したりと、
アルバム以外のところでも最前線で気炎を吐き続けるメタリカに最大限の敬意を表します。

カリフォルニア州ロングビーチで結成されたRival Sons
先述のGreta Van Fleetが好きなら押さえておきたい、
こちらも70年代を感じる骨太なクラシックロックの旨味を持ったバンドです。

6月発売の7thアルバム“Darkfighter”は、その名の通り「闇との戦い」がテーマ。
そして対となる8th“Lightbringer”も、同年秋に発売されました。
激しく切り込む“Nobody Wants To Die”や、ゆったりとした“Bird In The Hand”
そしてコンセプトの根幹をなす“Mirrors”“Darkside”は貫禄十分。
次作と併せて聴いていただきたい秀逸なアルバムです。

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こちらが同年に発売された、対となるもう一枚のアルバム。
6曲入りというボリュームですが、
1曲目に据えられた大作“DARKFIGHTER”に始まり、
キャリア屈指の美しいメロディでラストを飾る“Mosaic”で締めるという、
しっかりとした聴き応えを残してくれる作品。
70年代の香りが漂うリードトラックの“Sweet Life”も良いですし、
1stアルバムのタイトルを冠した“Before The Fire”という曲があるのにも惹かれました。

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遂にあのストーンズも動いた!と話題になった一枚。
この年のニュースの中でも強烈だったのはやはり今作の発表でしょうか。
編集盤やブルースアルバム“Blue & Lonesome”(2016)は出ていたものの、
オリジナルアルバムとしては“A Bigger Bang”(2005)以来ですからね。
オジー・オズボーンの直近2作などで好評を博した、
アンドリュー・ワットのプロデュースはここでも冴えわたっていました。
アーティストの本質を見抜きつつ、仕事が速いところが評価されている様子。
ちなみに彼を紹介したのはポール・マッカートニー。
ポール自身も“Bite My Head Off”でブリブリに歪んだベースを披露しています。

その他にもエルトン・ジョンやレディー・ガガ、
スティーヴィー・ワンダーといった豪華なゲストが今作を彩りますが、
根幹にあるストーンズの強靭なロックンロールはブレないので気持ちよく聴けます。
個人的な好みは5曲目の“Whole Wide World”と7曲目の“Mess It Up”

UK産・グラムロックの星、The Strutsの4th。
今作はモノクロのアートワークに象徴されるように、以前の3作と比べると落ち着いた印象。
アルバムを通して必要以上の装飾は加えず、
曲のよさを活かして淡く突き進んでいく感じが新境地。
王道スタイルの“Too Good At Raising Hell”で盛り上げつつ、
静かな導入からスリリングに盛り上げていく“Pretty Vicious”へと移る流れは秀逸!
アコースティックライブ音源が出たときからずっと楽しみでしたが素敵な仕上がり。
中盤の“Rockstar”もタイトル負けしない良曲です。

声優・アーティストとして目覚ましい活躍の楠木ともりさんの1stフルアルバム。
それまでに出してきたEP4枚の曲はどれも欠かせないピースだと思っていたので、
アルバムに仕上げるにあたってどの曲を取捨選択するのか?というのは懸念点でもありました。
それを「『存在/不在』というコンセプトで2枚同時リリース!」
という手法で、どの曲も置き去りにすることなくまとめ上げた手腕は見事。
それぞれに新曲を3曲ずつ配しつつ、
“PRESENCE”の1曲目と“ABSENCE”のラストでも対の構造を見せてくれています。
どちらも甲乙つけがたいほど見事な作品ではありますが、
個人的によく聴くのは新曲の中でも反復が心地よい“StrangeX”や、
ハルカトミユキ提供の“それを僕は強さと呼びたい”が印象的な“ABSENCE”
初聴であればどちらも押さえておいていただきたい、そんな作品です。

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1位:RUSH! / Måneskin
2位:Life Is But A Dream… / Avenged Sevenfold
3位:Stone / Baroness

1位:RUSH! / Måneskin
2位:Life Is But A Dream… / Avenged Sevenfold
3位:Stone / Baroness

The Ballad Of Darren / Blur
Vol. 10 / Buckcherry
Face Your Fears / First Signal
Starcatcher / Greta Van Fleet
72 Seasons / Metallica
Darkfighter / Rival Sons
Lightbringer / Rival Sons
Hackney Diamonds / The Rolling Stones
Pretty Vicious / The Struts
PRESENCE / 楠木ともり
ABSENCE / 楠木ともり

(以下順不同)
The Ballad Of Darren / Blur
Vol. 10 / Buckcherry
Face Your Fears / First Signal
Starcatcher / Greta Van Fleet
72 Seasons / Metallica
Darkfighter / Rival Sons
Lightbringer / Rival Sons
Hackney Diamonds / The Rolling Stones
Pretty Vicious / The Struts
PRESENCE / 楠木ともり
ABSENCE / 楠木ともり

2023年のチョイスはこのようになりました。
多くなった!と言っておきながらよく見るとThe Winery Dogs“III”
Extreme“SIX”といった重要作も入れておけば……という若干の後悔もあり。
それでも当時の自分の琴線に触れたものを信じつつ、
今年も細々とではありますが好きな音楽に触れていければなと思っています。

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【レビュー】Perhaps / Guns N’ Roses (2023) https://tashinami-musiclog.com/2023/12/20/perhaps-guns-n-roses-2023/ https://tashinami-musiclog.com/2023/12/20/perhaps-guns-n-roses-2023/#respond Wed, 20 Dec 2023 10:25:57 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=785 目次 “Hard Skool”以来となるガンズのニューシングル発売!全曲紹介ガンズの次なるスタジオアルバムに高まる期待感 “Hard Skool”以来となるガンズのニューシ […]

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Perhaps / Guns N' Roses (2023)
Perhaps / Guns N’ Roses (2023)

ついにGuns N’ Rosesの新曲”Perhaps”のシングルが発売になりましたね!
発売日は12/20(水)とされていましたが、なんやかんや19日の時点で入手できました。

