あのMR. BIGのラストツアーには「続き」があった!
その名も“The Big Finale! Forever In Our Hearts”。
一昨年の7月に大阪、そして武道館で感動的なライブを見せてくれたMR. BIG。
自分は前回も大阪公演に参戦。
その後はスタジオアルバム“Ten”を発売、
そして全米ツアーでいよいよツアー活動に終止符を打つ……
と思われていたわけですが、
“Never Say Never”とはよく言ったもので、
日本で改めてラストツアーを行うことに!
2/22(土) 大阪公演 大阪城ホール、
2/25(火) 東京公演 日本武道館(ラストライブ!)
というスケジュールでのビッグ・フィナーレと相成りました。
奇しくも前日のGREEN DAYから2日連続となる大阪城ホール。
時間帯によっては雪もちらつく天候でしたが、物販は常に大行列!
それだけ彼らが愛されていたのだなとしみじみ。
能登半島沖地震のチャリティTシャツを出していたり、
募金箱を設置していたりと、バンド側から日本への思いも伝わってきました。
こちらは開場直前の写真。

会場内、能登への募金を呼び掛けるポスターにメンバーのサインが!

そして入った直後には奇しくもソロツアーを控えている
元メンバー、リッチー・コッツェンの特大パネルがお出迎え。

ニューアルバム“Nomad”(2024)ソロツアーの宣伝なわけですが、
このパネルの写真を撮っている方も多かったですね。
今回の席はSS席のスタンド最前列!
ほぼ中央だったので真正面からバランスのいい音を味わえる良席でした。
開演前BGMはTHE・洋楽ヒットソング特集という趣。
(EUROPEの”Seven Doors Hotel”が入っていたのも良かったですね)
客電が消えてビートルズの”Rock ‘n’ Roll Music”がかかると、
楽屋からステージ裏に向かうメンバーの様子がスクリーンに映し出される演出でした。
前回を踏まえた「裏ベスト」的なセトリはファンへの贈り物

1曲目は優しいコーラスが特徴的な“Mr. Gone”!
まさかまさかの中々にコアな選曲は3rd“Bump Ahead”(1993)から。
再結成後に日本で披露されたのは勿論初めて、
1996年のツアー以来だということなので驚きです。
前半部分はMCも短めに、
披露しきれなかった曲をこれでもかと放出するハードなセットリスト。
2曲目に早速披露された”Good Luck Trying“と、
この日が世界初披露の“Up On You”はいずれも最新作“Ten”(2024)から。
ファンキーな曲が続く構成だったこともあり、
“Up On You”のストレートな4ビートがより際立って聞こえましたね。
本来はライブを前提としない曲群がこうして聴けたのも、
前回の日本のファンによる熱烈な歓迎があってこそ。
というのも、今回のセットリストに関して言えば、
“Mr. Gone”から“Up On You”までの頭6曲は
前回のツアーで披露されなかったもの。
前回が2nd完全再現だったので、
今回は1st多めか?と予想していましたが、
蓋を開ければ“Bump Ahead”祭りだったのが面白いところ。
「レーベルの意向でバラードを沢山入れさせられたアルバム」
という評が一般的ではありますが、
実際はハードでファンキーな側面も大きい本盤。
そこを前面に押し出した序盤の聴き応えは、
コアなファンをも唸らせるものがありました。
ラストツアーをコアな内容にできるのも、
ファンを信頼してくれていることの表れと言ってもいいはず。
そして名曲“Green-Tinted Sixties Mind”に導かれた中盤以降はグレイテストヒッツ!
今回は“Lean Into It”(1991)の1~3曲目を逆順で演奏するという趣向。
バックのメンバー紹介映像も楽しい“Alive And Kickin'”では、
ラストで“WE LOVE YOU PAT”の文字が大写しになり思わずホロリ。
“Daddy, Brother, Lover, Little Boy“では当然盛り上がりつつ、
「このドリルソロも見納めか……」という一抹の切なさも。
再結成後の新曲としてプレイされ続けた“Undertow”に続いては、
ポール、ビリー、ニックの3人によるインストメドレー!
今回のラストツアーの個人的ハイライトはこのパート。
“Wind Me Up”に始まり“Mama D.”や“Merciless”といった凝ったリフの曲、
そしてあの“Anything For You”のギターソロはフルバージョンで披露!
チラッとだけ披露されたものも含みますがこの大ボリューム!
Wind Me Up
Mama D.
Out Of The Underground
Merciless
Anything For You
Voodoo Kiss
The Whole World’s Gonna Know
How Can You Do What You Do
Take A Walk
Defying Gravity
正直フルで聴きたかった……という曲も勿論ありますが、
少しでもいろんな曲を演奏したい!という思いはしっかり伝わりました。
やっぱり1stの曲では会場のボルテージも上がっていましたね。
そして続けて披露されたのはポール・ギルバートのソロ!
前回は“Nothing But Love”をギターインストで披露してくれたポールですが、
今回は最後とだけあって“Stay Together”!
これは最後の曲で来るかと思っていたのでちょっと意外でしたが、
やはりポールの「ギターを歌わせる」技術は天下一品。極上の時間でした。
ついでに短髪に戻していて若々しくなってましたね。
思えばポール・ギルバートのソロタイムは
ギターをエモーショナルに歌わせる方に進化していき、
ビリー・シーンのソロタイムは高速ハーモニクスだったり、
最後には足元でストリングスの音を流してみたりと、
リストバンドにもある「四弦達人」としての道を邁進していた印象です。
“Shy Boy”でのボーカルの力強さも健在でしたし、
まだまだそのエネルギーには枯渇の気配なし!
そして「ニック・ディヴァージリオ!2回目だしもうヴァージンじゃないよ!」
というエリックらしすぎるメンバー紹介をされたニック。
(大阪ではコイキングが輪切りの寿司にされるTシャツで話題に)
“Take Cover”の中間部分ではパットのフレージングをなぞるだけでなく、
今回は独自の色を出していたのが印象的でした。
まだまだMR. BIGには発展の余地があるのでは?と思わせてくれるのもニクイ。
そして本編ラストは新曲“Forever In Our Hearts”。
「能登の被災者とその家族、そして日本のファンに捧げます」
という前置きにも誠実さを感じました。
このタイトル、元はといえばビリーがライブの最後の言葉としてよく使っていた言葉なのだそうで、
それに触発されたポールが作った曲、とのこと。
公式MVには日本語の歌詞もついていて、
どこまでも相思相愛だったんだなと再認識。
アンコールは“To Be With You”、
そして“Just Take My Heart”の名バラード2曲でスタート。
“To Be With You”の映像には日本語での感謝の言葉が綴られたメッセージも。
MR. BIG名物のパートチェンジでは
エリックがベース、ポールがドラム、
ニックがギター、そしてビリーがボーカルの構成で
The Rascalsの“Good Lovin'”を披露。
そしてThe Whoの名曲“Baba O’Riley”をカバーするところまで前回同様。
前回のツアーはここで終了……でしたが、やはり今回は一味違う!
エリックが指で「1」のサインを出すと大歓声!
そして最後の最後に披露されたのは
“I Love You Japan”!!!
最初のピロピロリフでは一瞬判断つかず、歌い出しでこの曲と気づき大興奮でした!
レア曲ながら”Wow-wow!”のコールが揃っていたのは流石。
日本(そしてマキタのドリル)への愛を、
最後までユーモアたっぷりに全身で表現した最高の〆でした。

