2022年夏の単独~SUMMER SONIC以来、1年ぶりの来日
2023年1月に3rdアルバム“Rush!”をリリースし、
そのツアー真っ只中の11月にはそこに5曲を追加した“Rush! (Are U Coming?)”を発表……と、
2023年だけでも破竹の快進撃を続けたイタリア発のロックバンドMÅNESKIN。
2022年夏には単独来日公演を成功させ、
サマソニのメインステージにも出演したのも記憶に新しいですが、
新譜の出来がものすごく良かったので、来日公演を今か今かと待ちわびておりました。
ちなみに自分はサマソニ大阪に参戦。その圧倒的な演奏力とカリスマ性、
そしてダミアーノ(Vo.)による「ガンバレガンバレ!!」コールにブチ抜かれましたね。
今回の来日では、Mステほか情報番組への出演があったり、
12/5に有明アリーナで行われた東京公演がWOWOWで生中継されたりと、
各メディアの注目度がますます高まってきているのも嬉しいところ。
しっかりWOWOW含めた各番組で予習した状態で神戸公演に臨みました。
今回は彼女とその親友(どちらも豊洲の初単独公演に参戦した猛者)との参戦。
バッチリ有休を取って神戸元町の中華街で楽しみつつ、会場の神戸ワールド記念ホールへ。
「魔音棲琴(マネスキン)」の4文字があしらわれた日本限定グッズを身に着けたお客さんも多数いましたし、メンバーにも負けないような派手でクールなファッションの方も大勢いて、
自分が普段行くHR/HM系のライブと比べると、やはり若いファンの多さが際立っている印象。
もちろん若者ばかりというわけでもないですが、このバンドの訴求力の高さを感じました。
実際マネスキンの話題を出すと、洋楽に疎い友人からも反応が来ることがしばしばありますしね。
あとはこの公演前後で話題になったのが席の形態の変更ですね。
有明アリーナでは全席指定になっていましたし、神戸公演も当初はその予定でしたが、
その数日前に突如アリーナの仕様が変更。
いくつかのブロックに区切られたアリーナからは椅子が無くなり、
テープで区切られた枠がひとつひとつ割り当てられる形に。
開演後はブロック内では自由に動いてOKだったようです。
メンバーがステージから下りてくる演出も多いですし、
椅子があると揉みくちゃになるので却って危険だからなのか、
はたまたアリーナはもっとわちゃわちゃしていたほうがいいからなのかは不明ですが、
この土壇場での変更はまずバンド側の意向とみていいのではないかと考えています。
客入れBGMはHeartやThe White Stripes、来日も近いQueens Of The Stone Age等々。
シンプルにかっこいい曲が多くてライブへの期待感を大いに高めてくれました。
QOTSAはトーマス(Gt.)の気に入っているバンドとしてもよく名前が挙がりますね。
自分の席はスタンドの9列とあったのでどんなものかと思っていましたが、
蓋を開けてみればなんと2階スタンドの最前!
会場の中では真ん中より少し後ろのほうですが、かなり見やすい好位置。
前に人がいないので横の兄ちゃんと一緒にヘドバンし放題でした。
圧巻のステージングで魅せた、熱狂のジャパンツアー最終日
今回のツアーはステージに真っ赤な幕がかかった状態でのスタート。
客電が落ちると、尋常でない黄色い歓声の中で、
後ろからの照明に照らされて影だけが映し出されたバンドの演奏が始まります。
曲は最新作“Rush!”(2023)の8曲目“DON’T WANNA SLEEP”。
原曲はいきなりサビからスタートしますが、ここでは無骨なイントロで会場を盛り上げていきます。
まずイーサンのドラムの一つひとつの音がパワフルで、開始早々圧倒されました。
生で聴くとその一音一音のパワーと安定感は本当に素晴らしかったですね。
そして天井から吊り下げられたマイクを握って”Dance, dance, dance…”と歌い始めるダミアーノ。
“Don’t wanna sleep at all!”の歌詞に合わせて幕がバサッと下りてメンバーがお披露目!
ダミアーノが!ヴィクトリアが!トーマスが!イーサンが!目の前にいる!!!
というとんでもない高揚感のまま、間髪を入れずアルバムのリードトラック“GOSSIP”へ!
ヴィクトリアの得意技、ギターとユニゾンしたシンプルかつ重量感のあるベースラインに痺れます。
スタジオ版ではRATMのトム・モレロがソロを弾いていましたが、
その分今回はトーマスがしっかり弾きまくっていましたね!
MÅNESKINはスタジオ版をコンパクトにしつつも、
ライブではギターソロの時間を存分に取ってくれるのが嬉しいところです。
さらにユーロビジョン2021を制した一曲“ZITTI E BUONI”でますますヒートアップ!