本来はバンドの公式ストアでLPのみでの発売だったところを、
日本限定仕様としてSHM-CDで発売!とした経緯は前作“Hard Skool”(2021)と同じ。
前作はCDとして発売されるまでには1年近くのラグがありましたが、今回は素早いですね。
カップリングの”The General”に関してはここでしか聴けないというのが当初の触れ込みでしたが、
結局12月8日にデジタルリリースされる運びとなりました(発表はその前日)。
このバンドの事情は相変わらず読めない……。

ともかくスラッシュ(Gt.)とダフ・マッケイガン(Ba.)が復帰した現体制でのニューリリースが、
こうして聴けるようになったのはやっぱり嬉しいですね。

収録曲は以下の通り。

1.Perhaps 3:49
2.The General 4:23

今回はライブ音源等の収録は無く、2曲のみの収録となっています。

Perhaps(裏ジャケ)
裏ジャケ。今作は「G面」と「R面」に分かれてます

1.Perhaps 3:49

Perhaps / Guns N’ Roses

本作のA面(もといG面)。今年のツアーで突如披露され話題を呼びました。
当初は8/11にデジタルリリースされるとも報じられていましたが、
そこから1週遅れの8/18にようやく公開されたミッドテンポの一曲。
新曲とはいっても、以前リリースされた”Hard Skool”や”ABSUЯD”と同じように、
前作となるアルバム“Chinese Democracy”(2008)のアウトテイクを現体制で録音したもの。
イントロからピアノのリフが主導し、アクセルの歌が徐々にボルテージを上げていくさまが見事。
サビの”You’re all alone”の歌いあげ方はまさに”Chinese Democracy”の時期ならでは!
全体的に”There Was A Time”の後半部分の壮大なパートを彷彿とさせます。
スラッシュのギターもしっかりフィーチャーされているのが嬉しいポイント。

Perhaps(盤面)
Perhaps(盤面)

2.The General 4:23

The General / Guns N’ Roses

本作のB面(R面?)となる一曲で、2023年北米ツアーの最終日に突如披露されたもの。
淡々とした妖しげなリフに、スラッシュのワウの効いたギターがねっとりと絡みつく一曲。
そしてこちらもご多分に漏れず”Chinese Democracy”のアウトテイクが元ネタ。
最初に聴いたときは正直このねっとり具合には戸惑いましたが、
この耳に残る感覚が癖になり、気づけば聴きたくなってきている不思議な曲です。
確かに”Chinese Democracy”の中にあるとかなり地味な気はするのですが、
こうしてシングルのB面として単体で聴くと受け入れやすいしクールな印象も受けますね。
ただCDで通しで聴くと”Perhaps”より音量が大きく感じるのが気になるところ……。

"Hard Skool", "Perhaps"

昨年11月には、さいたまスーパーアリーナにて絶好調のライブを披露してくれたガンズ。
その際には当時の新曲”Hard Skool”と”ABSUЯD”もセトリ入りし、会場を沸かせてくれました。
今回彼らのレパートリーに加わった”Perhaps”と”The General”の2曲も、
ライブで実際に聴けばまた違った魅力を放ってくれること請け合い。次の来日も楽しみです。
思えば”NOT IN THIS LIFETIME…”を掲げた現在のリユニオン体制も2016年からなので、
スラッシュとダフが復帰してからのバンドもかなり長続きしているといえます。
2人の活発なソロ活動がガンズにもいい影響を及ぼしてくれたら……と、
ひそかに考えてしまう今日この頃です。
アウトテイクと言いつつもなんやかんや新曲が小出しにされているここ数年。
この体制でのニューアルバムがいつかリリースされることを願ってやみません。

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【CD購入録】2023/09/07 (Dizzy Mizz Lizzyの来日記念盤届く!) https://tashinami-musiclog.com/2023/09/09/cd-2023-09-07-dizzy-mizz-lizzy/ https://tashinami-musiclog.com/2023/09/09/cd-2023-09-07-dizzy-mizz-lizzy/#respond Sat, 09 Sep 2023 14:54:44 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=592 Alter Echo [Japan Tour Edition] / Dizzy Mizz Lizzy (2023) 今月に7年ぶりの来日を控えたDizzy Mizz Lizzyの最新作である4thアルバム“A […]

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Alter Echo [Japan Tour Edition] / Dizzy Mizz Lizzy (2023)
Alter Echo [Japan Tour Edition] / Dizzy Mizz Lizzy (2023)
Alter Echo [Japan Tour Edition] / Dizzy Mizz Lizzy (2023)

今月に7年ぶりの来日を控えたDizzy Mizz Lizzyの最新作である4thアルバム
“Alter Echo”(2020)の来日記念盤が9月6日に発売されました!!
ネットで予約していた分が届いたので軽く感想をば。

今回の来日記念盤は、CD+DVDの2枚組となっており、
曲目は以下の通りとなっています。

Alter Echo [Japan Tour Edition] / Dizzy Mizz Lizzy (2023)裏ジャケット
Alter Echo [Japan Tour Edition] / Dizzy Mizz Lizzy (2023)裏ジャケット

Alter Echo [Japan Tour Edition]

Disc 1(CD)
1.The Ricochet 2:43
2.In The Blood 5:44
3.Boy Doom 5:39
4.The Middle 5:38
5.California Rain 3:47
6.Amelia – Part 1: Nothing They Do They Do For You 4:12
7.Amelia – Part 2: The Path Of Least Existence 5:07
8.Amelia – Part 3: Lights Out 4:08
9.Amelia – Part 4: All Saints Are Sinners 4:32
10.Amelia – Part 5: Alter Echo 4:52

Bonus Track
11.Amelia (Live At Royal Arena Copenhagen 2022) 18:41


Disc 2(DVD)
1.California Rain
2.In The Blood
3.The Middle
4.Amelia


CDは通常盤の内容に組曲“Amelia”のコペンハーゲンでのライブ音源をプラスしたもの。
(オリジナルアルバムの日本盤ボーナストラックだった“Madness”の収録は無し。)
DVDはMV集となっています。
また、伊藤政則先生のライナーノーツは今回新しく書き直されています。

