ラルフも登場、新旧交えたベストなセットリストで圧倒!
熱狂のGAMMA RAY来日公演からあっという間に1週間!早いものです。
カイ・ハンセンがマイケル・キスクと共に復帰したことで
PUMPKINS UNITED体制となったHELLOWEENは昨年、
武道館公演を含む現体制2度目のジャパンツアーを大成功させました。
自分も大阪公演に参戦しています。
ただ、その分カイがメインとなるGAMMA RAYの活動は散発的なものになっていて、
30周年記念の配信ライブを開催するなどしながらも、活動に関してはなかなか読めない状況。
その分突如として発表になった今回のジャパンツアーには狂喜乱舞しましたね。
日本独自企画のツアーですし、なにしろGAMMA RAYでの来日は10年ぶり!
自分としてもGAMMA RAYを観るのは初めてだったので、待ちに待ったライブでした。
スペシャルゲストに初期3作でボーカルをとったラルフ・シーパース(現Primal Fear)!
偉そうに書いてますが自分は現状の最新作“Empire Of The Undead”(2014)からの後追いなので、
実際に初期の彼らを知る方々にとっての嬉しさには計り知れないものがあります。
そしてPrimal Fearは今年の1~2月に来日したばかりということで、
間違いなく史上最短レベルのスパンでラルフ・シーパースを拝めたという方も多いはず。
実際、会場でもPrimal FearとGamma Rayどっちも行きました!という方が多数見られました。
そしてさらなるゲストとして、カイの息子ティム・カノア・ハンセンがギタリストを務める、
パワーメタルバンドInductionもライブを行うという豪華カイ・ハンセン祭り状態。
メタルの凄まじいエネルギーをたっぷり味わえた一夜を振り返ります。
会場は3月のスラッシュ以来のなんばHatch。
まさかの全席指定でしたが一階席PAブース付近のいい席でした。
一切の撮影が禁止だったので、何も考えずにヘドバンとシンガロングに専念!
19:00〜 Induction
オープニングアクトではなくスペシャルゲストという枠のInduction、
開演時間の19:00からたっぷり50分近くのライブを見せてくれました。
彼らの曲自体は軽く伊藤政則先生のラジオで聴く程度でしたが、
いざ実際に彼らのライブを目の当たりにしてみると、ステージを広く使って動いて、
キメの場面では揃ったアクションで盛り上げるメンバーの技術の高さと、
「オオキニ!」を連発しながら巧みに会場を煽って一つにしていく、
ボーカルのクレイグ・ケインズの歌唱力と盛り上げのうまさに圧倒されました!
ほんとによくこんな良いボーカル連れてきたなと。
見た目もパワフルな高音域の歌唱も、Dragonforceのマーク・ハドソンを彷彿とさせます。
そして顔も、コーラスでの歌声までもがカイそっくりなティム、
ラストではカイの十八番の「山の魔王の宮殿にて」を弾いてくれて大盛り上がりでした!
彼とコンビを組むサポートメンバーの女性ギタリスト、
Celine Perenさんも、テクニカルな曲の中でも楽しそうに盛り上げていて良かったです。
新曲として披露された北欧の香り漂う勇壮なパワーメタルナンバー“Medusa”や、
“Scorched”, “I Am Alive”, “Go To Hell”といったノリやすいフックのある曲の存在、
ラストに披露された“Queen Of Light”の圧倒的アンセム感など、
楽曲にもパフォーマンス(特にボーカル)にも華があって、これからに大いに期待できそう。
きっと今回のライブでファンを増やせたことと思います。自分もそうなので。
「次もまた日本に来ていいかー!」と問いかけるメンバーの表情も嬉しそうでしたし、
SNSを見る限り、ティムはかなり長い期間日本に滞在していて、
観光やファンとの交流を楽しんでいる様子。
次はさらにビッグになったInductionと一緒にやってきてくれるはず!
20:00〜 GAMMA RAY
Inductionのエネルギッシュなライブをたっぷり楽しんだあとは、いよいよGAMMA RAY!
