【レビュー】Vol.10 / Buckcherry (2023)

Vol.10 / Buckcherry (2023) レビュー
Vol.10 / Buckcherry (2023)
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不屈のロックンロールバンド、今回も絶好調の快作!

アメリカのBuckcherryが2023年6月2日に発表した、
その名の通り記念すべき通算10枚目のアルバム。

かつての解散や主要メンバーの脱退等の困難を乗り越えながら、
今なお驚異的なペースでツアーを回り続けるバンドの勢いがうかがえる、
痛快なロックンロールアルバムが完成しました。

Vol.10 / Buckcherry (2023)
Vol.10 / Buckcherry (2023)

1.This And That 3:16
2.Good Time 2:53
3.Keep On Fighting 3:01
4.Turn It On 2:47
5.Feels Like Love 4:43
6.One And Only 3:16
7.Shine Your Light 3:27
8.Let’s Get Wild 3:24
9.With You 3:12
10.Pain 3:57
11.Summer Of ’69 3:13


日本盤ボーナストラック
12.Kiss Me 3:25
13.Get It Started 3:18

メンバーの写真のアートワークから見える「自信」

メンバーは以下の通り。
Josh Todd (Vo.)
Stevie Dacanay (Gt.)
Kelly LeMieux (Ba.)
Francis Ruiz (Dr.)
Billy Rowe (Gt.)


プロデューサーはマーティ・フレデリクセン
Buckcherryのアルバムプロデュースを初めて務めたのは4th“Black Butterfly”(2008)ですが、
3rd“15”(2005)収録の“Sorry”の共作者として名を連ねるなど、バンドとの相性は抜群。
バンド、プロデューサーともに、
前作“Hellbound”(2021)と同じメンバーでの制作となりました。

今回のアートワークにはメンバー5人のモノクロ写真が使用されていますが、
オリジナルアルバムのジャケットでメンバーの写真が使用されているものはこれが初めて
(一応“Best Of Buckcherry”(2013)でも当時のメンバーのグループショットが使用されていますが、
このベスト盤はメンバーが積極的に関わったものではないため事情は異なります。)
今回のアートワークは現ラインナップへの自信の表れとみてよいと思われます。

前作の発売は2021年6月だったため、ちょうど2年で新作が届けられたことになりますが、
『BURRN!』2023年6月号でのインタビューによると、
前作に伴うツアー終了後の2か月半のオフの間にレコーディングを終わらせたとのこと。
アルバム発表後には早速全米ツアーに入っているため、
年に100公演以上をこなすライブバンドの名は伊達ではありません。
新ボーカリストを迎えたSKID ROWとのツアーだったことでも話題を振りまいていました。

全曲紹介

Vol.10 / Buckcherry (2023)盤面
Vol.10 / Buckcherry (2023)盤面

1.This And That 3:16
手拍子とバスドラムで始まる、いつものアルバムとはひと味違った変化球のオープニング。
“Black Butterfly”(2008)収録の”Too Drunk…”を彷彿とさせる、
思わず腰が動くようなグルーヴィーな楽曲です。

2.Good Time 2:53

Good Time / Buckcherry

本作のリードトラックとして最初に公開されたのがこの曲。
フロアで気持ちよく踊れるロックンロール。
良い意味で1stの頃から変わらない「いつものBuckcherry」を味わえます。
タイトル連呼のコーラスが覚えやすく、今後のライブの定番になりそうな曲。

3.Keep On Fighting 3:01
その名の通り、攻撃的なうねるベースとドラムから幕を開ける疾走曲。
グルーヴィーなロックンロールとストレートでパンキッシュな曲を使い分けられるのは
デビュー時から変わらないBuckcherryの大きな武器です。

4.Turn It On 2:47
ファンキーなグルーヴの横ノリの曲。
ジョシュがステージに立つときの高揚感を歌っています。

5.Feels Like Love 4:43
Def Leppardの名曲”Hysteria”を意識したというイントロで、
アルバムの今までの雰囲気がガラッと変わります。
ボーカルのメロディも美しく、ラジオでもヒットしそうなミッドテンポの楽曲です。

6.One And Only 3:16
最初は前曲のムードを受け継ぐようなスローなジャングルビートでの入りですが、
溜めこんだエネルギーを一気にサビで放出して一気に疾走!
ボーカルに絡む裏声のコーラスも気持ちいい一曲。