今回の目玉となる“Amelia”のライブバージョンですが、
これが素晴らしい出来!
Part 1~Part 4までが通しで収録されており、
アルバム本編と同じくヤコブ・ハンセンがミキシングを担当しているので、
最初から最後まで迫力満点の演奏が楽しめます。

リバーブのかかったティムの歌声がまるで天から降り注いでくるようで、
Part 1の冒頭の時点からグッと引き込まれました。
とにかく圧倒的でハイクオリティな20分弱のライブ音源、
このためだけに買っても損はしないと言い切れるレベルです。

そして来日記念企画としてもう1枚、
“Alter Echo (Instrumental)”のCDも同時発売!
楽器が主体となるようミックスをし直しているため、
各曲がオリジナルとはまた違った表情を見せてくれるのが魅力。
こちらは既にアナログレコードと配信で発表された音源ではありますが、
CD化されるのは今回が初めて。

キャリアの集大成的な本作“Alter Echo”をより深く掘り下げて、
7年ぶりとなるジャパン・ツアーをさらに盛り上げていきましょう!!
ちなみに僕は9/19(火)の大阪公演を観に行く予定です。

Alter Echo / Dizzy Mizz Lizzy (2020) こちらはオリジナルアルバム。
Alter Echo – Instrumental / Dizzy Mizz Lizzy (2022) アナログ盤は配信に先駆けて2021年に発売。

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【レビュー】POLAROID / NACHERRY (2023) https://tashinami-musiclog.com/2023/09/01/polaroid-nacherry-2023/ https://tashinami-musiclog.com/2023/09/01/polaroid-nacherry-2023/#respond Thu, 31 Aug 2023 16:05:15 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=546 目次 ファンサービス満点!夏を切り取った3rdミニアルバム今作発売までのNACHERRYのあゆみ(ざっくり)全曲紹介感想:楽曲のバラエティを今まで以上にグッと広げた一作! ファンサービス満点!夏を切り取った3rdミニアル […]

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ファンサービス満点!夏を切り取った3rdミニアルバム

2023年8月2日発売、
声優の村上奈津美さんと田中ちえ美さんの2人からなるユニット
NACHERRY(ナチェリ)の最新作となる3rdミニアルバム。

今作にはCD+Blu-rayの「NACHERRY盤」
「なっちゃん」こと村上奈津美さん、「ちぇみー」こと田中ちえ美さんの
それぞれのソロ曲とリードトラック「テレポーテーション」のソロVer.を収録した
「なっちゃん盤」「ちぇみー盤」の3形態が存在。
いつものことながらファン心理をくすぐってきます。
ということで、自分はちぇみー盤を発売初週にお買い上げ。

POLAROID[ちぇみー盤] / NACHERRY (2023)
POLAROID[ちぇみー盤] / NACHERRY (2023)

[全形態共通]
1.NACHERRY PARK
2.WE ARE THE “HEROES”!!
3.Queen bee
4.テレポーテーション


[なっちゃん盤のみ]
5.weather rain
6.テレポーテーション(なっちゃんver.)


[ちぇみー盤のみ]
5.SPARK
6.テレポーテーション(ちぇみーver.)

今作発売までのNACHERRYのあゆみ(ざっくり)

POLAROID[ちぇみー盤] / NACHERRY (2023) ゲーマーズ購入特典
POLAROID[ちぇみー盤] / NACHERRY (2023) ゲーマーズ購入特典

「なっちゃん」こと村上奈津美さん、「ちぇみー」こと田中ちえ美さんによる、
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』ではそれぞれ
宮下愛さん、天王寺璃奈ちゃんを演じる仲良し2人組で結成された、
明るく楽しいアメリカンなバンドサウンドが売りのユニット。
豪華メンバーの手による高品質なポップ/ロックナンバーを武器に、
2021年の結成以来、ハイペースなリリースを続けています。

2021年にデビュー曲「フォーチュンテラー」をリリースすると、
その勢いのまま翌2022年には、
1stEP ”CANDY SUNDAY”
2ndEP ”Now Loading!!”
1stシングル ”エクリプス”
の3作をリリース。

そして秋には、1stLIVEを大阪と横浜で開催。
(自分は大阪公演にCD先行で参戦!)
豪華な生バンドを従えて、上記3作に収められた全15曲を披露。
横浜公演のもようは1stライブアルバム
“1st LIVE Let’s start the party!! at KT Zepp Yokohama”(2023)に収録されました。

ハイペースなリリースを続けつつ、
今年10/8(日)にはヒューリックホール東京での2ndライブを予定しているNACHERRY。
3rdEP “POLAROID”では、ライブを楽しく彩ってくれそうな楽曲を取り揃えています。

全曲紹介

POLAROID[ちぇみー盤] / NACHERRY (2023) 裏ジャケット
POLAROID[ちぇみー盤] / NACHERRY (2023) 裏ジャケット

[全形態共通]
1.NACHERRY PARK
作詞:岡田マリア / 作曲・編曲:青柳 諒

今年5月にオープンした同名のファンクラブ「NACHERRY PARK」のテーマソングで、
ファンクラブ限定ライブ”Welcome! NACHEMATE #1″で初披露された一曲。
ということで歌詞もファンサービス全開となっており、
1番と2番の歌詞には“CANDY SUNDAY”“Now Loading!!”
Cメロには“エクリプス”の収録曲が(ソロ曲を除いて)全部織り込まれた贅沢仕様。
ベイ・シティ・ローラーズ風の”N.A.C.H.E.R.R.Y”コールもライブの定番になりそう。

2.WE ARE THE “HEROES”!!
作詞:ZAQ / 作曲・編曲:綿貫直行(Dream Monster)

前曲に輪をかけて思いっきりはっちゃけた一曲!
笑顔を守るヒーローとなった2人の語りで元気よくスタート。
歌詞カードではちぇみーパートが[Lupinus]、なっちゃんパートが[Cosmos]と表記されています。
キュートな「やっちゃえ いっちゃえ! Fever!!」の掛け声とともに、
はっちゃけた曲調に全力で応えるようにフラッシーに弾きまくるギターソロも聴きどころ。
このやりたい放題具合は今までで一番かも。

[2023.09.01追記]
WE ARE THE “HEROES”!!のポップでキュートなリリックビデオが公開されました。
デフォルメされた2人が活躍するアニメーションも良いですね!

