【レビュー】Forever / Bon Jovi (2024)

【レビュー】Forever / Bon Jovi (2024) レビュー
【レビュー】Forever / Bon Jovi (2024)
Forever / Bon Jovi (2024)

我らがBON JOVIの華麗なる帰還!
前作となる15th“2020”発表以降は、コロナ禍やジョンの声帯の萎縮等もあり、
なかなか思うようにいかない状況が長らく続いていましたが、
2024年はデビュー40周年というメモリアルイヤー!
今年に入っていよいよ本格的に仕掛けてきました。

5月にはドキュメンタリー“Thank You, Goodnight: The Bon Jovi Story”を公開、
ここでは全4話にわたってバンドの現在に至る歴史が数々の証言とともに描かれ、
その中には脱退したリッチー・サンボラのものもあったことで話題にもなりました。
さらに、ここ10年ほどジョンを苦しめてきた声帯の病気、
そしてその治療とリハビリの過程までが赤裸々に公開されたのはショッキングでしたが、
40周年を記念したニューアルバムがそれを乗り越えた作品になることも示されていました。
そして6月に満を持して繰り出したのがこの16th“Forever”というわけですね。

ちなみに”BON JOVI FOREVER”というフレーズ自体は以前からあり、
“Crush”(2000)のブックレットでジョンが着ていたTシャツ等にあしらわれています。
この柄のTシャツはたびたびグッズ化されていたのでファンにはお馴染みかもしれません。

そして苦難を乗り越えた背中を見せるこのショットに関しては、
“New Jersey”(1988)のブックレット裏の立ち姿を彷彿とさせますね。
タイトルとアートワークを通して、過去の偉大な傑作群に目配せしつつ、
未来志向の雰囲気を漂わせてくれる、そんな一枚です。

Crush(2000), New Jersey(1988)
ジョンの立ち姿の比較
左が“Crush”(2000), 右が“New Jersey”(1988)のブックレット。

肝心の内容ですが、
これぞ!という魅力が詰まった“Legendary”を筆頭に質の高い曲が並んでおり、
40周年という祝祭感と、この強い新曲を軸にした積極的なプロモーションも相まって、
全米週間チャートで5位、ここ日本でも総合7位に食い込む売れ行きを見せました。

政治色の強い前作“2020”は全米19位に終わりましたが本作でV字回復に成功。
振り返ればこれも前回の大統領選での分断を象徴する出来事だったのかもしれませんね。
同じく大統領選を反映した内容の、“Have A Nice Day”(2005)“The Circle”(2009)では
起こらなかった現象なので、尚更。

Forever / Bon Jovi (2024)裏ジャケ

裏ジャケには現在のバンドを支えるメンバーがズラリ。
ジョン・シャンクス(Gt.)とエヴェレット・ブラッドリー(Per.)も堂々と写っています。

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Forever / Bon Jovi (2024)中面
日本盤デラックスエディションの中面がこちら。ハート&ダガーのロゴが大々的にあしらわれているのも実はレア。

アルバム“Forever”の収録曲は以下の通り。

1.Legendary
2.We Made It Look Easy
3.Living Proof
4.Waves
5.Seeds
6.Kiss The Bride
7.The People’s House
8.Walls Of Jericho
9.I Wrote You A Song
10.Living In Paradise
11.My First Guitar
12.Hollow Man

日本盤ボーナストラック
13.That Was Then, This Is Now
14.Legendary [Demo]

先行公開された“Legendary”“Living proof“の2曲は強力なキラーチューン。
その2曲を軸にしつつも、緩急をつけた流れと美メロで最後までしっかり聴かせてくれます。
“This House Is Not For Sale”(2016)の高揚感が帰ってきた!というのが全体の印象。

また、日本盤ボーナストラックの目玉、
“That Was Then, This Is Now”はここでしか聴けない新曲。
なぜこれが本編から漏れたのか……?と不思議に思うレベルの出来なので、
日本盤での購入を全力でお薦めします。

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1.Legendary 4:05

アコギのイントロから高揚感を煽る”オーオー”のコーラス、そして力強いサビという、
まさにBON JOVIの王道路線を極めた爽やかな新アンセム。

フジテレビ系ドラマ『ブルーモーメント』のタイアップも付き、
2013年の”Because We Can”以来久々に、日本限定でCDシングルとしても発売されました。
リスナーのリアクションも上々で、日本のラジオ・オンエア・チャート洋楽部門では、
11th“The Circle”(2009)発売週以来の1位を獲得する快挙を成し遂げました。

2.We Made It Look Easy 3:15

元々は2ndシングルとして先行公開する構想がほぼ固まっていた一曲。
過去を優しく振り返りながら前に進むという本作のテーマを体現する歌詞と、
ティコ・トーレスの安定したドラムを中心にじわじわ盛り上げていく曲構成の妙が光ります。