MR. BIG大阪公演セットリスト(2025/02/22)
1.Mr. Gone
2.Good Luck Trying
3.Price You Gotta Pay
4.Big Love
5.Temperamental
6.Up On You
7.Green-Tinted Sixties Mind
8.Alive And Kickin’
9.Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)
10.Undertow
11.Instrumental Medley:
Wind Me Up
Mama D.
Out Of The Underground
Merciless
Anything For You
Voodoo Kiss
The Whole World’s Gonna Know
How Can You Do What You Do
Take A Walk
Defying Gravity
12.Paul Gilbert Guitar Solo:
Gonna Fly Now (Theme From “Rocky”)
Stay Together
Green-Tinted Sixties Mind
To Be With You
13.Colorado Bulldog
14.Promise Her The Moon
15.Take Cover
16.Wild World
17.Addicted To That Rush
18.Billy Sheehan Bass Solo
19.Shy Boy
20.Forever In Our Hearts
アンコール:
21.To Be With You
22.Just Take My Heart
23.Good Lovin’(パートチェンジ)
24.Baba O’Riley
25.I Love You Japan
これが「正真正銘」のラストツアー。武道館も同じセトリだった様子。
前回のツアーに行った人にはより刺さる仕様になっていて、
どこまでもファン思いなバンドだな……という感慨がありました。
思えばMR.BIGが完全にグレイテストヒッツなセトリをやったのは、
2009年の“Back To Budokan”のときだというのが私見。
そこからアルバムを4枚も出して、その時々の曲をしっかり入れてくれていたのには、
彼らの現役バンドとしての矜恃を感じました。
再結成後の象徴としての“Undertow”を演り続けていたのも嬉しかったです。
前回長めにとったアコースティックステージは無し!というのも思い切ったなと。
(それっぽかったのは“Wild World”の前半くらい)
アコースティックセットで披露されていた“Big Love”、
そして“Promise Her The Moon”をバンド編成でやり切ってくれたのが、
思い残した分を回収していこうという気概を感じさせてくれて嬉しかったですね。
まさかもう一度聴けるとは思わなかったので感激でした。
今回の真・ビッグフィニッシュも商品化してくださいね!!!
帰り道にイヤホンをつけたらすぐ
“Forever In Our Hearts”が流れてきて切なさがこみ上げてきました。
最後の最後までいい曲書き続けてくれるのって本当に素敵なことだなと改めて。
楽しすぎて本当にあっという間に終わってしまった……
ビリーの「いつかまた何かしらの機会で」という最後の言葉も信じつつ、
MR. BIGよ永遠に……。

前回の大阪公演はこちら。
コメント