3.Queen bee
作詞:岡田マリア / 作曲:TAXMAN / 編曲:TAXMAN、山森大輔

スーパーヒーローNACHERRYの高らかな笑い声から、いきなり大人な雰囲気に。
1stEPからの参加で、「リブラ」「MY FIRST DAY」などロックな良曲を提供し続ける、
THE BAWDIESのTAXMANのペンによる曲がここで登場!
抑制されたバンドサウンドの上で、2人の色っぽいコーラスワークが気持ちよく響く一曲。
ライブハウスで小さなスツールに座って歌う様子が目に浮かびます。
落ち着いた大人っぽいミッドテンポの曲はここにきて新境地!
それでいて隠し切れないキュートさも含めて、今作のフェイバリットトラック。

4.テレポーテーション
作詞・作曲:金澤ダイスケ / 編曲:山森大輔

本作のリードトラック。
なんとフジファブリックの金澤ダイスケがNACHERRYのために作詞・作曲した一曲!
MVにもある波打ち際の情景が目に浮かぶ、友情を描いた切なくて美しい歌詞は必聴。
名曲「若者のすべて」っぽいフレーズが随所に組み込まれているのもニクイ演出。
7/31(月)~8/20(日)のbayfm POWER PLAYにも選ばれました。

[なっちゃん盤のみ]
5.weather rain
歌 : 村上奈津実 / 作詞:村上奈津実、岡田マリア / 作曲:村上奈津実、山森大輔 / 編曲:山森大輔

村上奈津美さんのソロ曲第2弾。ソロ曲は本人が作詞も手掛けるのが恒例。
ソロ曲1曲目の「Let’s Roll」は軽やかで元気なバンドサウンドでしたが、
今回はそれとは対照的に、雨音のエフェクトを効果的に使ったバラード。
2番以降はメロトロンやフルートの音も登場し、クランチの効いたギターと絡み合います。
お得意の高音で柔らかくハモリを入れているのもとても綺麗。
この記事を書くために初めて聴いてみて衝撃を受けたんですがこれ名曲ですわ……。
“CANDY SUNDAY”収録の「パールを落としたマーメイド」を生んだ山森大輔さんによる新たな傑作。

6.テレポーテーション(なっちゃんver.)

[ちぇみー盤のみ]
5.SPARK
歌 : 田中ちえ美 / 作詞:田中ちえ美、岡田マリア / 作曲・編曲:山田貴洋

田中ちえ美さんのソロ2曲目。こちらももちろん本人が歌詞を手掛けています。
ソロ曲1曲目の「We Fly We Sing」は大人っぽい地声を活かした都会的なポップスでしたが、
今回のソロ曲はより元気でストレートなロックチューンになっています。
堂々とした歌いっぷりがパンキッシュなバンドの音によくマッチしていて、
バンドをバックにスタンドマイクで歌ってほしいなという個人的な願望。
サビではハンドクラップの合いの手もあるのでしっかり予習してライブに臨みましょう。
いやほんといい曲もらったな……。

6.テレポーテーション(ちぇみーver.)

感想:楽曲のバラエティを今まで以上にグッと広げた一作!

POLAROID / NACHERRY (2023) チケット風カード(全6種)。
今回引き当てたのはなっちゃんVer.!
POLAROID / NACHERRY (2023) チケット風カード(全6種)。今回引き当てたのはなっちゃんVer.!

アイドル声優のユニットでありながら、曲のクレジットを見てみれば、
ROCK’A’TRENCHASIAN KUNG-FU GENERATIONTHE BAWDIESフジファブリックに……といったそうそうたるバンドのメンバーがサウンドを支えるNACHERRY

今作“POLAROID”もその例に漏れず、豪華な面子が総力を結集した楽曲が魅力的ですが、
思いっきりはしゃいでみたり、妖艶な魅力でドキッとさせたり、ホロリとさせる友情があったりと、
それらの曲自体のバラエティを今まで以上にグッと広げた一作となっています。
まさにタイトル通り、色々なシチュエーションをスナップショットしたような趣。

10月の2ndLIVEではどのような演出で今作の曲が披露されるのか、今から楽しみです!
(あと田中ちえ美さんの1st写真集も……)

POLAROID / NACHERRY (2023)

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【レビュー】Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) https://tashinami-musiclog.com/2023/08/16/starcatcher-greta-van-fleet-2023/ https://tashinami-musiclog.com/2023/08/16/starcatcher-greta-van-fleet-2023/#respond Tue, 15 Aug 2023 15:56:54 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=417 目次 若きクラシックロックバンドによる、深遠な哲学と大衆性を両立した3rd名手Dave Cobbが初めてプロデュースを務めたアルバム全曲紹介感想:スケールの大きさは残しつつ、繰り返し聴きやすい一枚に 若きクラシックロック […]

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若きクラシックロックバンドによる、深遠な哲学と大衆性を両立した3rd

アメリカはミシガン出身の4人組バンドGreta Van Fleetのニューアルバム“Starcatcher”が、
2023年7月21日に発売されました!
彼らが注目されたポイントは何といってもその若さと、ブルージーなハードロックという音楽性
ビルボードのメインストリームロックチャートで1位を獲得した1stフルアルバム、
“Anthem Of The Peaceful Army”を2018年にリリースした際には、メンバーは皆20歳前後。
そして音楽性に関しては、この上なく雑な言い方をすればLed Zeppelin直系のサウンドと歌声
その強烈なインパクトのみならず、確かな技術と充実の楽曲でファンを増やしてきました。
あまりにも「直系」の音すぎてとやかく言われがちなのはご愛嬌、
シンプルなハードロックの格好よさと深い歌詞世界には、彼らならではの味わいは十分出ています。

