現在のパープルを形成する分岐点となった重要作
Deep Purpleの19thアルバム“Now What?!”(2013)。
大好きなアルバムだったのですがフィジカルでは持っていなかったのをようやく入手。
当時のメンバーはこちら。
Ian Gillan (Vo.)
Steve Morse (Gt.)
Roger Glover (Ba.)
Don Airey (Key.)
Ian Paice (Dr.)
前作にあたる“Rapture Of The Deep”(2005)から8年ぶりに投下された一枚。
(と言いつつ、その間は足掛け7年の長い長いツアー生活だったわけで、
バンドが足を止めていたわけではないというのが凄いところ)
今作、自分がリアルタイムで初めて触れたパープルのアルバムでもあります。
「パープルが今も現役で、新譜を出している」というそもそもの事実がかっこいい!
ということで、当時高校生だった自分には刺さりましたね。
この“Now What?!”ですが、当時からみての「久々の新譜」というだけでなく、
①ジョン・ロードの追悼
②現在まで続く名匠ボブ・エズリンとのタッグの幕開け
以下の2点の理由で重要作だと言えると思います。
クラシックへの造詣の深さ、ハモンドオルガンを爆音で鳴らすプレイスタイルなど、
今なお影響を与え続けているジョン・ロード。
脱退したのはこの10年前の“Bananas”(2003)の時点ではありますが、
やはり結成メンバーの他界というのは大きな衝撃であることは疑いようもありません。
「ジョン・ロードに捧ぐ」と書かれた今作。
その下に添えられた”Souls, having touched, are forever entwined”という一文は、
“Above And Beyond”の歌詞にあるもので、
「一度でも触れ合った魂は、永遠に絡みあう」という意味。
作詞したイアン・ギランの思いの深さがうかがい知れます。
追悼コンサートでの情感あふれるギランの歌唱も秀逸でした。
今作では、その“Above And Beyond”と“Uncommon Man”の2曲が彼についてのもの。
“Uncommon Man”は、現在でもジョンへのトリビュートとしてライブの定番になっています。
今作で招いたプロデューサー、ボブ・エズリンとの相性のよさも見逃せない要素。
KISSの傑作“Destroyer”(1976)での仕事の印象が個人的には強いですね。
現行パープルにおいては、今まで以上にパワフルで一体感のある、
「枯れた」という言葉とは無縁の、現役感を増したサウンドに仕上げてくれています。
これ以降にリリースされた作品も全て彼のプロデュースによるもので、
「今を生きるバンド」としてのパープルの好調の立役者といえる存在。
もちろん、今年リリースのニューアルバム“=1″(2024)も、
ボブ・エズリンと組んだ作品です。
収録内容
1.A Simple Song 4:39
2.Weirdistan 4:14
3.Out Of Hand 6:11
4.Hell To Pay 5:12
5.Body Line 4:27
6.Above And Beyond 5:31
7.Blood From A Stone 5:18
8.Uncommon Man 7:00
9.Après Vous 5:26
10.All The Time In The World 4:22
11.Vincent Price 4:45
デラックス盤ボーナストラック
12.It’ll Be Me 3:04
日本盤は以前レンタルしていたので、
今回入手したのは米盤デラックスエディション。
ボーナスDVDも付いているのが嬉しいところ。
日本盤には未収録の“It’ll Be Me”はリラックスしたムードのストレートな一曲。
ドン・エイリーがピアノにオルガンにと大活躍しています。
ちなみに日本盤のボーナストラックは以下の通り。
この時期までは“Perfect Strangers”も原キーで披露されています。
12.Highway Star [Live] 8:11
13.Perfect Strangers [Live] 6:42
14.All The Time In The World [Alternative Radio Mix] 3:48
先に紹介したジョン・ロードに向けた2曲に加えて、
2014年の武道館公演の1曲目を飾った“Après Vous”、
これぞ!というドライブ感にあふれた“Hell To Pay”、
そして優しく語り掛けるように歌い上げる
“All The Time In The World“など聴きどころ満載の充実作。
その中でも自分が1曲選ぶとしたら本編ラストの“Vincent Price”。
自分が現行パープルに惹かれるきっかけになったのがこの曲。
(伊藤政則先生のラジオのイベントで当時の新曲!として流れていたの出会い)
ドン・エイリーの重厚なオルガンとおどろおどろしくも心躍るグルーヴ、
そして中盤のスティーヴ・モーズの官能的なギターソロが絶品!
ホラーの巨匠へのリスペクトが込められたMVも気合の入った出来。
現在に至るまでのパープルの方向性を決定づけた秀逸なアルバムなので、
未聴の方は是非!
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