今やフォークメタルの第一人者、我らがコルピクラーニ来日!
月曜のYES、火曜のメイデンときて、
個人的9月最終週の来日ラッシュの締めくくり!
Korpiklaani Japan Tour 2024!
フィンランド発・今や「フォークメタルの第一人者」という肩書きまでついた、
みんな大好きコルピことKorpiklaaniのジャパンツアーが実現!
前回の来日からは若干間が空いているぶん、今回の来日公演は
最新作“Rankarumpu(コルピと温故知新の旅)”(2024)のみならず、
その前作“Jylhä(コルピの暗黒事件簿)”(2021)からの曲もメインという、
まさに日本のファンのことを考えてくれているセトリ。
前回の来日時は貧乏学生だったので、今回が念願の初コルピでした。
ヴァイオリニストには元TURISASのオッリ・ヴァンスカ、
ドラムにはサムリ・ミッコネンが加入したのが最新の布陣となります。
主催はコロナ禍から奇跡の復活、魅力的なバンドを招聘し続けるEvoken。
大阪公演では日本のAllegiance Reign、
台湾のBloody Tyrant(暴君)も含めた3バンドが出演、
フォークメタルの魅力をたっぷり味わえる楽しいライブでした。
(ちなみに月曜のYES)
(こちらは火曜のメイデン)
Allegiance Reign
まず先陣を切ったのは日本代表・「武士メタル」を掲げるAllegiance Reign!
登場の演出と初っ端の“Ei Ei O ~勝鬨~”の時点でもう観客の心をガッツリ掴んでましたね。
歌唱力・演奏力・盛り上げの全てにおいてハイクオリティのバンドでした。
「エイエイオー!」「わっしょい!」といった、
我々日本人には馴染み深くて、且つすぐに一緒に歌えるコールがあるのは強い!
そしてその中でも印象に残ったのは、
コルピとのライブを見据えて作ってきたという新曲、
その名も“Sake Battle 〜酒戦〜”!(表記はバンドのツイート準拠)
「オーオオーオ酒バトルーー!」のコーレスはインパクト抜群でしたし、
コルピへのリスペクトも大いに感じられる曲でした。
頭から離れないので音源化待ってます……!
そして〆の写真撮影も「エイエイオー!」の勝鬨で!
このフォークメタル祭りに相応しい、素晴らしい一発目でした。
Bloody Tyrant(暴君)
続いては台湾の暴君。
英語表記の“Bloody Tyrant”も良いですが、
やはりこの漢字二文字の潔いバンド名、シンプルにかっこいいですよね。
サムネにもなっているPipa(中国の琵琶)奏者の存在は勿論のこと、
グロウルとクリーンボイスを使い分ける女性ボーカルや、
要所要所に挟まれるツインギター・そしてベースによる熱いバトル、
そしてブラックメタルからフォークメタルに接近していった出自を物語る、
ドラマーの激烈ブラストビート……と、とにかく熱い要素マシマシのステージ。
完全に初見の状態で挑んだのですがとにかく圧倒されましたね。
これからはしっかり音源聴いて追っていかねば!と思わされました。
中でも3曲目、強烈にブルータルなかっこよさで印象的でしたね。
ひとくちにフォークメタルといっても、その中での裾野の広さも感じられました。
MCは英語だったのですが、
“Repeat after me! M-E-R-C-H! MERCH!”
という、超積極的な物販の宣伝が面白かったです。
ちなみに、彼らの売っているグッズの中には
「スマホをかざすとSpotifyで曲が流れる」という小物が存在。
その衝撃のハイテクぶりを楽屋で目の当たりにしたAllegiance Reign曰く、
「タイムスリップしてきた武士の気分」だったとのこと。
こういうグッズも色んなバンドで増えてくると面白そうですね。
余談の余談ですが、ラストの写真撮影の掛け声、
武士メタルに引っ張られてか、自然発生的に
「エイエイオー!」になっていったのには笑いました。
Korpiklaani
日本・台湾を代表する武士メタルの競演に続き、
ついに満を持して我らがKorpiklaaniの登場!