Starcatcher / Greta Van Fleet (2023)
Starcatcher / Greta Van Fleet (2023)

1.Fate Of The Faithful 4:47
2.Waited All Your Life 4:26
3.The Falling Sky 3:39
4.Sacred The Thread 5:22
5.Runway Blues 1:17
6.The Indigo Streak 4:04
7.Frozen Light 4:33
8.The Archer 5:00
9.Meeting The Master 5:12
10.Farewell For Now 4:29

名手Dave Cobbが初めてプロデュースを務めたアルバム

Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) ジャケットとブックレット
Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) ジャケットとブックレット

クレジットされているメンバーは以下の通り。
Josh Kiszka (Vo.)
Jake Kiszka (Gt.)
Sam Kiszka (Ba.)
Danny Wagner (Dr.)


双子のジョシュとジェイク、その弟サムからなるキスカ兄弟と、
その友人のダニーからなるお馴染みの編成は今回も変わらず。

前作“The Battle At Garden’s Gate”(2021)のプロデューサーはGreg Kurstinでしたが、
今作ではナッシュビルを拠点とするDave Cobbが初めてプロデューサーとなっています。
HR/HM界隈でいえばSlash Feat. Myles Kennedy & The Conspiratorsの最新作“4”(2022)
再結成Europe“Walk The Earth”(2017)、そしてRival Sonsの諸作が特に有名でしょうか。

伊藤政則先生のライナーノーツを見る限りでは、ライブレコーディングを得意とし、
音にアナログレコーディングのような風合いを出すことに長けているとのこと。
どこか余白も残しつつ、スケールの大きな世界をのびのびと見せてくれています。

今作のブックレットやアーティスト写真では、
広大な砂漠を剣を携えて旅していくメンバーの姿を見ることができます。
その深遠な歌詞を見る限り、哲学と思索の旅を一貫して続けている彼らですが、
今作では今まで以上にファンタジーの要素を強めているのが特徴といえます。

全曲紹介

Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) 裏ジャケと日本盤帯
Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) 裏ジャケと日本盤帯

今作のジャケットに関しては、表・裏ジャケットともにエンボス加工が施されています。
(曲名の下の”Greta Van Fleet”というサインもしっかり立体)

1.Fate Of The Faithful 4:47
“Hail, the god song!”という歌いだしで始まる、どこかサイケデリックなオープニング曲。
サビの「オオオオオオ!」というジョシュのスキャットが耳に残ります。

レコーディングの際には、ギターの2弦をベンドしてピッチを全音(B→C#まで)上げる「Bベンダー」という装置を使用して、ペダルスティールのような独特の風合いをもたらしているとのこと。
寡聞にして知らなかったので調べてみましたが、かなり歴史が深くて面白かったです。
(Fenderのサイトに詳しくまとめられています。)

2.Waited All Your Life 4:26
1曲目の雰囲気を引き継ぎつつ、アコースティックで穏やかな雰囲気で進む曲。
旅の末にここまで辿りついた仲間を、両手を広げて歓迎するという内容。

3.The Falling Sky 3:39
先行公開シングル第4弾。
アルバム発売直前の公開だったためか、日本盤帯にはシングル曲である旨は示されていません。
お得意のブルースロック調のグルーヴで、ここから一気にギアを上げてきます。
“Anthem Of The Peaceful Army”(2018)の頃のエネルギッシュな雰囲気があって好きな曲。
ジョシュによるブルースハープも見事!ライブでもしっかり披露してくれています。
(せっかくなので公式ライブ映像を貼っておきます)

4.Sacred The Thread 5:22
先行公開第2弾。
イントロからツェッペリンの“When The Levee Breaks”のドラムパターンが炸裂。
ルーツを隠さない大ネタそのままのイントロも清々しくて嬉しいものです。
「聖なる糸」「夢の凧で風に乗る」という雄大でファンタジックな情景を描き出す、
ジョシュの伸びやかな歌声が見事な一曲。
リフやスキャットの入れ方など、全体の雰囲気は前作寄り。
ラストのハープのような音も良いですね。

5.Runway Blues 1:17
ここで唐突にアップテンポでテンションの高い曲が登場!
これは今までになかった試みで面白いしかっこいいぞ……と思っていると、
ギターソロとともにあっという間にフェードアウトしていきます。
The Detroit Newsのインタビューでサムの語るところによると、
ジョシュがこの曲を気に入らず、完成させたがらなかったためにこうなったのだとか。
少し残念ですが、そのような経緯を知ってから聴くと、
お蔵入りにせず断片だけでも聴かせてくれただけでもありがたいと思えてきます。
また、アルバム中盤にこの曲が配されていることで、リスナーがダレることも防げています。

6.The Indigo Streak 4:04
先行シングルではないですが、アルバム発売前からツアーでも披露されていた曲のひとつ。
ストレートなビートに乗る歯切れのよいギターリフとそこに絡んでいくベースライン、
そしてキャッチーで力強いハイトーンのサビメロ……と、非常に完成度の高い一曲。
ファズの効いたギターソロの絶妙な歪みもたまりません。今作のフェイバリットトラック。

7.Frozen Light 4:33
重量感のあるブルースロック路線。
こちらも力強く覚えやすいメロディで、魂を追い求める旅路の厳しさをうまく表現しています。

8.The Archer 5:00
ドラムパターンが面白く、リフと歌メロも相まって民族的な雰囲気を醸し出す一曲。
愛と復讐をテーマとした神話的な歌詞も面白く、惹きつけられます。

9.Meeting The Master 5:12
先行公開第1弾。この曲もライブでは既に披露されていました。
出会うことのできた自分の(魂の)師との別れのときを壮大に描きます。
アコースティックに始まり、徐々にストリングスが入ってきてギターソロと絡みあう様子は美しく、
ジョシュの澄んだ歌声も相まってまさに(アルバムタイトルにもある)星空を見ているかのよう。
大きなスピーカーでじっくりと味わいたい曲です。

