マーク・ボールズをボーカルに迎えたスペシャルな来日公演
いつの間にやら2週間近く経ってしまいましたが、
ROYAL HUNTの来日公演、大盛況で幕を閉じましたね!
今回自分は初めてのROYAL HUNT、
前日の東京公演に続くツアー2日目の大阪公演に参戦。
今回のツアータイトル
“Reviving The Chapter”からは、
信仰とそこにつき纏うジレンマを描いた傑作
“Paradox”(1997)と、
その完全再現ライブを収めたライブ盤
“Paradox: Closing The Chapter”(1999)
を想起せずにはいられませんでした。
来日メンバーは以下の通り。
アンドレ・アンダーセン(Key.)
ヨナス・ラーセン(Gt.)
アンドレアス・パスマーク(Ba.)
彼ら正規メンバーに、今回はゲスト枠で
マーク・ボールズ(Vo.)
アラン・ソーレンセン(Dr.)
の2人が参加。
アラン・ソーレンセンは“Paradox”でも叩いていたメンバーなので、
今回のライブにはうってつけと言えます。
ボーカルがいつものD.C.クーパーでないことには戸惑いもありましたが、
マーク・ボールズもROYAL HUNTと共に2枚のアルバムを残していますし、
彼のパフォーマンスを観るのも今回が初めて。
スペシャルな公演を見せてくれるだろうという期待感のもと、
ちょこちょこ予習しつつ来日公演に備えていきました。
会場の梅田BANGBOOは昨年8月にオープンしたライブハウス。
梅田エリア屈指の飲み屋街、東通りに位置しているのでライブ後の打ち上げもしやすそう。


仕事終わりでの参戦でしたが、駅近だったので余裕で並べたのも好印象。
荷物は駅のロッカーに預けましたが、
ロッカー自体は会場の階段を下りたところにもしっかり確保されていました。安心設計。
キャパは公式によると350名。
公演が発表されたときにすぐさまチケットを確保したこともあり、
前から4, 5列目に陣取れました。
開演前BGMはちょっと捻ったHR/HM見本市で楽しかったですね。
イングヴェイの“Déjà Vu”が流れたときは
マーク・ボールズはどんな気分で聴いてるのか……と思いもしましたが。
(なおこの曲はジョー・リン・ターナー期)
そしてまさかのHarem Scaremの“Empty Promises”。
若干捻った選曲ですが、ここで音がじわじわ大きくなっていき、遂に開演!


幕が開くと、ステージ上の背景スクリーンには
“ROYAL HUNT”のロゴ、
そして青く、暗い輝きを放つ照明の中で流れ出したのが、
エンニオ・モリコーネ作曲の
“Ave Maria Guarani”!
これはまさに
“Paradox: Closing The Chapter”(1999)と同じ展開!
今回のライブが「Paradox完全再現」であることを悟った瞬間でした。
The Awakening~River Of Pain
アルバムの導入となるインスト
“The Awakening”から、
満を持して“River Of Pain”へ!
アルバムが進むごとに背景の絵がパッと切り替わるので、
そこもドラマ性を高めてくれていました。
争いによって人々が死にゆくさまを歌う、
重厚なミッドテンポのこの曲では闘う先住民族の絵が大写しに。
そしてサングラスをかけた厳つい見た目のマーク・ボールズが歌い出した瞬間、
その声量とハイトーンに圧倒されました!
勿論サビの“River Of Pain~!”は早速の大合唱。
原曲を凌駕するレベルの強烈なハイトーンでの締めくくりも見事でしたし、
間奏のクラシカルなパートを過ぎたところでは、
各パートが入り乱れてリズムが取りにくい箇所があるのですが、
そこでファンの皆さんが平然とノっていて歴戦の猛者感がありました。
Tearing Down The World
ここで”Paradox”でも屈指の人気を誇る疾走曲へ。
ヨナス・ラーセンのギターソロに続けて披露された
アンドレ・アンダーセンの高速キーボードソロは圧巻。
表情豊かに観客を煽りつつ、硬軟織り交ぜたプレイで魅せるヨナスと、
キーボードの配置が壁沿いになっていることもあり、
観客に背中を向けながらになりつつも圧巻のソロを弾くアンドレが対照的でそこも面白かったです。
てっきり気難しいのかと思っていましたがそんなこともなく、
要所要所で煽りも加えたり観客を見つめてサングラス越しにニッコリ笑ってみせたりと、
この時間をたっぷり楽しんでいるように見えました。
Message To God
個人的に一番聴きたかった一曲!アルバム内でも大好きな曲です。
イントロではアンドレアス・パスマーク(Ba.)が中央のお立ち台でしっかりアピール。
メンバーひとりひとりの人柄の良さが感じられたのが好印象。
ブリッジの”Over and over again~”やコーラスの掛け合いなど、
煽らずとも自然と合唱になっていたのがまた良かったですね。
マーク・ボールズの声も、
パワフルではありながら繊細さや哀愁も感じさせる素晴らしいものでした。
感動してノリまくっていたらアンドレ・アンダーセンがニヤッとしながらこっちを見ていた気がするのですが、あくまで気がするというだけ。
Long Way Home
“Paradox”の中核をなす哀しくも美しい一曲。
その続編となる
“Collision Course: Paradox II”(2007)にもモチーフは引き継がれています。
前半の切々としたバラード部分、そして中盤の間奏でのクラシカルな高揚、
マークが大サビで魅せる強靭なハイトーン、そしてラストの雨音……と、
映画のような展開がこの一曲の中にも詰め込まれているのだと実感。
Time Will Tell
この辺りでマーク・ボールズはサングラスを取って素顔に。
最初は強面な感じかと思っていましたが、キラキラした目をした優しそうな方でした。
メタリックなネオクラ疾走曲はまさにマークの得意分野!