70年代の感覚も残した必殺のリフと2番の高速ボーカルは何度聴いてもほれぼれします。
日本ではUCCのコーヒーのCMにも使われましたね。
前回のツアーでは1曲目に据えていた曲をここに置いてくるあたりがライブ巧者。
ここまでの3曲がシームレスに披露されるというパンチの強さに、彼らの楽曲の充実度が表れています。
ここでようやく短いMCが入り、新曲“HONEY (ARE U COMING?)”へ。
MステやDayDay.といったテレビ番組でも披露された一曲。待ってました!となった方も多いはず。
ダミアーノがマイクを向けるとサビのタイトルコールもしっかり大合唱!
次の“SUPERMODEL”もすっかり定番の趣。ライブでワイルドになるトーマスのギターが光ります。
ダミアーノのエモーショナルな歌唱が堪能できる“CORALINE”も素晴らしい出来でした。
そして「みんな一緒に歌ってほしいんだ!」というMCに続いて、
初期から歌われ続けているカバー曲“BEGGIN'”が披露され、ここでも割れんばかりの歓声と大合唱!
曲中ではヴィクトリアがステージから下りて、アリーナの通路をベースを弾きながら歩き回ります!
うわー!ヴィクがこっちに!ということで目に焼き付けつつ写真に収めようとするもご覧の有様。
一応写真右側に後ろ姿だけ微妙に写っております。
この日は有明とは違ってツインのおさげがキュートなスタイルでした。写ってませんが。
ヴィクトリアがステージに戻り、ラスサビが終わると新曲“THE DRIVER”へ。
メロディと推進力のあるグルーヴ感が心地良い一曲で、新曲5曲の中でもトップクラスで好み。
この曲は最高音がAと高めなこともあってか、半音下げでの披露でした。
「トーマスのフェイバリットソング!」というお馴染みのMCから始まるのは“FOR YOUR LOVE”。
ヴィクトリアの煽情的なベースソロと、それに続くトーマスの長いギターソロがハイライト。
各メンバーのソロで大歓声が上がるのも観ていて気持ちがいいですね。
スポットライトを浴びて気持ちよく弾きまくるトーマスの姿はあまりにも眩しく、
新世代のギターヒーローとしての強烈なオーラを放っていました。ライブで大好きになった曲です。
ちなみにこちらもライブで全音下げで披露されるのは前回のツアーから変わらず。
続いて新曲のひとつ“VALENTINE”がダミアーノの歌に導かれて揺らめくように始まります。
ラストの”All this love~!”の絶唱には圧倒されました。お客さんも聞き入っていましたね。
そしてそのビターなムードをかき消すように、トーマスとヴィクトリアの極悪な音とイーサンの激しいドラムによるジャムセッションからそのまま“GASOLINE”へ。
“Rush!”の中でもひときわ異彩を放つ、ダウンチューニングしたヴィクトリアのベースラインが強烈な曲で、トーマスもアリーナ前方まで出てきてこれでもかと弾きまくっていました。
ここでいったんメインステージからメンバーが去り、
後方の小さなサブステージにダミアーノ、トーマス、イーサンの3人が登場!
トーマスとイーサンの2人がアコギ!ということで曲は新曲“TRASTEVERE”。
MVでいきなりアコギを弾いているイーサンが登場した衝撃も忘れられません。
イーサンはこの1曲でステージを下り、
続いてはダミアーノとトーマス2人で“TIMEZONE”を披露。
お客さんもここではスマホのライトを照らしてこの曲を彩ります。
対岸のスタンドのライトが星空のようで美しい光景でしたし、
母国イタリアから遠く離れた日本で歌われたことで、曲にも深みが増したように思います。
このライブで一気に好きな曲になりました。
ここでアコースティックセットは終了、怒涛の後半戦へ。
ダミアーノとトーマスが裏の通路からメインステージに戻る間には、
ベースとドラムのジャムセッションが披露され、ここでも歓声が上がります。
ヴィクトリアの高速ベースリフとイーサンのドラムのコンビネーションは破壊力抜群でした!
ステージに全員揃うと満を持して“I WANNA BE YOUR SLAVE”が炸裂!
お客さんとのコール&レスポンスも完璧でしたね。
後半では恒例の全員しゃがみ→ジャンプがありましたが、確かにこれは全席椅子席だとやりにくそう。
2022年のサマソニでは「しゃがんで」「ガンバレガンバレ!」といった日本語の煽りがありましたが、今回は無し。少し寂しかったですが、バンド屈指のキラーチューンに大盛り上がりでした!
