光と闇の「闇」に目を向け、深みを増したコンセプト作第一弾
カリフォルニア州ロングビーチで結成されたRival Sons。
70年代の風を感じる、骨太なクラシック・ロックの旨味満載のバンドです。
グラミー賞2部門にノミネートされた前作“Feral Roots”(2019)以来となる、
彼らの待望の最新7thアルバム“Darkfighter”が、2023年6月2日に発売されました!
その名の通り「闇との戦い」がテーマの今作“Darkfighter”。
現在は本作をベースとしたツアーで大忙しの彼らですが、
コロナ禍で創作の時間を取れたこともあり、曲のストックは十分。
なんと本作と対となるアルバム”Lightbringer”を今年中に発売するとのこと!
まずは前編ともいえるこのアルバムを聴きこんで、
脂の乗りまくったRival Sonsの今年の快進撃に今から備えていきましょう!!
1. Mirrors 5:02
2. Nobody Wants To Die 3:42
3. Bird In The Hand 4:28
4. Bright Light 4:34
5. Rapture 4:24
6. Guillotine 5:06
7. Horses Breath 6:04
8. Darkside 6:19
延期があった中での、待望の新作
クレジットされているメンバーは以下の通り。
Jay Buchanan (Vocals/Acoustic guitars)
Scott Holiday (Acoustic & Electric Guitars)
Michael Miley (Drums)
Dave Beste (Bass)
Todd Ogren (Keys)
このキーボーディストTodd Ogren、前作“Feral Roots”(2019)の時点ではサポートメンバーでしたが、今作でついにメンバーと同列の扱いに。ブックレットでもトレードマークの長い髭をたくわえた写真が確認できます。
プロデュースを務めるのはナッシュビルに拠点をおくDave Cobb。
Rival Sonsのデビュー作からずっとプロデューサーとして関わり続ける、バンドには不可欠な存在。
Greva Van Fleetの最新作“Starcatcher”(2023)も彼の手によるもので、
地に足のついた70’sサウンドの立役者といえます。
今作ですが、最初のアナウンスでは「2023年3月10日発売」となっていたんですよね。
先行シングル第一弾の“Nobody Wants To Die”は昨年の10月14日に公開されていただけに、
非常に発売が待ち遠しい作品でした。
6月2日に延期となったことで、Avenged Sevenfold, Buckcherry, Foo Fighters, Noel Gallagher’s High Flying Birdsといった、ロック界の超大型ニューアルバムが目白押しの週に発売されることになりました。(自分はAvenged Sevenfold, Buckcherryと同時に購入)
全曲紹介
1. Mirrors 5:02
静かで荘厳なオルガンから始まるオープニングトラック。
いつもの彼らであれば1曲目は必ずハードなギターリフから始めていただけに、
バンドがいつもとは違う次のステップに到達したことが見てとれます。
高らかに、力強く「鏡を壊す」ことを歌うコーラスも聴きどころ。
書いていて気づきましたが「鏡を壊す」といえばThe Whoの“Tommy”の重要な場面の一つですよね。
2. Nobody Wants To Die 3:42
昨年に公開された先行シングル第1弾!
これぞRival Sons!と快哉を叫びたくなるような、
疾走感あふれる強力なリフでグイグイ引っ張っていく熱い一曲。
3. Bird In The Hand 4:28
先行シングル第3弾は、明るく覚えやすいコーラスが持ち味の一曲。
タイトルは、「掌中の一羽は叢中の二羽に勝る」という格言からきており、
今手の中にある「確実な利益」のことをいうのだそう。
アコースティックセットでも聴いてみたい曲ですね。
4. Bright Light 4:34
前曲の流れを引き継ぐ、おおらかでアコースティックな味わい。
「闇」と対置される、今の状況からの救いをもたらす明るい光について歌われています。
5. Rapture 4:24
先行シングル第2弾。
傑作“Great Western Valkyrie”(2014)のラストに収められた“Destination On Course”を彷彿とさせる、ゆったりとしたスケールの大きな一曲。
ライブではこのグルーヴで会場全体を包み込んでくれそうです。
6. Guillotine 5:06
先行シングル第4弾。
切り裂くようなジェイのハイトーンで幕を開ける、本作で一番重く激しい曲。
「自分は天国に近づいているのか、それとも地獄か?」という迫真の叫びは必聴。
アルバムの他の曲はすべてジェイとスコットの共作ですが、
この曲に関しては”HOLIDAY/BUCHANAN/COBB/MILEY”のクレジットになっています。
7. Horses Breath 6:04
本作の個人的フェイバリットソング。
“Head Down”(2012)収録の“Wild Animal”や“Until The Sun Comes”のような、
四つ打ちにリバーブのかかったボーカルを添えた一曲が久々に登場!!
ブルージーな曲だけでなくこれもまたひとつの武器だと思っているので、
これは嬉しい驚きでした。アルバムの世界にもしっかりハマっています。
Pink Floydの“Echoes”のイントロのような「ピーン……」という鍵盤の音が入るのも良いですね。
8. Darkside 6:19
本作を締めくくるのは、「ダークサイド」に堕ちてしまった友へ向けた悲痛な一曲。
「君はもうダークサイドに行ってしまったのだから、守るべき約束は何もない」
というフレーズの繰り返しが胸に突き刺さります。
感想:最高傑作を更新し続ける、Rival Sonsの懐の深さを実感
前作がグラミー賞にノミネートされたバンドが満を持してリリースした最新作“Darkfighter”ですが、
またもや最高傑作更新なのでは?と思ってしまうような楽曲の充実度がとにかく素晴らしい!
70年代へのリスペクトももちろん込められているとは思いますが、
全8曲、40分という絞りに絞り込んだアルバムは、曲に絶対の自信がなければなかなか出せないはず。
今年の後半に発表されるという次作“Lightbringer”のために温存している曲もあるわけですし、
そう考えると彼らはいったいどれほどの曲を作り上げていて、
2枚のコンセプトアルバムに仕上げていったのか?
そして分断されゆく現代社会を見つめたこのコンセプトアルバムはどう着地するのか?
Rival Sonsへの期待感は高まるばかりです。
余談ですが、CDが紙ジャケでなくジュエルケース仕様なのは“Great Western Valkyrie”(2014)以来。このアルバムを最後にRival Sonsのアルバムの日本盤は出ずじまいで、世界との人気の格差は広がるばかり……
久しく行われていない日本公演実現に向けて、本記事がその一助となることを願っています。
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