先月のことになりますが、ティム・クリステンセン率いるデンマークの3ピースバンド
Dizzy Mizz Lizzyのライブに初参戦してまいりました!
2020年に「轟音の中の美」を追求した4thアルバム“Alter Echo”をリリースし、
来日公演も間近!という矢先にコロナ禍が襲来、ジャパンツアーも一度はキャンセル。
ようやく今年実現したこのツアーは、Dizzy Mizz Lizzyとして7年ぶりの来日となりました!
(ちなみにティムは2019年にソロで来日しています)
今回はTim(Gt, Vo)、Martin(Ba.)、Søren(Dr.)の3人に加えて、
サポートメンバーのAnders(Key.)が新たに加わった4人体制でした。
“Alter Echo”の分厚いサウンドを再現するにはやはりシンセは必須ですからね。
メンバー紹介のときの笑顔も素敵なナイスガイでした。
公演は川崎のCLUB CITTA'(2公演)→大阪のBIGCAT→名古屋のElectric Lady Landと続き、
最後に渋谷CLUB QUATTROで行われる追加公演では、
“Alter Echo”の完全再現+ベスト選曲のライブを敢行するという気合いの入った内容でした。
とはいえ自分が観に行った大阪公演も“Alter Echo”の名を冠したツアーの一部。
アルバムのほとんどの曲を聴くことができて大満足でした!
重厚な中に優しさもある、自由自在なグルーヴに圧倒された一夜
今回の大阪公演の会場はアメ村のど真ん中にあるライブハウスBIGCAT。
個人的には2月にHalestormのライブで訪れて以来です。
物販もかなりの数のグッズが出ていましたが、先行販売の時点でどんどん売り切れが出ていて、
バンドの人気の高さをうかがい知ることができました。普段使いもしやすそうですし。
さて、整理番号順で会場に入っていくとドリンクチケットと一緒に渡されたのがこの福引券。
なんでも当たりが出れば終演後にメンバーによるサイン会があったんだとか。
残念なことに自分(&同行していた彼女)は外れてしまいましたが、
この試みは大阪公演からだったらしくその点はラッキーでした。
こういうところもとことんファン思いなバンドですね。
開演前のステージの状況がこちら。
“Alter Echo”のジャケットのバックドロップが厳かな存在感を放っていました。
音楽に集中してほしいという意向か、ライブ中は撮影は一切禁止。
スマホに気を取られて意識が変に分散することがなかったので正直有難かったです。
ちなみに開演前、終演後ともにBGMは日本の4人組インストゥルメンタルロックバンドMONO。
海外では人気・評価ともに非常に高いバンドです。
恥ずかしながら今まで未聴だったのですが、そのずっしりとした重みのあるサウンドは圧巻。
最新作の音の影響元として名前が挙がっていた理由がよくわかりました。
そしてついに開演!メンバーが登場し1曲目に披露されたのは
何と最新作のラストナンバー、約20分にわたる組曲“Amelia”!
いきなり“Part 1: Nothing They Do They Do For You”のティムのアルペジオが始まったときには震えました。
そこにシンセの音も加わり、さらに天から降り注いでくるかのような切ない歌声が続きます。
この静かな始まりから既に感動もの。来てよかった……とこの時点から喜びをかみしめていました。
そして打って変わって激しい“Part 2: The Path Of Least Existence”に移ると、
待ってましたと言わんばかりの大歓声!