コルピの登場前にはJonne(Vo.)のソロアルバムの曲が流れていて、
フィンランドの森の中に誘われるような雰囲気が出ていました。
バーでドリンクチケットを引き換えたのち、
まず序盤は後方から観るつもりだったのですが、
バンドが登場して新譜のオープニングナンバー“Kotomaa”が始まった瞬間、
フロアに巨大なブラックホールとしか言いようのない人の流れが発生!
久し振りに体験する大きなモッシュにしっかり巻き込まれ、
気づけば前から4列目の中央付近まで到着。面白すぎる。
とはいえ変な圧縮が起こったというわけでもなく、
みんなでわちゃわちゃ盛り上げれるいい塩梅でございました。
ヨンネの「アリガトー!」に続き、2曲目でいきなり“Wooden Pints”!
イントロの時点で悲鳴に近い大歓声があがっていました。
『酒場で格闘ドンジャラホイ』なる珍妙な邦題と、
当時のフィドル奏者ヒッタヴァイネンが森の小屋から出てくるMVでも人気の名曲。
自分は中学時代にこの曲と出会い、最初はネタとして消費しかけていたわけですが、
このジャンルは自分が求めていたものなのでは?
という天啓じみた気付きを得てからコルピの大ファンに。そんな罪深い一曲でもあります。
みんなでこの盛り上がりを共有できたのは無上の喜び。
「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」のコールでお馴染み“A Man With A Plan”は、
“Noita(コルピと魔術師達の宝玉)”(2015)の1曲目“Viinamäen Mies”の英語版。
どうして頑なにライブでは英語版を?と思っていたのですが、
実際YouTubeやらSpotifyやらのデータを見ると、この曲の再生数はかなりのもの。
英語圏ではすっかりこっちのバージョンが代表曲の一つとして定着しているようです。
続けて『痛快!飲んだくれオヤジ』こと“Happy Little Boozer”、
そして初期の秀作“Journey Man”、さらには“Ievan Polkka”と、
とにかく序盤からアップテンポな曲ばかり取り揃えた強烈なセットリスト!
Boney M.のカバー曲でなぜかビーチで演奏するMVが話題の“Gotta Go Home”、
そして新譜からのノリノリでキャッチ―な“Aita”まで、
ほぼノンストップで駆け抜けていきました。
その間も中央前方では熱いモッシュが繰り広げられていたわけですが、
海外のメタルファンとも一緒に合唱しながらワイワイ踊れたのは個人的には最高。
コルピの楽曲のもたらしてくれる多幸感を実感できたひとときでした。
個人的にコルピで一番好きな曲は2nd収録の疾走曲“Journey Man”なのですが、
この曲で「ウオーーー!」と盛り上がっている方が自分以外に結構いたのも嬉しかったです。
中盤はようやく落ち着いた曲が続くゾーンになったので、
ここで一旦前線を離れてドリンクを追加注文。
ゆったりとしたグルーヴに身を任せていると、
ステージ上に何やら見慣れたジェダイの戦士のようないでたちのお方が!
「トゥオマス・ロウナカリ!!」
ヨンネによる紹介に驚きながらも沸き立つ会場!
なんとあの前任フィドル奏者、トゥオマス・ロウナカリが大阪限定で登場したんです!