3.Living Proof 3:39

そしてこちらが2ndシングル。
いきなり伝家の宝刀トークボックスが力強く炸裂するイントロで掴みは完璧。
そこからサビまで勢いを殺さずに突き進んでいくので満足感もしっかりありますね。
“Livin’ On A Prayer”, It’s My Life”, “We Got It Going On”等の、
トークボックスを使ったライブ映えする曲の系譜を継ぐ曲がまたひとつ増えたのは大きいですし、
関係者の猛プッシュでシングルカットが決まったのにも納得。

4.Waves 3:53

マイナー調のリフで段々と熱量を高めていく、出だしの時点から並々ならぬ気合を感じる一曲。
フィル・Xのソロにもしっかり尺を取られていて聴きごたえがあります。
時とともに変わっていってしまったものを想いながら波に身を委ねる、という示唆的な歌詞も秀逸。
個人的には本作で一番のフェイバリットトラック。

5.Seeds 5:06

力強いビートの上にストリングスをフィーチャーし、優しいジョンの歌声が映える一曲。
前曲の流れを汲みつつも、ここでは光のほうへ育ち続ける種子をモチーフに、
ポジティブな面を前面に押し出しているのがなんともジョンらしいです。
2番のヴァースなどでジョンが時折見せる力強い声は前作にはなかったものなので嬉しいですね。

6.Kiss The Bride 3:51
“Crush”(2000)”
収録の“I Got The Girl”のモチーフにもなった、
ジョンの愛娘ステファニーが結婚するのに際して贈られた一曲。
前作の“Story Of Love”の系譜にある、父としての優しさを感じさせるバラード。

7.The People’s House 4:37
バンドの絆の深さを「この家は売り物じゃない」というたとえで示した
“This House Is Not For Sale”(2016)以降、再び「家」というモチーフが登場。
今回ここで掲げられているメッセージは、
みんなに開かれた誰にも壊されない強固な家(コミュニティ)を作ろう、というもの。
ジョンが力を入れる慈善事業との関連も見えてきます。
全体的にエヴェレット・ブラッドリーのパーカッションが存分に映える曲。

ビートの感じだけをとれば“The Circle”(2009)“Bullet”を彷彿とさせるものがありますが、
重苦しい“Bullet”と軽やかなこの曲では聴いた感触はまるで違うのも面白いですね。

8.Walls Of Jericho 3:48
いきなりサビからスタートする、ライブで合唱になることを想定しているような一曲。
ジェリコの壁を崩すほどの大声で歌って思いを届けよう!という歌詞は聖書のモチーフ。
終盤のサビでジョンが力強くG#を出しているのが嬉しい聴きどころ。本作最高音です。

9.I Wrote You A Song 3:26
ドキュメンタリーでレコーディングシーンが取り上げられた曲。
中々うまく声が出せないジョンの歯痒そうな表情が印象的な場面です。
うまく伝えられるかわからないけれど曲を書いてみたよ、という歌詞からは、
声帯の萎縮で思うように歌えなくなってしまったもどかしさを感じる部分も。
ここで聴ける完成版からは、ジョンがしっかり声を取り戻したのがわかって胸が熱くなります。

10.Living In Paradise 3:17
家族ぐるみの付き合いだというエド・シーランとの共作。
相手がエドなのでアコースティックな感じかと思いきや、ポジティブで力強いロックな仕上がり。
サビ頭の”Yeah~!”のコーラスが爽快。

11.My First Guitar 4:56
ジョンが最近初めて買ったギターと再会した、その純粋な喜びを歌った曲。
ギターを買い戻すに至ったエピソードも運命的で面白いので、
是非ジョンによる曲解説やドキュメンタリーを見ていただければ。

12.Hollow Man 4:54
本編最終曲にして、アルバム制作の過程で最初に書かれた曲。
「すべてを歌い終えたら、何を歌えばいい?」という産みの苦しみをストレートに綴った歌詞は、
ジョン本人のコメントにもあるように“Bed Of Roses”に通じるリアリティがあります。
自分が「空っぽの男」だと言いつつ、それでも……と語りかけてくる歌詞は見事。

13.That Was Then, This Is Now 4:57
ここから日本盤ボーナストラック。
「BON JOVIの日本盤ボートラには外れ無し」というのはお馴染みの法則ではありますが、
その中でもこの曲は特に秀逸。このために日本盤を買ってもいいくらいです。
世界がパッと開けるようなイントロから惹きつけられますし、
「昔は昔、今は今」という迷いのないメッセージの込もった歌詞は素晴らしい出来。
サビメロの展開も“This House Is Not For Sale”(2016)期の冴えが復活しています。

14.Legendary [Demo] 4:09
もう一曲のボーナストラックは“Legendary”のデモ。
最初の「オーオー」のコーラスが無かったり、サビの入りがワンテンポ早かったりと、
完成版との違いがそれなりにあるので聴いていて楽しいですね。
装飾がないことで引き締まったバンドサウンドを味わえるのも嬉しいところです。

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