活動再開!2020年以来の新譜が登場

心を打つ美メロとそれを支えるテクニックを両立したカナダのメロハーバンド、
Harem Scaremの16thアルバム
“Chasing Euphoria”が4/25にめでたく発売となりました。
こうしてアルバムが出るのは“Change The World”(2020)以来。
アートワークにある「何かを探して独りで歩いていく後ろ姿」のモチーフは、
前作にも通ずるものがありますね。

コロナ禍もあり、しばらくバンドとしてのとしての活動は無かったHarem Scaremですが、
今年2月に活動再開のアナウンスと共に突如新曲“Reliving History”を発表!
その後も順調に“Chasing Euphoria”,
“Better The Devil You Know”を先行シングルとして切ってきました。
いずれもミッドテンポで良質なメロディとコーラス、
そしてピート・レスペランスの歌心あるギターソロをフィーチャーした「らしい」仕上がり。
ちなみに今作の日本盤の発売元はキングレコードからワードレコーズに代わっています。
収録内容

1.Chasing Euphoria 3:33
2.Better The Devil You Know 3:55
3.Slow Burn 3:45
4.Gotta Keep Your Head Up 3:24
5.World On Fire 3:49
6.In A Bad Way 3:36
7.Reliving History 3:23
8.A Falling Knife 3:52
9.Understand It All 4:09
10.Wasted Years 3:44

参加メンバーは以下の通り。
ハリー・ヘス (Vo.)
ピート・レスぺランス (Gt, Ba.)
クレイトン・ドーン (Dr.)
ダレン・スミス (Backing Vocals, “Gotta Keep Your Head Up” Vo.)
ツアーではサポートベーシストを入れて、
かつ初期からのドラマーであるダレンがドラムを担当するというのが近年ではお馴染みの流れ。
スタジオ向きのクレイトン、ツアー向きのダレンというドラマー2人が適材適所でやっている形です。
そして今作では久々にダレン・スミスのリードボーカルが聴けるというのもハイライトのひとつ。
これは2nd“Mood Swings”(1993)収録の
“Sentimental Blvd.”、
そして4th“Believe”(1997)収録の
“Staying Away”以来となります。
(ちなみに海外盤4th
“Karma Cleansing”(1997)に”Staying Away”は未収録)
全曲紹介
1.Chasing Euphoria 3:33
1曲目から気合十分のタイトルトラック。
ワウの効いた少しダークなリフからハリーの力強いボーカルに流れていく展開には、
未知の冒険に足を踏み入れる高揚感を感じます。
前作ともアートワークのモチーフとも共鳴するような一曲。
2.Better The Devil You Know 3:55
先行公開第3弾。
本作屈指の”Harem Scaremらしい”メロハーが味わえる一曲!
この曲の公開で「今作は相当良いアルバムになりそう!」と確信しました。
3.Slow Burn 3:45
安定感あるミッドテンポの先行公開2曲を経て、
飛び込んでくるのがこの明るいファストナンバー!
本作の新曲の中で自分の一押しは迷わずこの曲。
サビの爆発力と覚えやすさはメロディアスな今作の中でも抜きんでています。
4.Gotta Keep Your Head Up 3:24
ここでダレン・スミスがリードボーカルをとる曲が登場!
“Mood Swings”時代を思わせるリフに乗って、
「顔を上げて立ち上がれ!」というメッセージを聴かせてくれるという、
ファンにはたまらない一曲に仕上がっています。
自身のバンドやジェイク・E・リーの
Red Dragon Cartelでも、
KISSのポール・スタンレーを彷彿とさせる声質で
豪快な性格をそのまま映したかのような力強いボーカルを披露してきた彼ですが、
年月を経て多少ソフトになった声は不思議とハリーに似てきたような気も。
(もともと似ていなかったわけではないですが)
5.World On Fire 3:49
このバンドの武器の一つである美しいバラードは、中盤の要となるこの位置に収録。
ハリーの哀愁と伸びやかさを併せ持つボーカルワークを堪能できます。
意外と今作においては「バラード然としたバラード」はこの曲のみ。
その分練り上げられた勝負の一曲といえますね。
6.In A Bad Way 3:36
4曲目を裏返したかのようなリフからなるミッドテンポの一曲。
音の隙間を意識したピート・レスペランスのリフワークや、
ギターソロ前半の下降していくフレーズなど聴きどころ満載。
「辛くなるくらいにお前の愛が欲しいんだ」という歌詞も良いですね。
7.Reliving History 3:23
Harem Scarem再始動を高らかに宣言した、本作からの1stシングル。
「過去の歴史をなぞって生きることから解放されるときは来るのか」
という重いテーマですが、曲調からはそれを跳ね返そうとする強靭さを感じます。
8.A Falling Knife 3:52
既存のシングル曲で一息ついたところに再び飛び込んでくるファストナンバー。
シングル曲とアルバム曲でもって「緊張と緩和」を作りだす熟練の技。
この曲をよくぞ隠し球としてとっておいてくれていたなと感心しきりですし、
本作におけるラスト3曲の出来のよさは、
アルバムの全体的な好印象に大きく貢献してくれています。
9.Understand It All 4:09
タイトルとは裏腹に、「人生のうちに全てを理解することはできない」と歌う曲。
“Mood Swings”収録の”Jealousy”を彷彿とさせるような、
ピートのリフワークはここでも冴えわたっています。
10.Wasted Years 3:44
「自分が最後のフロンティアになる、失った時間を取り戻そう!」
というメッセージを込めた強力なスピードナンバー。
レーベル名の”Frontiers”を思わせるワードチョイスも冴えています。
ラストにこの曲が据えられているところが本作の秀逸なところで、
紆余曲折を経て自分たちの持ち味を取り戻した傑作
“Weight Of The World”(2002)のラストナンバー
“Voice Inside”を聴いたときの高揚感を追体験した思いです。
昔のような「売れたい!」というガツガツしたところと折り合いがついたのか、
再結成後は自分たちのできること、求められているものをうまく織り交ぜて出力している彼ら。
ポジティブな内容の歌詞が増えてきたことからもその好調ぶりがうかがえます。
“Frontiers”レーベルの継続的な後押しがあることですし、
これからものびのびと続けてもらえれば……というのがいちファンとしての思いです。
(あとはこの強力な新譜を携えての来日に期待!)
収録内容(Disc 2: Acoustic Bonus CD)

1.Better The Devil You Know (Acoustic) 3:55
2.Slow Burn (Acoustic) 3:46
3.In A Bad Way (Acoustic) 3:23
4.Reliving History (Acoustic) 3:21
日本盤限定のDisc 2は、新曲のアコースティックアレンジ4曲入り。
アコースティック巧者でもあるHarem Scarem、
メロディの引き立つ良アレンジで聴かせてくれます。
特に劇的な変化があったのは元がファストナンバーの“Slow Burn”。
バッキングのテンポが半分になったことでまた違った楽しみ方ができますし、
“In A Bad Way”や”Reliving History“は、
アコギが打ち込みのドラムと絡み合うグルーヴを味わう面白さがあります。
よりリラックスして聴くのにうってつけの一枚。
こちらは日本盤2CD仕様。
こちらは日本盤2CD+DVDの3枚組。
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