
結成40周年をメタリックに彩る、マイク・ポートノイの復帰作!
Dream Theaterを2010年に脱退したマイク・ポートノイ(Dr.)が、
2023年に復帰を発表!というのは衝撃的なニュースでした。
マイク・マンジーニを迎えた体制もすっかり盤石のものとなり、前作
“A View From The Top Of The World”(2021)収録の
“The Alien”は翌年のグラミー賞を受賞するなど順風満帆という様子だったので猶更。
特に近年は水面下で様々な動きが起こっていた……というのは後追いで知ったクチですが、
中でもLTEが22年ぶりに再始動して
“Liquid Tension Experiment 3″(2021)
を制作したのが大きなターニングポイントだった、というのには頷けます。
とはいえ多少の期待感を抱きこそすれ、
ポートノイ復帰はもうないものと思っていたので、
(ラブリエとの確執は長い間大きく報じられていましたし)
こうして“Metropolice Pt.2″(1999)を作り上げたメンバーが一堂に会するのは感慨深いですね。

そして2025年、バンドの40周年を大々的に飾る一作となったのが、
16thアルバムにあたる今作
“Parasomnia(パラソムニア)”!
ポートノイ在籍時の諸作にも目配せをしたようなダークなアートワーク、
タイトルでもある「睡眠障害」をテーマに掲げた世界観には惹きつけられましたし、
個人的には第3弾先行シングル
“Midnight Messiah”における、
“Train Of Thought”(2003)を彷彿とさせるダークな質感とストレートな疾走感も、
今作における購入の決め手のひとつでした。
自分はそもそも“6:00”が好きなこともあって、
ポートノイのタム回しが聴けるたびに感動するような分かりやすい人なわけですが……

こちらがCDの盤面。LPのものとはまた違っていて、
2ndシングル“A Broken Man”の帰還兵を描いたイラストと思われます。
外側からは「眠っている」ように見えてもあくまで「瞼が閉じている」だけで、
その下では目が動いていて何かを「見て」いるのだなと思わされるような力を感じます。
ちなみに日本盤ブックレットには伊藤政則氏のライナーノーツのみならず、
熱狂的なファンとしてお馴染みの経済学者・岸博幸先生による寄稿も。

収録内容

1.In The Arms Of Morpheus 5:22
2.Night Terror 9:55
3.A Broken Man 8:30
4.Dead Asleep 11:06
5.Midnight Messiah 7:58
6.Are We Dreaming? 1:28
7.Bend The Clock 7:25
8.The Shadow Man Incident 19:32
8曲入り、トータルランニングタイムは72分。
“Night Terror”, “A Broken Man”, “Midnight Messiah”の3曲が先行シングル。
これらの曲も、やはりアルバムの中にあるとより自然に馴染んでくるもの。
1曲目のインストを経た“Night Terror”でのラブリエのボーカル、
そして“A Broken Man”に差し込まれるジャジーなインストパート等は、
アルバムトータルで聴き通すことでその真価を発揮していた印象。
3周しての感想ではありますが、今作の白眉はやはりラスト2曲。
ラブリエの歌唱力と終盤のペトルーシの美しいソロが光る、温かみと哀しみをたたえたバラード
“Bend The Clock”と、
19分半にわたる大作
“The Shadow Man Incident”!
ジャケット右側の背の高い黒い影こそがこの”Shadow Man”でしょう。
夜眠ることそれ自体がもつ恐怖の具現化という趣があって心を掴まれました。
長尺曲をドラマチックに、ダレさせず演出できる手腕には毎度のことながら脱帽。
特に中盤の加速パートでのソロの応酬は見事で、
中でもジョーダン・ルーデスのピアノが入るところはシンプルにかっこいい!
早くも今年を代表するビッグタイトルと言える充実の一枚です。

以下のジャパン・リミテッド・エディションはBlu-Rayつき。
Visualizer、Dolbyアトモス、5.1サラウンド、ハイレゾステレオ音源を全曲分収録!


ちなみに自分はBURRN!最新号と併せて購入。
5人全員のインタビューが収録されているため、最新作のお供にしております。

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