先ほどのバラードでの伸びやかな歌唱で喉も温まってきたのか、
River Of Painの時点で圧倒的だった声量がここからさらにパワーアップ。
アルバム後半以降は怒涛のハイトーン祭りになってとにかく無敵でした。
讃美歌のSEを挟んだ終盤では、
ヨナス・ラーセンによる泣きのギターソロタイム!これがまた絶品!
Silent Scream
そしてこちらも人気の一曲。
身体の自由が利かない主人公の魂の叫びを、圧倒的なパワーと、
そこに繊細さを同居させるテクニックでもって歌い上げるマークには圧倒されるばかり。
改めて目の前で味わって聴いてみると、Aメロのリズムなどは
2nd“Clown In The Mirror”後半の曲に近いものがあるのだなという気付きも。
今まで実験してきた要素がうまく融合して昇華された一曲だったのか!と、この曲の魅力を再発見。
It’s Over
前曲からすかさず“It’s Over”にバーン!と背景ごと切り替わる瞬間の素晴らしさ!
鬱々とした館の絵から一気に玉座の間のような荘厳な絵が浮かんでくるのは見事でしたし、
黄色い照明で会場全体がパッと照らされた演出も含めて、
アルバム“Paradox”の壮大な大団円を彩ってくれました。
改めて凄く綺麗なラストだなと惚れ直すとともに、
この「綺麗さ」の背後にある哀しみにも目を向けさせるような時間でした。
最後の歌い終わりでの大歓声が、この完全再現の素晴らしさを物語っていましたね。
ここでメンバーは一旦ステージを下り、何が出るかわからない第2部へ!
Martial Arts
日本では「蝶野正洋のテーマ」としてもお馴染みのインスト!
出だしのオルガンの音でウオーー!と快哉を上げる方も。
Half Past Loneliness
DC復帰後を象徴するようなこの曲がマーク・ボールズ版で聴けるとは!
実はSpotify上では人気No.1という実績のあるこの曲、
ヨナスのサビメロをなぞったギターリフの時点でもうグッときました。
The Art Of Dying
One Minute Left To Live
「もっとロックしたいか!?」という煽りから飛び出したのは
“Dystopia Pt. I”(2020)からの一曲“The Art Of Dying”。
今回のセットの中でもひときわ「重さ」を前面に押し出した一曲でしたが、
その中にもアンドレの持っている「品」が息づいていたのを感じられたのが収穫。
続く“One Minute Left To Live”もキャッチ―なハードロックで、
「人生を後悔なく生きていこう」という強いメッセージが窺えました。
Flight
そして第2部ラストは1stからの名曲“Flight”!
ネオクラシカルド真ん中の煽情的なクサさと高揚感、そして疾走……
日本のファンに愛される要素は初期から全て備わっていたのだなと再認識。
アンドレ・アンダーセンの楽しそうなプレイも光る本編ラストでした。
A Life To Die For
アンコールの一曲は2013年作のアルバムの表題曲。
同作収録の“One Minute Left To Live”にも通ずる、
「今、自分の人生を精一杯生きる」という直球のメッセージソング。
第2部以降は1stの“Martial Arts”と“Flight”以外をDC復帰後の曲で固めていて、
率直に言えばなかなか攻めたセトリだなと思いましたが、
それもまた「過去の完全再現だけじゃ終わらせないぞ!」という現役感の表れかなと。
実際“A Life To Die For”(2013)は未聴のアルバムでしたが生で聴いてすぐに惚れこみましたし。
そしてマーク・ボールズは前方のファンにグータッチしていたのですが、これもライブハウスならでは!
ファン心理としては「マーク・ボールズ最高や!」という気持ちと「それはそれとしてDCも観たい!」という気持ちは両立してしまうのが難儀なところではありますが、
そういった今後のことは脇においても、
今日のライブは本当に行けてよかった……と素直に感じましたし、
すっかりマーク・ボールズの大ファンになってしまいました。
ROYAL HUNT大阪公演セットリスト(2025/04/09)
~第1部(“Paradox”完全再現)~
SE: Ave Maria Guarani
1.The Awakening
2.River Of Pain
3.Tearing Down The World
4.Message To God
5.Long Way Home
6.Time Will Tell
7.Silent Scream
8.It’s Over
~第2部~
9.Martial Arts
10.Half Past Loneliness
11.The Art Of Dying
12.One Minute Left To Live
13.Flight
~アンコール~
14.A Life To Die For
マーク・ボールズ在籍時のアルバムからも演るのでは?
という当初の予想こそ大外ししたものの、
“Reviving The Chapter”というツアータイトルの通り、
“Paradox”(1997)の完全再現をド頭から持ってきたのには大満足!
第2部からは打って変わって1stの2曲以外はDC復帰以降の曲という攻めた構成でした。
(日本ともゆかりの深い“Martial Arts”、そして“Flight”を入れてくれたのは流石)
結果的に現役感を感じさせるセトリになっていましたし、
マーク・ボールズの超人的なパフォーマンスに感動しつつ、
あくまで正規ボーカルはDCということなのだろうなとも感じましたが、
そのあたりは果たして……
(マーク・ボールズ在籍時に発表された“Paradox”の続編はこちら。)
ROYAL HUNT、新EP“Behind The Curtain”をアナウンス!
と思っていた矢先、
何と新EP“Behind The Curtain”のリリースと、
それに伴う予約キャンペーンが4/15(火)に発表されました!
公式サイトでは各種バンドル、クラウドファンディングについても発表。
肝心のボーカルがまだ載っていないので謎は尽きませんが、
これからも彼らの音楽を味わえることは間違いない!今はそれが素直に嬉しい!
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