周りではヘドバンも「オイ!オイ!」の掛け声もあって大盛り上がりでした。
やはり2020年に発売されたアルバムということもあり皆さん予習はバッチリ、
ライブで聴けるのを待っていた!という熱い思いを感じました。
再び静かな“Part 3: Lights Out”に移行してから、
美しさと寄る辺なさを轟音で包み込んだ“Part 4: All Saints Are Sinners”へ……という、
全体の「静→動→静→動」のダイナミックな移り変わりはとにかく見事でした。
ティムが主題を歌い上げ、そしてバンド全体で”Part 1″のメロディに戻っていくラストでは圧倒されすぎて、この時間がいつまでも終わってほしくないと心の底から思ったくらいです。
この壮大な組曲を1曲目からガツンと味わうことができたというのは強烈なライブ体験で、
生で体感するからこそ味わえる圧倒的な説得力でした。
ちなみにアウトロの“Part 5: Alter Echo”の披露は無し。
“Alter Echo”のジャパンツアーエディションに収録のコペンハーゲン公演の音源と同じ構成でした。
セットリストを見る限り、アルバム完全再現の日にはPart 5まで披露されたようです。
そして大曲“Amelia”の余韻もさめやらぬまま、
アルバム冒頭の“The Ricochet”~“In The Blood”へと突き進んでいきます。
とにかくこの曲はマーティンとソレンによるリズムセクションの重戦車のようなグルーヴが魅力!
ズンズン響いてくるのに、それでいて重苦しくもないという素晴らしい低音の世界でした。
そしてこれだけ分厚く鳴らしても、ティムのボーカルはしっかり抜けてくる気持ちよさ。
“In The Blood”のメインリフに入った瞬間に真っ赤に染まる照明も見事でした。
ここまで最新作“Alter Echo”からの楽曲が続きましたが、
次は復活作となった3rd“Forward In Reverse”(2016)より、
バンドの復活第一弾シングルとなった“I Would If I Could But I Can’t”。
個人的には初めて聴いたDizzy Mizz Lizzyの楽曲なので感慨深かったです。
何度聴いても冒頭のリフのインパクトは強烈!
そしてそこから間髪入れず同作収録の“Brainless”へ。
アルバムでは“Terrified In Paradise”の次に位置していた曲ですが、
こうしてどの曲からも移行できるのはまさにライブならでは。
引きずるようなヘヴィなリフと抑制されたメロディで始まり、
明るいメロディのサビに向けてエネルギーを発散していくさまが見事でした。
続いては1stから、日本で絶大な人気を誇る名曲“Glory”!
他の国ではオミットされることもしばしばですが、日本公演ではやはり必ず披露してくれますね。
“Welcome to my inspiration~”の歌いだしで心を鷲掴みにされた向きも多いのでは?
サビ前の”hesitate~!”をお客さんに振るのもお馴染み。やっぱりこの曲は楽しい!
そして再び3rdから、こちらも人気の高い“Made To Believe”を披露。
ソレンによる独特なドラムイントロが始まったときから歓声があがっていました。
2ndまでの軽やかなリズムの面白さや印象に残るメロディはそのままに、
そこにメタリックな重さが加わった、再結成後のサウンドを象徴するような一曲ですね。
ここで最新作からバラードの“The Middle”へ。
物悲しいメロディをもつこの曲のハイライトは、何といってもティムの泣きのギターソロ!
ティムがギターソロのためにステージ中央に移動すると一段と盛り上がりますね。
歌メロをなぞるタイプのソロなので、歌がより一層沁みてくるんですよね……。
“The Middle”が終わると、いったんマーティンとソレンは舞台袖に掃け、
ステージにはティムとキーボードのアナスが残る形に。
そして軽いMCを挟みつつ、“Love Is A Loser’s Game”の弾き語りへ。
初期からずっと色褪せないメロディの美しさを再確認しました。
最後のサビからは再びフルメンバーでの演奏に戻ってフィニッシュ。
バラードゾーンを締めくくるのは、2ndから“11:07 PM”。
大好きな曲なので生で聴けたのは嬉しかったですし、
サビ前の”Oh~!”をオーディエンスに振るスタイルだったので思い切り歌えたのが良かったです。
ジョン・レノンを悼む歌詞が心に沁みるこの曲も、ハイライトは泣きのギターソロ!
先ほどの“The Middle”にも通ずる歌メロをなぞる美しいソロで、
感情の昂りをしっかり表現していてグッときますね。
ここからは一気にボルテージを上げ、まずは2ndアルバムのタイトル曲“Rotator”を披露!
ストレートなノリの中にもテクニカルなプレイの妙味が光ります。
サビの”Rotator!”は飛び跳ねながらの大合唱でした!