今回の来日メンバーは以下の通り。
Frank Beck (Vo)
Kai Hansen (Vo & G)
Kasperi Heikkinen (G)
Dirk Schlachter (B)
Michael Ehre (Dr)
2015年の暮れに加入した新ボーカリストのFrank Beckは今回が初来日。
お馴染みのギタリストHenjo Richterは、何と交通事故で深刻なケガを負ったため療養中。
ということで今回はサポートとしてKasperi Heikkinenが帯同していました。
カスペリ氏といえば今月日本公演があるBeast In Blackのギタリストでもありますし、
ティム・ハンセンにとってのギターヒーローでもあります。
実際うまかった……!しかしほぼ1か月近く日本に滞在するってことなんですかね。
(※2024/6/4追記:実際のところは一度帰国してから、BIBとして再度来日したのだそう)
“Empire Of The Undead”(2014)のジャケットの骸骨が描かれたバックドロップ、
もしかして10年使い続けているのでは……と邪推したのも束の間、
まずはご挨拶としてのインスト“Welcome”が流れて会場のボルテージは一気に高まります。
そしてそこからいきなり“Land Of The Free”へ!
新ボーカリストのフランクのマイクスタンドが中央下手側、
カイのマイクスタンドが中央上手側に配置されたツインボーカルスタイル。
サビのみならずラストの「イェーイイェーー!」まで早速大合唱でした。
そこから続けざまにベースが切り込んできて“Last Before The Storm”へ。
3rdの曲ですがこの曲もそのままフランクがボーカルを務めました。
いきなり人気の疾走曲が2連発で出てきたのには圧倒されましたね。
個人的に注目していたフランクの歌唱ですが、飛び抜けたカリスマ性こそないものの、
カイの声に滑らかさと厚みを足した感じで、楽曲に違和感なくマッチしていて良かったです。
パフォーマンスに関しては「歌がめっちゃうまくて気のいい親戚のおじさん」という印象で、
煽りの動きもちょっと硬いな?といった感じだったのですが、
MCの和やかさを見ると、加入時にカイが「いい奴だ」と紹介していたのも頷けるなと。
今回のライブで初めてフランクの加入を知った方もちらほらいらっしゃいますし、
フランクの歌うスタジオアルバムができればもっと注目されていくはず。
30周年ライブの音源なんかを聴くとわかりますが、かなりの実力者です。
3曲目は静と動のメリハリが効いた大作“Rebellion In Dreamland”。
テンポアップして”For rebellion!””Revoution!”のコールに突入するパートの気持ちよさは格別。
ラストの”Have no fear~!”のパートまで大合唱だったのは感動的でした。
続く“Master Of Confusion”も素晴らしい出来!今回のセトリで一番新しい曲ですが、
実はSpotifyでは断トツでこの曲がGAMMA RAYの再生回数トップだったりします。
(初期曲がSpotifyから引き揚げられたのも大きいとは思いますが)
個人的にもリアルタイムで聴き始めるきっかけになった曲だったので嬉しかったです。
曲の前には”Are you confused?”と訊くフランクに対し、
「俺が混乱してるんじゃなくて、俺がみんなを混乱させるのが好きなんだよ!」
とカイが返す掛け合いも。
ここまでは現体制でのライブでしたが、
「ここで1stアルバムにさかのぼろう」というMCで“Lust For Life”がスタート!
歌いだしでドラムの背後からラルフ・シーパースが出てきたときの大歓声は凄かった……!
ラストには余裕で原曲以上の強烈なハイトーンを披露してくれました!
東京では喉の調子がイマイチだったとはのちのMCでも本人が語っていましたが、
100%ではないかもしれなくても、強烈なカリスマ性とシャープでストロングな声は圧倒的でした。
その興奮冷めやらぬまま、ドラムのイントロから2ndの“One With The World”へ。
“Are you one?”というラルフの熱い煽りや、一体感のあるコーラスがとても良かったです。
中盤のヌルヌルしたテクニカルなギターソロはカスペリの見せ場でしたね。
ここで一旦ラルフは舞台袖に掃けていき、大名曲“Man On A Mission”がスタート!