10.Farewell For Now 4:29
先行公開第3弾。
先ほどと同じくアコースティックテイストの曲ではありますが、
こちらは一転してブックレットにある広い砂漠の景色が見えてきます。
優しく歌うラストの余韻まで美しい、雄大で爽やかなエンディング。
日本盤ボーナストラックを付けなかったのも英断といえそうです。

感想:スケールの大きさは残しつつ、繰り返し聴きやすい一枚に

Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) ブックレット裏
Starcatcher / Greta Van Fleet (2023) ブックレット裏

Greta Van Fleetの出したEPとアルバムは今作を含めて全5枚。
・Black Smoke Rising(1stEP、2017)
・From The Fires(2ndEP、2017)
・Anthem Of The Peaceful Army(1stアルバム、2018)
・The Battle At Garden’s Gate(2ndアルバム、2021)
・Starcatcher(3rdアルバム、2023)


彼らは一貫して「愛、平和、連帯」を掲げ続けていて、
天からのメッセージのような深遠で美しい世界を我々リスナーに見せてくれています。
人間の暗い面にも目を向けつつ理想を説いた前作“The Battle At Garden’s Gate”(2021)は、
天上の音楽のような名曲“Heat Above”で幕を開け、
ラストにはコンセプチュアルな9分弱の長尺曲もある1時間超の大作でした。

しかし、打って変わって今作“Starcatcher”10曲43分という潔いトータルランニングタイム。
壮大で哲学的な思索の旅の雰囲気は残しつつ、繰り返し手に取りやすい構成になっています。
曲を練り上げながらのびのびとレコ―ディングを行ったDave Cobbの手腕か、
実験や遊びの部分も随所に見られる作品です。

また、先行公開された曲以外も軒並みキャッチ―で、
後半になるにつれてメロディが立ってくるのも飽きさせないひとつの要因ではないでしょうか。
原点に立ち返り、各曲のライブでの再現しやすさが増していることも重要なポイント。
生き生きとしたライブバンドとしての彼らの輝きも、まだまだ見逃せません。

余談ですが、ジョシュは今年の6月20日に、LGBTQ+コミュニティの一員であり、パートナーと8年にわたり良好な関係を築いていることをinstagramでカムアウト。愛することの自由を脅かす政治家を批判しています。世界に愛のメッセージを発信し続ける姿勢は応援していきたいですね。

Starcatcher / Greta Van Fleet (2023)

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【レビュー】Darkfighter / Rival Sons (2023) https://tashinami-musiclog.com/2023/08/14/darkfighter-rival-sons/ https://tashinami-musiclog.com/2023/08/14/darkfighter-rival-sons/#respond Sun, 13 Aug 2023 15:33:06 +0000 https://tashinami-musiclog.com/?p=70 目次 光と闇の「闇」に目を向け、深みを増したコンセプト作第一弾延期があった中での、待望の新作全曲紹介感想:最高傑作を更新し続ける、Rival Sonsの懐の深さを実感 光と闇の「闇」に目を向け、深みを増したコンセプト作第 […]

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光と闇の「闇」に目を向け、深みを増したコンセプト作第一弾

カリフォルニア州ロングビーチで結成されたRival Sons
70年代の風を感じる、骨太なクラシック・ロックの旨味満載のバンドです。

グラミー賞2部門にノミネートされた前作“Feral Roots”(2019)以来となる、
彼らの待望の最新7thアルバム“Darkfighter”が、2023年6月2日に発売されました!

その名の通り「闇との戦い」がテーマの今作“Darkfighter”
現在は本作をベースとしたツアーで大忙しの彼らですが、
コロナ禍で創作の時間を取れたこともあり、曲のストックは十分。
なんと本作と対となるアルバム”Lightbringer”今年中に発売するとのこと!
まずは前編ともいえるこのアルバムを聴きこんで、
脂の乗りまくったRival Sonsの今年の快進撃に今から備えていきましょう!!

Darkfighter / Rival Sons (2023)
Darkfighter / Rival Sons (2023)

1. Mirrors 5:02
2. Nobody Wants To Die 3:42
3. Bird In The Hand 4:28
4. Bright Light 4:34
5. Rapture 4:24
6. Guillotine 5:06
7. Horses Breath 6:04
8. Darkside 6:19

延期があった中での、待望の新作

クレジットされているメンバーは以下の通り。
Jay Buchanan (Vocals/Acoustic guitars)
Scott Holiday (Acoustic & Electric Guitars)
Michael Miley (Drums)
Dave Beste (Bass)
Todd Ogren (Keys)


このキーボーディストTodd Ogren、前作“Feral Roots”(2019)の時点ではサポートメンバーでしたが、今作でついにメンバーと同列の扱いに。ブックレットでもトレードマークの長い髭をたくわえた写真が確認できます。

プロデュースを務めるのはナッシュビルに拠点をおくDave Cobb
Rival Sonsのデビュー作からずっとプロデューサーとして関わり続ける、バンドには不可欠な存在。
Greva Van Fleetの最新作“Starcatcher”(2023)も彼の手によるもので、
地に足のついた70’sサウンドの立役者といえます。

今作ですが、最初のアナウンスでは「2023年3月10日発売」となっていたんですよね。
先行シングル第一弾の“Nobody Wants To Die”は昨年の10月14日に公開されていただけに、
非常に発売が待ち遠しい作品でした。
6月2日に延期となったことで、Avenged Sevenfold, Buckcherry, Foo Fighters, Noel Gallagher’s High Flying Birdsといった、ロック界の超大型ニューアルバムが目白押しの週に発売されることになりました。(自分はAvenged Sevenfold, Buckcherryと同時に購入)

全曲紹介

Darkfighter / Rival Sons (2023)裏ジャケ
Darkfighter / Rival Sons (2023) 裏ジャケ

1. Mirrors 5:02

静かで荘厳なオルガンから始まるオープニングトラック。
いつもの彼らであれば1曲目は必ずハードなギターリフから始めていただけに、
バンドがいつもとは違う次のステップに到達したことが見てとれます。
高らかに、力強く「鏡を壊す」ことを歌うコーラスも聴きどころ。
書いていて気づきましたが「鏡を壊す」といえばThe Who“Tommy”の重要な場面の一つですよね。