そして1stからのライブの定番、“67 Seas In Your Eyes”へスムーズに移行。
怪しげなイントロから変拍子をふんだんに盛り込んだメインリフに切り替わる気持ちよさが味わえる、このバンド「らしい」つかみどころのない一曲。
メインリフで手拍子を入れようとしたら途中で拍がしっかりずれて脱落しました……。
(周りのお客さんも大体似たようなタイミングで脱落してましたね)
そしてこの曲では中間部分で長いジャムセッションがとられるのがお約束。
今回はIRON MAIDENの“The Trooper”をインストで披露!
しかもリフだけでなくしっかりサビの部分まで突っ走ってくれました!
(というか2番くらいまでたっぷり演ってくれたような記憶)
日によっては同じくメイデンの“Wasted Years”が披露されたこともあるんだとか。
DMLの客層にはメタラーも比較的多いことですし、嬉しいプレゼントでした。
ティム、マーティン、ソレンの3人が向かい合ってキレキレのジャムを繰り広げる姿、
まさに実力者集団という趣でした。
さらに1stから代表曲“Waterline”。
モトリーの“Dr. Feelgood”のリフから始める定番の演出は今回は無し、ストレートな始まりでした。
オーディエンスもサビではとにかくジャンプでバンドの熱量に応えます!
本編ラストの曲は3rdのラストナンバー“Say It To Me Anyway”。
なんといっても後半の長いアウトロの吸い込まれるような美しさは圧巻でした。
静かにだんだんと熱を帯びていく、しっかり聴かせる演奏でのフィニッシュ。
メンバーもすぐに帰ってきたアンコール、まずは2ndの1曲目“Thorn In My Pride”。
キャリアを通してみても「ストレートな疾走曲」というくくりの曲はかなり珍しいですよね。
そしてラストナンバーは1stから“Silverflame”。
2番のAメロをオーディエンスに振ってくれたのは思わずグッときました。
みんなで一緒に歌ったことで、切なさと物悲しさをティムと共有できたような気がします。
そしてラストのギターソロを心に刻みつつライブ終了。
せっかくなのでアンコール後も粘ってみたかったのですが、すぐに終演のアナウンス。
そういえばこのあと当選した方はサイン会やん!と羨ましく思いつつ会場を後にしました。
全体の感想としては、とにかく完成度が高い!という一言に尽きますね。
初期2枚の軽やかさ、そして再結成後の2枚で志向したヘヴィネスという、
一見して対極にあるような要素が、重厚かつ柔軟なグルーヴの中で完璧に融合していました。
いかようにも変化していけるその自由闊達なスタイルは刺激的で楽しく、
その刺激を求めて全通するファンの方がいらっしゃるのも頷けます。
ライブ後は相互のフォロワーさんともお会いすることができ、
その際に大阪公演の盛り上がりがひときわ素晴らしかったという情報をゲット!
オーディエンスに歌わせる場面もこの前の川崎公演より増えていたんだとか。
地元・大阪の公演が盛り上がったと聞くのはやはり嬉しいもの。
ライブは演者と客のコミュニケーションとはよく言われますが、
少しでもその温かい場を作ることに貢献できていたのなら嬉しい限りです。
Dizzy Mizz Lizzy大阪公演セットリスト(2023/09/19)
1.Amelia – Part 1 ~ Part 4
2.The Ricochet
3.In The Blood
4.I Would If I Could But I Can’t
5.Brainless
6.Glory
7.Made To Believe
8.The Middle
9.Love Is A Loser’s Game
10.11:07 PM
11.Rotator
12.67 Seas In Your Eyes
13.Waterline
14.Say It To Me Anyway
~アンコール~
15.Thorn In My Pride
16.Silverflame
こうして見ると初期と再結成後の曲のバランスも良いセットリストですね。
川崎、大阪、名古屋では特にセットリストの変動は無し。
“Alter Echo”完全再現ライブの渋谷公演では、
アンコール1曲目が“Thorn In My Pride”から“Forward In Reverse”に変わっています。
特別な一夜を彩る嬉しい演出ですね。
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