【レビュー】Heading For Tomorrow / Gamma Ray (1990)

【レビュー】Heading For Tomorrow / Gamma Ray (1990) レビュー
【レビュー】Heading For Tomorrow / Gamma Ray (1990)
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カイ・ハンセンが2016年にHelloweenに復帰した後は、活動は一体どうなるのか……
と思っていましたが、なんと初代ボーカリストのラルフ・シーパースをゲストに迎えて、
Gamma Rayがいよいよ来日公演を行います!
5/7(火)に東京、5/8(水)に大阪と、連日の公演となります。(当方大阪公演参戦予定)

そしてオープニングアクトはカイの息子ティム・ハンセンが在籍するINDUCTION
春のカイ・ハンセン祭りに向けて、期待が高まるばかりです!
というわけで、今回はそのGamma Rayの記念すべき1stアルバムを取り上げていきます。

Heading For Tomorrow / Gamma Ray (1990)

ジャーマンメタルの代表格、パワーメタルのパイオニアとしてHelloweenを牽引し、
ギター兼初代ボーカリストとしても、コンポーザーとしても多大な役割を果たしたカイ・ハンセン
メタル史に残る大傑作“Keeper Of The Seven Keys Part 1″(1987)
“Keeper Of The Seven Keys Part 2″(1988)をリリースしたものの、
当時のレコード会社との契約でのゴタつきが表面化するなど、
厳しい状況にあったHelloweenから1989年1月1日に脱退を発表。
ここからカイはGamma Rayを結成、自らのヘヴィメタルを追求していくことになります。

Helloweenでは1st“Walls Of Jericho”(1986)までボーカルをとっていたカイ・ハンセンですが、
Gamma Rayの活動にあたっては、元Tyron Paceのボーカリスト、ラルフ・シーパースを迎えました。
ドイツのロブ・ハルフォードと称されることもあるほどの、強烈なハイトーンとパワーが武器。
(本家Judas Priestのオーディションを受けに行ったのが脱退劇の引き金なのが何ともではありますが)
この2人のほか、ベースにはウヴェ・ヴェッセル、
ドラムにはマティアス・ブルヒャルトという体制となっています。

Heading For Tomorrow / Gamma Ray (1990)
初回盤三方背ボックス

と言いつつ、ジャケットにはカイとラルフしか写っていないところからみても、
この時点ではまだソロプロジェクトとしての色合いが強かったとみてよさそうです。
日本盤の三方背ボックスには”KAI HANSEN”と記載されるのみで、
“Gamma Ray”の表記がないのですが、これもその表れかと思われます。

Heading For Tomorrow / Gamma Ray (1990)裏ジャケ

1.Welcome
2.Lust For Life
3.Heaven Can Wait
4.Space Eater
5.Money
6.The Silence
7.Hold Your Ground
8.Free Time
9.Heading For Tomorrow
10.Look At Yourself
11.Mr. Outlaw

10,11曲目はボーナストラック。
“Look At Yourself”はUriah Heepの名曲のカバー。
ラルフ作の“Free Time”“Mr. Outlaw”以外はすべてカイの曲です。

1.Welcome
パワーメタルの王道スタイル、アルバム全体への期待感を高めてくれる勇壮なインスト。

2.Lust For Life

壮大なイントロに続いて切り込んでくるのは、バンド随一のキラーチューンとなる疾走曲。
ラルフが全力のハイトーンで叫ぶ”Live – Life – Easy!”のコーラスに胸が熱くなります。
この力強いポジティブなメッセージと、中盤で披露されるカイによる長いギターソロが、
Helloween時代の”I’m Alive”も彷彿とさせます。バンドを代表する名曲。

3.Heaven Can Wait

こちらはカイ・ハンセンがボーカルをとった再録盤。これも素晴らしい出来!

“Lust For Life”に劣らず非常に人気の高い疾走曲で、明るくキャッチーなメロディが特徴。
キラキラしたリフで心を鷲掴みにし、そのままサビまで高揚感を持続させていくのは見事。
シングルカットもされました。

4.Space Eater
エフェクト満載で楽しいミッドテンポの曲。
インダストリアルな手触りもありますが、全体的にはポップに仕上がっています。

5.Money
カイとラルフが激しい掛け合いでボーカルを分け合う曲。
ここで聴けるラルフのハイトーンはこのアルバムの中でもひときわ強烈!
声質も相まってまさにロブ・ハルフォードそっくり。
クラシカルなギターソロからコミカルな「マニマニマニマニ……」が挟まれるところも面白いですね。

6.The Silence
どこかQueenっぽさもある壮大なイントロに続き、ピアノバラードになるかと思いきや、
そこからは激しいパートも交えて緩急をつけながら目まぐるしく進んでいき、
“Carry on, carry on…”という歌詞が印象的な、感動のフィナーレへと導かれていきます。
6分半の曲の中で各パートに美味しいメロディが散りばめられた、秀逸な一曲。

7.Hold Your Ground
“Freeze ‘em up, freeze ‘em up!”というどこかコミカルな合いの手が耳に残る疾走曲。
歌詞を読むとレジスタンスから政治家たちへの強烈なシュプレヒコールだとわかります。
間奏やアウトロにクラシカルなフレーズを散りばめつつ、自由を求める者を強く鼓舞してくれます。

8.Free Time
ここでラルフのペンによる曲が登場!
今作の曲のなかでも一際あっけらかんとしたアメリカンなハードロックで、
海岸線をオープンカーに乗って走り抜ける情景が浮かんできます。
パワーメタルのクサみはほぼ皆無なので、カイとラルフの音楽性の違いも見えてきます。

9.Heading For Tomorrow
本編をしめくくるタイトルトラックは14分半という大作。
“The Silence”でも聴けたロック・オペラ的趣向が存分に散りばめられています。
QueenやJudas Priestといった先達の残した音楽を吸収して換骨奪胎するのはカイの得意技。
凝った展開を見せつつも、逸脱しすぎることなくしっかり芯が通っているのが凄いところ。
スローなパートで聴けるギターのフレーズにもセンスが発揮されていて、
最初から最後までじっくり身を委ねられます。

10.Look At Yourself
ここからはボーナストラック。”対自核”の邦題でも知られるUriah Heepの傑作、
“Look At Yourself”(1971)のタイトルトラックをほぼ完コピでパワフルに演奏。
Uriah Heepのカバーはカイ・ハンセンがボーカルの時期にもやっているので恐らくカイの趣味。
クイーンにプリーストにメイデンに……と影響元を並べていくと実は結構英国趣味ですね。

11.Mr. Outlaw
もう一曲のボーナストラックは、ラルフ作のスピードナンバー。
サビでのハイトーンの伸びがたまらない、スカッとする一曲。
ドラム→ベース→ギターと各楽器の見せ場がある間奏も楽しい!

東京公演のセトリを想像しながら、明日の大阪公演に備えて一枚聴き通してみたわけですが、
とにかく爽やかでポジティブなエネルギーに溢れたアルバムだなと。
しかしその中には凝った展開の玄人好みする曲がしっかりあるので、
飽きさせない魅力がある名盤として君臨しているのだと思っています。
Spotifyに配信がなかったのには驚きました。昔はあったんですが……。
カイの歌う再録盤ベスト(これも大好き)をひとまず貼っておきます。
明日の大阪公演が楽しみすぎる!

Amazon.co.jp: Heading for Tomorrow (Anniversary Edition): ミュージック
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