東京でも行われなかった演出、まさかの邂逅に感無量です……。
(例によって)感無量すぎて後方からのブレブレ写真しか残りませんでした。
バンドと一緒に、そしてヨンネの伝統唱法に合わせての演奏と、
出演時間はおよそ10分ほどでしたが、貴重なライブ体験になりました。
トゥオマスを万感の思いで見送ったのち、
ライブは前作“Jylhä”(2021)中心のフェーズへ。
あまりしっかり腰を据えて聴くことができていなかった一枚なのですが、
ライブで曲を聴くとその深さとバリエーションの豊かさには唸るばかりでしたね。
レゲエのリズムを大胆に導入した“Leväluhta”や、
本編ラストの“Sanaton Maa”のメロディの美しさにはグッときました。
ということで本編後半もしっかりがっつり楽しめた次第。
メンバーがぞろぞろとステージを下りていき、いよいよアンコールへ。
最初は「コルピクラーニ!コルピクラーニ!」だったアンコールも、
加速するにつれ「ウォッカ!ビアビア!」コールに変わっていって楽しかったです。
アンコールは大盤振る舞いで計5曲!
1曲目は“Viima”、2曲目は”Metsämies”と、伝統を意識した正統派な選曲。
“Viima”の入っている“Tervaskanto(コルピと古の黒き賢者)”(2007)は、
ライブ2週間前に買ったばかりだったので個人的に嬉しいセレクトでした。
そしてサムリによる熱いドラムソロも披露されました。
恐ろしく巧いしなおかつ盛り上げ上手で、バンドとの相性も抜群でしたね。
アンコール3曲目には、遂に新曲“Saunaan”が登場し大盛り上がり!
新曲なのに昔からある曲のようで圧巻でした。新しい定番になりそう。
そしてラスト2曲は満を持しての“Beer Beer”~“Vodka”の黄金コンボ!
ヨンネも“Beer Beer”では観客へのビール吹きかけ芸に飽き足らず、
自分の帽子にビールをドバドバかけてしまうやりたい放題ぶりで笑いました。
ラストの“Vodka”はもうみんな夢中で叫んで歌って踊っての大団円。
これぞフォークメタル!という神髄に触れた気分でした。
Korpiklaani大阪公演セットリスト(2024/09/28)
1.Kotomaa
2.Wooden Pints
3.A Man With A Plan
4.Happy Little Boozer
5.Journey Man
6.Ievan Polkka
7.Gotta Go Home
8.Aita
9.Kalmisto
(この辺りでTuomas登場)
10.Tuli Kokko
11.Pixies Dance / Juokse Sinä Humma
12.Pidot
13.Leväluhta
14.Oraakkelit
15.Rankarumpu
16.Pilli On Pajusta Tehty
17.Sanaton Maa
~アンコール~
18.Viima
19.Metsämies
20.Saunaan
21.Beer Beer
22.Vodka
“Noita”(2015)”からの、大好きな“Pilli On Pajusta Tehty”も聴けて大満足。
ライブの後のほうが元気になってくるような、素敵な夜でした。またすぐにでも次回を……!
そしてアコーディオン奏者のサミさん、ご結婚おめでとうございます!末永くお幸せに!
おまけ:近年のコルピのアルバムについての感想
前々作にあたる10th“Kulkija(北欧コルピひとり旅)”(2018)は、
旅愁を誘うような落ち着いた曲の多い、
いわばコルピにしては少し変化球的なアルバムだったわけですが、
11th“Jylhä”(2021)はそれよりもう少しメタル成分を高めつつ、
バラエティ豊かな曲調で独自の味わいを持たせている作品といった印象。
ヴァースでレゲエのリズムを採り入れた“Leväluhta”はその最たるところでしょう。
しかしこれがコルピのライブにおいてはいい味を出してくれるんですね。
生で聴いてみて、改めてこのアルバムのことが好きになってきた次第。
そして新譜“Rankarumpu”(2024)については、
邦題に「温故知新の旅」とあるように、メタル要素が完全復活!
冒頭の“Kotomaa”や先行公開された“Saunaan”のほか、
激しいタイトル曲や後半の哀メロを前面に押し出した曲も魅力たっぷりな一枚でした。
不変のように見えても、実は細かく音楽性をアップデートさせていくことで、
新しい魅力を生み出しているコルピ。これからもついていきます。
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