その勢いのまま、邪悪な”I WANNA BE YOUR SLAVE”とも言える“MAMMAMIA”、
ダンサブルな新曲“OFF MY FACE”、強烈な歌詞とグルーヴの“BLA BLA BLA”が続きます。
この「踊れるMÅNESKIN」ゾーンの破壊力は凄かったですね!
“MAMMAMIA”の2番終わりのベースラインを弾くヴィクトリアの立ち姿のキュートさには、
この日の中でもトップクラスに黄色い歓声があがっていましたし
(“‘Cause I’m Italiano~!”のボーカルを客に振るダミアーノにはツッコみたくもなりましたが)、
MVのイメージそのままにスタンドマイクで歌う”OFF MY FACE”はライブだとさらにクールでしたし、
間奏なしでギアを上げ続けていく”BLA BLA BLA”の底なしのエネルギーは圧巻でした。
ラストの”HA HA HA HA HA HA HA~!”の大合唱タイムをたっぷりとっていたのも楽しかったです。
体感あっという間でしたが、MCで次が本編ラストであることを告げられます。
(ライブ全体を通してとにかく矢継ぎ早に曲をやるので体感時間が本当に短い!)
ジャパンツアー最終日ということもあり日本への感謝を述べつつ、
今回のツアーの”tradition(伝統)”として本編最後の曲“KOOL KIDS”をコール。
すると会場で事前に選ばれたファンたちがぞろぞろとステージに上がり、
メンバーと一緒に大盛り上がりでサビを大合唱!
一緒に楽しいステージを作っていこうという若さと勢い、傍から見ていてもいい光景でした。
(というか単純に羨ましかったです)
あと有明でも神戸でも共通して、トーマスの周りに陣取った女の子たちが、
ソロを弾くトーマスをぐるっと囲んでケチャの動きをやってて面白かったです。
その輪の中心で一心不乱にソロを弾き倒し、最後は音を出したままギターを置いてステージをあとにする様子もまたトーマスらしくてクールでした。
ここからアンコール。トーマスが1人でステージ中央に上がり、5分弱ほどのギターソロを披露。
チョーキング主体の泣きのフレーズからかき鳴らすような激しいストロークにタッピングと、
次々とかっこいいフレーズを展開していく姿には痺れました。
このギターソロに黄色い歓声が沸いて同世代が夢中になっている、という光景は夢のようでしたし、
ネット上での「ギターソロ飛ばす/飛ばさない問題」など些末なものに思えてきます。
他のメンバーが戻ると、ダミアーノの歌から”Rush!”を締めくくるバラード“THE LONELIEST”へ。
歌詞の普遍性と心を打つメロディの美しさ、そしてトーマスの激しいギターソロ、
どれをとっても一級品のパフォーマンスでした。
ライブでは全音下げで披露されるのですが、その響きにどこか包み込まれるような温かみがあり、
また違った面を見せてくれるのも素晴らしいところ。最後のトーマスの長いギターソロも、いつまでも続いてくれればいいのにと思わずにはいられませんでした。
そして最後は間髪を入れず再びの“I WANNA BE YOUR SLAVE”!
前回の単独公演でもこの曲は2回披露されていましたが、
やはりライブのラストはこの曲しかない!ということでしょうか。
しかしキラーチューンは何度やっても最高!ということで2度目のコーレスもジャンプもバッチリ。
約2時間の充実のライブは最後まで大歓声で幕を閉じました。
ちなみに終演後には”A guide to the journey with MÅNESKIN”と題した冊子が配布されました。
こちらは日本のファンへのメッセージやメンバー紹介、コラムや写真集と充実の内容で、
まさに一大現象ともいえる彼らの人気ぶりを実感しました。
MÅNESKIN神戸公演セットリスト(2023/12/07)
1.DON’T WANNA SLEEP
2.GOSSIP
3.ZITTI E BUONI
4.HONEY (ARE U COMING?)
5.SUPERMODEL
6.CORALINE
7.BEGGIN’
8.THE DRIVER
9.FOR YOUR LOVE
10.VALENTINE
11.GASOLINE
~Acoustic Stage~
12.TRASTEVERE
13.TIMEZONE
14.I WANNA BE YOUR SLAVE
15.MAMMAMIA
16.OFF MY FACE
17.BLA BLA BLA
18.KOOL KIDS
~Encore~
19.THE LONELIEST
20.I WANNA BE YOUR SLAVE
有明公演では“OFF MY FACE”と“BLA BLA BLA”の間に“IN NOME DEL PADRE”がありましたが、今回はカット。
連日のライブでダミアーノの喉の調子も決して100%ではなかったように見えましたが、
それを補って余りあるパッションとカリスマ性には痺れました!
日本での人気もいよいよ盤石なものとなりつつあるMÅNESKIN。
次なる一手がどうなるか、まだまだ目が離せません!
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