7.Shine Your Light 3:27

Shine Your Light / Buckcherry

先行公開第3弾。
入りのリフから「何か違うぞ」と耳を惹きつけるアップテンポの曲。
「お前の光を俺に照らしてくれ」という力強い歌詞、
そしてバンド演奏をフィーチャーしたMVも印象的な一曲。
本作で一番気に入っている曲です。

8.Let’s Get Wild 3:24

Let’s Get Wild / Buckcherry

先行公開第2弾。前曲のアッパーなムードをそのままに、
ドライブ感満載でアルバム終盤を盛り上げます。

9.With You 3:12

With You / Buckcherry

先行公開第4弾。
どこか初期のAC/DCのような、ブギのリズムが心地よい1曲。

10.Pain 3:57
本編ラストという位置づけのバラード。
ピアノとストリングスをバックにジョシュが切々と歌い上げます。
ロックンロールバンドとしての光の裏にある、
痛みや闇のような部分を赤裸々に吐露した歌唱を引き立てる楽器陣の絡みも見事。
Buckcherryのバラードの名曲群にまたひとつ素晴らしい曲が加わりました。

11.Summer Of ’69 3:13
Bryan Adamsの”Reckless”(1984)に収録された名曲のストレートなカバー。
過去のセットリストを見ると、アルバムの発表前からすでにライブでは演奏されていたようです。
飾り気のない直球のカバーで、ロックのもつ楽しさ、爽快感を味わえます。
CDの表記から確認できる通り、アルバムラストのボーナストラック扱いとなっています。
ちなみにアルバムにカバー曲が入るのは、前々作”Warpaint”(2019)以来。

12.Kiss Me 3:25
日本盤ボーナストラック。
グルーヴィーなベースがバンドを引っ張る、ファンキーなミッドテンポ曲。
バックに薄く鍵盤が入っていたり、ギターソロのトーンもほかの曲と違っていたりと、
際どい歌詞も相まってセクシーで妖しい良曲です。

13.Get It Started 3:18
日本盤ボーナストラック。
スライドギターのリフがクールなアップテンポ曲。
単語の1つひとつを強調する歌い方がどこか可愛さもあって癖になります。

感想:バンドの充実を物語る痛快な楽曲群と、完璧な曲順

Vol.10 / Buckcherry (2023)日本盤帯
Vol.10 / Buckcherry (2023)日本盤帯

今作“Vol.10”は、充実したロックンロールが
矢継ぎ早に飛び出してくる素晴らしいアルバムでした。

聴いてまず感じた全体の印象は、
マーティ・フレデリクセンの洗練されたプロダクションの素晴らしさです。

彼が初めてプロデューサーとして関わった4th“Black Butterfly”(2008)は、
直球勝負のハードロック“Rescue Me”を筆頭に、
バラエティ豊かな楽曲を収録した傑作でした。

今作“Vol.10”においてもその手腕はいかんなく発揮されていて、
激しくも全ての楽器が明瞭に聞き取れ、グルーヴをフルに感じられる、
聴いていて気持ちのよいアルバムに仕上がっています。

そして何よりも楽曲の充実度の高さ!
先述のマーティ・フレデリクセンは全曲の共作にも携わっており、
ジョシュとスティーヴィーによる楽曲をブラッシュアップしてくれています。

また、お手本のような曲順の妙も見逃せません。
“This And That”~”Keep On Fighting”でテンションを高めていき、
中盤には聴かせる“Feels Like Love”やボルテージを最高潮に高めていく“Shine Your Light”を、
そして本編ラストに痛切なバラード“Pain”を配して、
ボーナストラック“Summer Of ’69”のカバーで気持ちよく締めくくります。
そのあとの日本盤ボーナストラック2曲を含めても13曲44分という潔いランニングタイム

あとは前作で実現しなかった来日公演に期待しつつ、
この“Vol.10”の曲をシンガロングする準備をするのみです!

ヴォリューム10
■1CD ■歌詞対訳・解説付き 《収録内容》 1.This And That | ジス・アンド・ザット 2.Good Time | グッド・タイム 3.Keep On Fighting | キープ・オン・ファイティング 4.Turn It ...
Vol.10 / Buckcherry (2023)

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