半ばミーム化している冒頭の「アーライ!」を一緒に叫んでいるファンも多かったですし、
パワーメタルの醍醐味ともいえるクサメロの波状攻撃をダイレクトに感じました。
この曲ではひときわファンのヘドバンが激しかった印象です。(自分含む)
再び1stの“The Silence”では、ラルフとフランクがボーカルをシェアする場面が多く、
声の系統は違えど、スキンヘッドと長髪の2人が並ぶとPUMPKINS UNITEDを連想しました。
ラストの”Carry On〜”の一体感は、感動のフィナーレといった趣があって美しかったです。
歌唱も演奏も丁寧で、この日のハイライトと言える出来の良さでした!
ちなみに最初は曲名をコールしたものの、カイが水を飲んでいたか何かで曲が始まらず。
しばし会場がシーンとなってしまったときに、
カイが絶妙なタイミングで”This is The Silence…”と言って笑いを取る場面も。
そして終盤には再び疾走ゾーンへ!
「イルミナティ!」のコーラスが強烈なイントロ“Induction”に続く“Dethrone Tyranny”、
さらには“Somewhere Out In Space”まで披露されるという半ば暴力的なセトリ。
メインの高速リフでヘドバンしすぎて後半のコーレスの頃には普通にバテました……。
周りの方も同じなのか、最後の”Somewhere Out In Space~!”コールは不発気味だった気も。
本編最後には14分半の大作“Heading For Tomorrow”が満を持して登場。
出だしのコーラスがなくぬるっとした始まりでしたが、圧倒的貫禄で聴かせきりました。
(「次が最後の曲だ!」というカイの煽りに普通なら”No~!”という絶叫が起こるところ、
叫び疲れか「えぇ~……」というリアルな落胆の反応だったのが面白かったです。
オーディエンスの曲の聴きたさと体力のギャップ!)
と言いつつも20時スタートのライブなので、この時点でもかなり遅めの時刻。
アンコールも水を飲むか飲まないかくらいの短さでスタート。
まずは定番“Send Me A Sign”!ギターソロまでしっかり合唱になるのは流石。
作曲者のHenjoがいないのが悔やまれますが。
そしてラストはラルフも交えて1stの名曲“Heaven Can Wait”でフィニッシュ!
メンバーも終始楽しげで、バンドの歴史を総括するようなパフォーマンスでした。
ポジティブで熱いエネルギーを放散しながら最後まで大合唱のライブでした!
自分にとっては初めてのGAMMA RAY体験でしたが、全曲歌えてとにかく楽しかったです。
(“Man On A Mission”と“Dethrone Tyranny”で2回アーライできて良かったです)
どの年代からも満遍なく押さえたベスト盤的セットリストで、
ラルフ、カイ、フランクのトリプルボーカルも聴いていて気持ちよかったです。
HELLOWEENから持ち帰ったPUMPKINS UNITEDの方法論が活きているなと感じました。
ラルフ・シーパースが歌うことが大々的に宣伝されたツアーではあったものの、
“Dethrone Tyranny”や“Master Of Coufusion”といった新しめの曲でも、
ずっとヘドバンとシンガロングで大盛り上がりだったのがたいへん良かったです。
また、今回は“Ride The Sky”や“I Want Out”のようなHELLOWEENの曲は一切なしで、
GAMMA RAYの曲のみでセットリストを組んでいたことにも好感がもてました。
このあたりは復帰したことで棲み分けができて、
よりGAMMA RAYの名曲群にフォーカスできたという感じでしょうか。
ラルフ脱退以前、以後の両方に強烈なキラーチューンがあるのが何よりの強み!
そもそもカイ・ハンセン自身がパワーメタルの祖みたいなものなので、
カイがいる限りそこから名曲が生まれてくるというべきか……。
GAMMA RAYのさらなる一手にも、HELLOWEENの新譜にも、
そしてInductionの飛躍にも期待!まだまだメタル界には明るい話題が豊富です!
GAMMA RAY大阪公演セットリスト
1.Welcome
2.Land Of The Free
3.Last Before The Storm
4.Rebellion In Dreamland
5.Master Of Confusion
6.Lust For Life
7.One With The World
8.Man On A Mission
9.The Silence
10.Induction / Dethrone Tyranny
11.Somewhere Out In Space
12.Heading For Tomorrow
~アンコール~
13.Send Me A Sign
14.Heaven Can Wait
コメント