2. Nobody Wants To Die 3:42

昨年に公開された先行シングル第1弾!
これぞRival Sons!と快哉を叫びたくなるような、
疾走感あふれる強力なリフでグイグイ引っ張っていく熱い一曲。


3. Bird In The Hand 4:28

先行シングル第3弾は、明るく覚えやすいコーラスが持ち味の一曲。
タイトルは、「掌中の一羽は叢中の二羽に勝る」という格言からきており、
今手の中にある「確実な利益」のことをいうのだそう。
アコースティックセットでも聴いてみたい曲ですね。

4. Bright Light 4:34

前曲の流れを引き継ぐ、おおらかでアコースティックな味わい。
「闇」と対置される、今の状況からの救いをもたらす明るい光について歌われています。

5. Rapture 4:24

先行シングル第2弾。
傑作“Great Western Valkyrie”(2014)のラストに収められた“Destination On Course”を彷彿とさせる、ゆったりとしたスケールの大きな一曲。
ライブではこのグルーヴで会場全体を包み込んでくれそうです。

6. Guillotine 5:06

先行シングル第4弾。
切り裂くようなジェイのハイトーンで幕を開ける、本作で一番重く激しい曲。
「自分は天国に近づいているのか、それとも地獄か?」という迫真の叫びは必聴。
アルバムの他の曲はすべてジェイとスコットの共作ですが、
この曲に関しては”HOLIDAY/BUCHANAN/COBB/MILEY”のクレジットになっています。

7. Horses Breath 6:04

本作の個人的フェイバリットソング。
“Head Down”(2012)収録の“Wild Animal”“Until The Sun Comes”のような、
四つ打ちにリバーブのかかったボーカルを添えた一曲が久々に登場!!
ブルージーな曲だけでなくこれもまたひとつの武器だと思っているので、
これは嬉しい驚きでした。アルバムの世界にもしっかりハマっています。
Pink Floyd“Echoes”のイントロのような「ピーン……」という鍵盤の音が入るのも良いですね。

8. Darkside 6:19

本作を締めくくるのは、「ダークサイド」に堕ちてしまった友へ向けた悲痛な一曲。
「君はもうダークサイドに行ってしまったのだから、守るべき約束は何もない」
というフレーズの繰り返しが胸に突き刺さります。

感想:最高傑作を更新し続ける、Rival Sonsの懐の深さを実感

Darkfighter / Rival Sons (2023) ブックレット裏と盤面
Darkfighter / Rival Sons (2023) ブックレット裏と盤面

前作がグラミー賞にノミネートされたバンドが満を持してリリースした最新作“Darkfighter”ですが、
またもや最高傑作更新なのでは?と思ってしまうような楽曲の充実度がとにかく素晴らしい!
70年代へのリスペクトももちろん込められているとは思いますが、
全8曲、40分という絞りに絞り込んだアルバムは、曲に絶対の自信がなければなかなか出せないはず。

今年の後半に発表されるという次作“Lightbringer”のために温存している曲もあるわけですし、
そう考えると彼らはいったいどれほどの曲を作り上げていて、
2枚のコンセプトアルバムに仕上げていったのか?
そして分断されゆく現代社会を見つめたこのコンセプトアルバムはどう着地するのか?
Rival Sonsへの期待感は高まるばかりです。

余談ですが、CDが紙ジャケでなくジュエルケース仕様なのは“Great Western Valkyrie”(2014)以来。このアルバムを最後にRival Sonsのアルバムの日本盤は出ずじまいで、世界との人気の格差は広がるばかり……
久しく行われていない日本公演実現に向けて、本記事がその一助となることを願っています。

Darkfighter / Rival Sons (2023)
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不屈のロックンロールバンド、今回も絶好調の快作!

アメリカのBuckcherryが2023年6月2日に発表した、
その名の通り記念すべき通算10枚目のアルバム。

かつての解散や主要メンバーの脱退等の困難を乗り越えながら、
今なお驚異的なペースでツアーを回り続けるバンドの勢いがうかがえる、
痛快なロックンロールアルバムが完成しました。

Vol.10 / Buckcherry (2023)
Vol.10 / Buckcherry (2023)

1.This And That 3:16
2.Good Time 2:53
3.Keep On Fighting 3:01
4.Turn It On 2:47
5.Feels Like Love 4:43
6.One And Only 3:16
7.Shine Your Light 3:27
8.Let’s Get Wild 3:24
9.With You 3:12
10.Pain 3:57
11.Summer Of ’69 3:13


日本盤ボーナストラック
12.Kiss Me 3:25
13.Get It Started 3:18

メンバーの写真のアートワークから見える「自信」

メンバーは以下の通り。
Josh Todd (Vo.)
Stevie Dacanay (Gt.)
Kelly LeMieux (Ba.)
Francis Ruiz (Dr.)
Billy Rowe (Gt.)


プロデューサーはマーティ・フレデリクセン
Buckcherryのアルバムプロデュースを初めて務めたのは4th“Black Butterfly”(2008)ですが、
3rd“15”(2005)収録の“Sorry”の共作者として名を連ねるなど、バンドとの相性は抜群。
バンド、プロデューサーともに、
前作“Hellbound”(2021)と同じメンバーでの制作となりました。

今回のアートワークにはメンバー5人のモノクロ写真が使用されていますが、
オリジナルアルバムのジャケットでメンバーの写真が使用されているものはこれが初めて
(一応“Best Of Buckcherry”(2013)でも当時のメンバーのグループショットが使用されていますが、
このベスト盤はメンバーが積極的に関わったものではないため事情は異なります。)
今回のアートワークは現ラインナップへの自信の表れとみてよいと思われます。

前作の発売は2021年6月だったため、ちょうど2年で新作が届けられたことになりますが、
『BURRN!』2023年6月号でのインタビューによると、
前作に伴うツアー終了後の2か月半のオフの間にレコーディングを終わらせたとのこと。
アルバム発表後には早速全米ツアーに入っているため、
年に100公演以上をこなすライブバンドの名は伊達ではありません。
新ボーカリストを迎えたSKID ROWとのツアーだったことでも話題を振りまいていました。

全曲紹介

Vol.10 / Buckcherry (2023)盤面
Vol.10 / Buckcherry (2023)盤面

1.This And That 3:16
手拍子とバスドラムで始まる、いつものアルバムとはひと味違った変化球のオープニング。
“Black Butterfly”(2008)収録の”Too Drunk…”を彷彿とさせる、
思わず腰が動くようなグルーヴィーな楽曲です。

2.Good Time 2:53

Good Time / Buckcherry

本作のリードトラックとして最初に公開されたのがこの曲。
フロアで気持ちよく踊れるロックンロール。
良い意味で1stの頃から変わらない「いつものBuckcherry」を味わえます。
タイトル連呼のコーラスが覚えやすく、今後のライブの定番になりそうな曲。

3.Keep On Fighting 3:01
その名の通り、攻撃的なうねるベースとドラムから幕を開ける疾走曲。
グルーヴィーなロックンロールとストレートでパンキッシュな曲を使い分けられるのは
デビュー時から変わらないBuckcherryの大きな武器です。

4.Turn It On 2:47
ファンキーなグルーヴの横ノリの曲。
ジョシュがステージに立つときの高揚感を歌っています。

5.Feels Like Love 4:43
Def Leppardの名曲”Hysteria”を意識したというイントロで、
アルバムの今までの雰囲気がガラッと変わります。
ボーカルのメロディも美しく、ラジオでもヒットしそうなミッドテンポの楽曲です。

6.One And Only 3:16
最初は前曲のムードを受け継ぐようなスローなジャングルビートでの入りですが、
溜めこんだエネルギーを一気にサビで放出して一気に疾走!
ボーカルに絡む裏声のコーラスも気持ちいい一曲。

7.Shine Your Light 3:27

Shine Your Light / Buckcherry

先行公開第3弾。
入りのリフから「何か違うぞ」と耳を惹きつけるアップテンポの曲。
「お前の光を俺に照らしてくれ」という力強い歌詞、
そしてバンド演奏をフィーチャーしたMVも印象的な一曲。
本作で一番気に入っている曲です。

8.Let’s Get Wild 3:24

Let’s Get Wild / Buckcherry

先行公開第2弾。前曲のアッパーなムードをそのままに、
ドライブ感満載でアルバム終盤を盛り上げます。

9.With You 3:12

With You / Buckcherry

先行公開第4弾。
どこか初期のAC/DCのような、ブギのリズムが心地よい1曲。

10.Pain 3:57
本編ラストという位置づけのバラード。
ピアノとストリングスをバックにジョシュが切々と歌い上げます。
ロックンロールバンドとしての光の裏にある、
痛みや闇のような部分を赤裸々に吐露した歌唱を引き立てる楽器陣の絡みも見事。
Buckcherryのバラードの名曲群にまたひとつ素晴らしい曲が加わりました。

11.Summer Of ’69 3:13
Bryan Adamsの”Reckless”(1984)に収録された名曲のストレートなカバー。
過去のセットリストを見ると、アルバムの発表前からすでにライブでは演奏されていたようです。
飾り気のない直球のカバーで、ロックのもつ楽しさ、爽快感を味わえます。
CDの表記から確認できる通り、アルバムラストのボーナストラック扱いとなっています。
ちなみにアルバムにカバー曲が入るのは、前々作”Warpaint”(2019)以来。

12.Kiss Me 3:25
日本盤ボーナストラック。
グルーヴィーなベースがバンドを引っ張る、ファンキーなミッドテンポ曲。
バックに薄く鍵盤が入っていたり、ギターソロのトーンもほかの曲と違っていたりと、
際どい歌詞も相まってセクシーで妖しい良曲です。

13.Get It Started 3:18
日本盤ボーナストラック。
スライドギターのリフがクールなアップテンポ曲。
単語の1つひとつを強調する歌い方がどこか可愛さもあって癖になります。

感想:バンドの充実を物語る痛快な楽曲群と、完璧な曲順

Vol.10 / Buckcherry (2023)日本盤帯
Vol.10 / Buckcherry (2023)日本盤帯

今作“Vol.10”は、充実したロックンロールが
矢継ぎ早に飛び出してくる素晴らしいアルバムでした。

聴いてまず感じた全体の印象は、
マーティ・フレデリクセンの洗練されたプロダクションの素晴らしさです。

彼が初めてプロデューサーとして関わった4th“Black Butterfly”(2008)は、
直球勝負のハードロック“Rescue Me”を筆頭に、
バラエティ豊かな楽曲を収録した傑作でした。

今作“Vol.10”においてもその手腕はいかんなく発揮されていて、
激しくも全ての楽器が明瞭に聞き取れ、グルーヴをフルに感じられる、
聴いていて気持ちのよいアルバムに仕上がっています。

そして何よりも楽曲の充実度の高さ!
先述のマーティ・フレデリクセンは全曲の共作にも携わっており、
ジョシュとスティーヴィーによる楽曲をブラッシュアップしてくれています。

また、お手本のような曲順の妙も見逃せません。
“This And That”~”Keep On Fighting”でテンションを高めていき、
中盤には聴かせる“Feels Like Love”やボルテージを最高潮に高めていく“Shine Your Light”を、
そして本編ラストに痛切なバラード“Pain”を配して、
ボーナストラック“Summer Of ’69”のカバーで気持ちよく締めくくります。
そのあとの日本盤ボーナストラック2曲を含めても13曲44分という潔いランニングタイム

あとは前作で実現しなかった来日公演に期待しつつ、
この“Vol.10”の曲をシンガロングする準備をするのみです!

Vol.10 / Buckcherry (2023)
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